新型インフルエンザウイルスは出現するのか?
北海道大学大学院獣医学科 喜田 宏教授
2007.11.11 大阪府医師会総会 講演まとめ
一部要約
・10年周期で新型インフルエンザが出現するというのはでたらめである。

高病原性鳥インフルエンザウイルス
・高病原性鳥インフルエンザが人間に感染するのは非常に特殊な場合ですべての人に起こるものではない。誇張しすぎである。
・今までは高病原性鳥インフルエンザウイルスはいつのまにか出現していつの間にか消えていた。
・摘発淘汰を期待せずワクチンに頼ったたため高病原性鳥インフルエンザが終息しないのである。

インフルエンザウイルスの起源
・渡り鳥のカモがすべてのサブタイプのインフルエンザウイルスAを持っている
・カモの結腸内で増殖して、1週間で消えるが、その間に糞の中に多量のウイルスが排出される。呼吸器では増殖していない。
・糞は水系でカモに感染する。7日経てば他のサブタイプのウイルスに感染する。
・抗原変異は抗体の圧力がなければおきない。
・カモのインフルエンザウイルスは変異が起こっていないのに対し、人間のインフルエンザウイルスは年々抗原変異を起こしている。
・人間の抗体圧力によって変異している。
・カモでは腸で増殖しているので血中へはほとんど入らないので抗体圧力がかかりにくい。
・抗体のない幼鳥に絶えず感染している。
・豚はカモのインフルエンザウイルス、人間のインフルエンザウイルスの両方に感染する。
・中国南部で飼われているアヒル・ガチョウにウイルスが証明される。そこにはカモが越冬している。そこで感染している。
・インフルエンザウイルスがシベリア、アラスカの湖沼で凍結保存されている。湖沼の水からウイルスが検出される。
Q:アラスカやシベリアの湖沼で人間が泳いでいたら、感染しないか
 →カモのインフルエンザなので人間には感染しない。
 →人から人へしか感染していかない。
 →鳥のインフルエンザと人のインフルエンザは区別しなければならない。
Q:ワクチンをうっていても感染する人もいるが、うっていなくても感染しない人がいる、抗体を持っているとも思えないが?
 →遺伝的にレセプタのミューテーションがあってかかりにくい人がいるのでは・・・
Q:HAワクチンは効かないのか?
 →HAワクチンでも症状を軽くすることは出来る。しかし、感染を防止することは出来ない。ほとんどのワクチンがそうである。
 →ワクチンとしては自然に近い粒子のほうが効果があるので完全粒子ワクチンのほうが効果はいいだろう。

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