635:問題患者をうまく退院させるには
Nikkei Medicaql Onlineより
要約)
・入院時の誓約書に「退院の指示に従う」に同意していても退院を強制できる根拠となるかは疑問
 医師に応召義務(医師法第19条1項)があり、退院を強制するには正当事由が必要。
・患者側の職員への暴力行為では病院側での暴力などの不正・違法な行為を容認しない姿勢を明確に。
 病院としても対応の基本方針や対応方法を決定。
 不正または違法な行為に対し、顧問弁護士(いない場合には弁護士を依頼して)と対応を検討し、警察などと連絡して協力を得る。

いきなり告訴などの強行手段に出るのは穏当ではない
家族の行為は威力業務妨害罪(刑法第234条)に当たる可能性があるが
まず主治医、事務長、院長などが、顧問弁護士も同席の上、家族側とよく話し合い、患者側の理解を求める。

患者側が応じない場合
顧問弁護士と協議の上、病院の代理人の弁護士名で患者家族に対して、態度が改まらない限り病室への立ち入りを禁止、あるいは「もはや退院を強制する正当事由がある」と言うべき。
・患者本人の退院を求める旨の「警告書」を内容証明郵便で送る。
・それでも効果がない場合、裁判所に家族の病室への立ち入り禁止等の仮処分命令の申し立て。

仮処分命令の申し立てる場合
裁判所は「審尋」といって双方の言い分を聞く。その際には通常は相手方(患者家族側)も弁護士に依頼することになる。
患者家族本人との直接の話し合いとは異なり、相手の弁護士や裁判所を介しての話し合いや説得が可能となる。
患者の退院または転院の話し合いも可能になるので仮処分の決定までに和解が成立する可能性ある。

和解ができない場合
仮処分命令を得て、次に本訴となる。しかし、患者を判決で強制的に退院させることはできないため、転院しない以上、保護義務者の費用で他に転院させることを検討する必要がある。そのため、仮処分手続き中に患者を退院させる方向での和解成立を目指す必要がある。

ケース・バイ・ケースで患者の人権に配慮しつつ慎重に検討しながら対応していくしかない。

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