再評価される皮下輸液
トレンドビュー Nikkei Medical 2007.1
高齢者や終末期患者への応用広がる
要約)
終末期患者では誤嚥性肺炎などで経口摂取困難になることが多く、脱水になりやすい。血管確保が難しく、経鼻胃管栄養も認知症などの合併で自己抜去してしまう。胃瘻も造造のリスク、逆流もあることからあまりお勧めではない。
そのようなときの選択肢のひとつとして有用な手段である。

皮下輸液に適したケース
○終末期の患者
○末梢静脈確保が困難(血管に入らない、すぐ漏れる)
○自己抜去のリスクが高い(認知症、せん妄など)
○心負荷を最小限にしたい患者
○在宅、施設入所者(医学的管理が難しい)


皮下輸液における薬剤の選択
○皮下点滴に適した輸液薬剤
 生食
 1号液(ソリタT1など)
 3号液(ソリタT3など)
 乳酸化リンゲル液など
※筋肉注射、皮下注射可能なものは問題ないのではないか。
○皮下投与に適さない薬剤
 抗生物質
 パミドロン酸ニナトリウム
 ジゴキシン
 フェニトイン
 ジアゼパム
○混注薬剤(岡部医院での)
 パントテン酸(パントール、パントシン)
 ガスター
 マスチゲンB
 セレネース
 プリンペラン など
※輸液に加えると吸収が一定にならない可能性があり、適さない

穿刺部位は肩甲骨上部、胸部上部、腹部など吸収スペースが広い部位。
皮膚がたるんでいる部分が痛みが少ない。
500mlなら4〜5時間かけて入れれば浮腫、疼痛は少ない。
一時的に穿刺部位が浮腫になっても穿刺部位を変えれば数日で回復する。
同じ部位では徐々に吸収が悪くなる。
穿刺部位を観察して5〜7日で部位を変える。

《関連サイト》
Family Practice Notebook http://www.fnotebook.com
Regional Palliative Care Program in Edmonton Alberta http://www.palliative.org/
→Clinical information
→CLINICAL PRACTICE GUIDELINES
→Hypodermoclysis
私見)
輸液剤の皮下投与が使用説明書には明記されていないのでインフォームドコンセントが必要。
本法が普及するよう学会発表を期待する。そうすれば使用書の変更もありうるだろう。

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