特集●ついに判決 福島・大野病院事件 vol.2
「警察の不当逮捕が地域医療の崩壊を招いた」
綾瀬循環器病院心臓血管外科 佐藤 一樹氏に聞く
2008. 8. 19 日経メディカルオンライン
要約
・刑事訴訟法上、捜査機関が被疑者や参考人を逮捕・勾留できる理由
 (1)住所不定であること、
 (2)証拠隠滅の恐れがあること、
 (3)逃亡の恐れがあること
・捜査機関の本当の理由は、自白を強要すること
・捜査実務方法を解説した検察向けの教科書には、「裏付け資料が不十分でも社会的な影響が大きい事件は立件して捜査を遂げる」、
・「社会的な影響が大きい事件」とは、メディアの報道でおおきく扱われた事件など
・立件の来難しい事件などは自白調書が必要
・証拠隠滅の恐れの逮捕要件について裁判所は詳細に検討せず許可している
捜査機関は、今回の不当逮捕により地域医療を崩壊させたことを認識すべきである。
・逮捕されると悪いことをしたという前提で決まった方向で捜査機関は調書を作成していく
・調書の修正を依頼しても、「供述調書は捜査官が作成するものだ」として応じない。
納得のいかない調書には署名・押印をしない
・捜査機関の取り調べは精神的・肉体的にも厳しい。
・捜査機関の意図に沿った調書に署名・押印し、「自白調書」が作成されてしまうことがある。
・裁判官は公判中に同意された証拠だけで有罪・無罪を判断する。
・もし加藤医師が有罪となったら、癒着胎盤の患者は全員、子宮を摘出しなければならなくなる。
・医学的な適応や医術的な正当性を背景にした「正当な治療行為」を、業務上過失致死罪とするのは問題がある。
私見)
現場を知らない裁判官が医療事故を裁けるのか?
裁判官にも医療現場の実地研修が必要だろう。