成人の百日咳 Medical Tribune 2007年10月18日 |
要約) ・百日咳はグラム陰性桿菌の百日咳菌(Bordetella pertussis)による感染症 ・患者の鼻咽頭や気道の分泌物による飛沫感染または接触感染 ・成人の百日咳は小児に比べマイルドで"長引く感冒"と思ってしまう。 ・咳が始まってから 3 週間は排菌が続く。 ・ワクチンを接種していない乳児への感染は致死的。 ・症状経過 潜伏期間は通常 7 〜10日,長くても 3 週間。感冒様の症状が出現,1〜 2 週間のうちに咳回数が増加し強くなる(カタル期)。 次の痙咳期では,短く連続的に咳き込み(スタッカート),ヒューと音を立てながら息を吸い込む(リプリーゼ)発作を繰り返す。 咳が強くて嘔吐したり,肋骨を疲労骨折する例もある。 発熱などを伴わず,重症感が乏しいのも特徴。 痙咳は2 〜3 週間ほど持続し,徐々に止まるが,終息に2〜 3 か月かかる例もある。 ・PCR検査の結果から成人の感染率が高いことが分かった。 ・百日咳凝集抗体価,ペア血清(間隔は 2 週間以上)で 4 倍以上の上昇が認めるか,シングル血清で40倍を超える例は感染が疑われる・治療にはマクロライド系抗菌薬,カタル期からの投与で咳き込みは軽くなり、消失を早める。 ・百日咳菌は抗菌薬(マクロライド系)投与後 5 〜 7日ほどで感染力を失うが,完全な除菌には 2 週間の投与が必要。 ・免疫が鈍る10歳代に追加的な接種が必要ではないか |