日本の医療
私が見た麻酔科崩壊の構図
@勤務医を辞めた理由
皆瀬 敦 フリーランス麻酔科医
Medical Tribune 2007.2.1
要約)
・筆者は国立病院勤務医だった。
・勤務が過酷になり過労で事故を起こすという心配、待遇改善が実現しそうにない、勤務医の将来に希望が持てないこと。
・医療の要求レベルが高くなり(術後の疼痛緩和処置など)
・手術時間延長に伴う超勤手当がきちんと支払われないのでは後輩にこの仕事を勧められない。
・雑用が多い。研修医が少なくなって下働きをするものが少なくなった。
・国公立病院医師の副収入がほとんどなくなった。子供の教育費にお金がかかる時期に合致して経済的に困った。
・在院日数の短縮、手術件数のアップで経営改善を図っているが、病床数を減らして対応すべきだと提言したが聞き入れられなかった。(手術料は手術件数によって評価される)
・外科からはもっと手術させろとのプレッシャーが、しかし余裕がないので断る。そのため以前よりも麻酔科医は感謝されず責められるようにくなった。
・麻酔科のアルバイト料が上がり、麻酔のアルバイトだけで生計を立てることが可能になった。
・フリーランス医が増えることは決して望ましい状況ではない。そのためには勤務医の待遇改善を改善し、フリーランス医とのバランスをとる必要がある。
・国公立病院の各種『規定』で柔軟に対応出来ない現状。患者数に応じた報酬体系、院内開業なども検討してほしい。
・医師以外でも出来る仕事は出来る限り他の職種が担当して勤務医の負担を軽減させるべき。
・院長でさえほとんど権限をもっていないのが現状。院長の裁量で決められない。
・分かっていても実行できない現状。これに対する絶望感が勤務医を辞めた大きな理由。
私見)理解出来ることの多い意見でした。しかし、内科医は長期に診ている患者が多く、そのしがらみを簡単に切ってしまう決断はかなり難しいのも現実です。
※フリーランスとは、会社組織に属さず、自分の才能や能力によって仕事を行うワークスタイル

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