プエルタの死、ARVD 日経新聞 2007.9.3夕刊 |
要約) ・スペインのサッカー選手、スペイン代表でセビリア出身のDFアントニオ・プエルタは8月25日スペイン1部リーグの対ヘタフェ戦の試合中に倒れた。すぐに意識を回復し、ロッカールームに戻ったが再度意識不明になりCCUに運ばれたが8月28日22才で死亡した。 ・担当医は彼が運動すると突然死を招きかねない不整脈源性右室異形成を患っていたことを明らかにした。 ・この病気は先天性の可能性が高い。 ・精密検査を行っていれば予防できたかもしれない。 ・プエルタの死後、イングランドのレスターのDFクラークが心不全を起こしたがAEDで回復した。 ・試合中に死亡する選手は世界中で1〜2人はいる。 ・事故が発生しても的確に処置すれば助かる可能性は高い。 ・FIFAでは定期的な検査を実施できないか検討を始めている。 |
不整脈源性右室異形成(ARVD) 不整脈源性右室異形成(Arrythmogenic Right Ventricular Dysplasia, ARVD)は1982年に報告された疾患で20〜30代の突然死の原因として注目されている。 1995年のWHO心筋症国際会議(WHO/ISFC)合同委員会定義では特発性心筋症のひとつとして分類されている。5000人に1人の割合で発生する。 右室心筋の(線維)脂肪変性のため興奮伝導の遅延を起こし心室頻拍などの心室性不整脈を起こす。約50%の患者に家族歴があり常染色体優勢遺伝を認める。 ○ARVDの症状 症状は動悸や失神で、特に運動中や直後での症状の悪化を来すことが多い。心筋の病変が広範にになると心不全を起こす。 ○ARVDの検査所見 心電図で右室の伝導遅延を示し、心室性不整脈は運動で誘発されやすい。完全左脚ブロックを示す。 胸部レントゲン、心エコーで右室の拡張所見認めることもある。 右室造影で壁運動異常、心臓電気生理検査で右室心内膜の遅延電位、リエントリー性心室頻拍が誘発されまる。 右室心筋生検で脂肪変性の所見を示す。 ○ARVDの治療 心室性不整脈を来す患者には抗不整脈薬、アブレーション、植込み型除細動器を組み合わせて治療する。 |
運動選手=健康ということではないようだ。無茶な運動は命を縮めることになる。 |