検査を拒否した患者が急死
医師の説得はどこまで必要か
Nikkei Medical 2007.1
要約)
酒気帯び運転で事故を起こし、救急搬送された患者で肝臓損傷を疑われたが、入院説得に応じず退院した後。急死した。裁判では医師に過失なしとされたが、検査を拒む患者にどこまで説得が必要か?

結論的には判決は被告側勝訴(2001.4.9 札幌地裁判決)
●酩酊など自ら意志決定ができないほどの状態であったか?
 意志決定出来ない状態でなければ患者自身の意志を尊重せざるを得ない。
 そのような状態でなければ鎮静剤の使用は認められない。

●拒否したという事実をどのように記録しておくべきか?
 医師の説明が不十分であったと裁判で言われる場合がある。いかに説得したという経過を詳しく書いておく。
 説得の概略、患者が拒否したという意志決定の状況を客観的に記載する工夫がいる。

第三者を説得時に入れておくことも重要、後の有力な証人になる。第三者にも説得をしてもらうことも適切である。

説得不十分で過失を認めた判例(2005.3.25横浜地裁判決)
 介護老人施設のトイレ内転倒事故:介護拒絶の意志が示された場合でも介護の専門知識を有する者では介護を受けない場合の危険性とその危険を回避するための介護の必要性の見地から介護を受けるよう説得すべきである。それでもなお介護拒絶をした場合でなければ介護義務を免れない
私見)
裁判官も介護施設での研修を義務化すべき、現状をまったく分かっていない。

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