半数以上が「がん難民」 −医療政策機構が調査、解消で5,200億円の効果 府医ニュース2006.12.20 |
NPO法人の日本医療政策機構(黒川清代表理事)は12月7日、がん患者の53%が現在の治療に不満を持ち複数の医療機関を渡り歩く「がん難民」で、解消されれば国民医療費が5,227億円削減できるとの調査報告書を発表した。 同政策機構では、がん難民が満足できる治療説明を受けていなかったり、治療方針に納得できないため多くの医療機関を受診した結果、納得できない治療の費用や医療機関を変更する度に行われる検査費用など「必要以上の医療費」が発生していると分析している。 2005年上半期に、がん患者会やがん患者集会参加者、がん患者向けのインターネットサイトを通じて治療への不満や治療費などについて調査。がん患者1,186人の回答を分析した。 医師からの治療説明に不満だったり、治療方針の選択に納得できなかったがん患者を「がん難民」と定義。 全体の53%を占めた。治療方針の不納得だけに絞ると27%になる。 日本のがん医療の水準については、 がん難民の91%が不満 がん難民ではないがん患者では65% がん難民の方が26ポイントも不満を感じている人が多い。 がん医療に対する不満内容は、 がん難民では 「治療薬承認」95%、 「病院や医師の質の情報開示」87%、 「医療提供者による心のケア」81%が上位3項目。 がん難民ではないがん患者も、 「治療薬承認」が86%でトップ、 「病院や医師の質の情報開示」72%が3番目に多い など似た傾向だった。最初に診断を受けた際の治療説明の時間は、 がん難民が平均19分、 がん難民以外のがん患者の平均28分に比べて短かった。 また、がん難民は平均3.02カ所め医療機関に通院しており、がん難民ではないがん患者の平均1.95カ所に比べて1カ所多いことも分かった。 今までに治療にかかった自己負担額は、 がん難民141万円、 がん難民ではないがん患者96万円と、 がん難民のほうが47%高かった。 自由診療費や差額ベッド代、健康食品などの代替医療の費用などを合計した総額 はがん難民305万円、 がん患者ではないがん患者177万円 で、がん難民は72%も多い。 (12月8日付) |