H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスを期限とするパンデミックの発生機構
日医雑誌 137(10):2066-、2009
・A型インフルエンザはHA(ヘマアグルチニン)とNA(ノイラミニダーゼ)の抗原性の違いでHAはH1→H16、NAはN1→N9の亜型に分類
・アジア風邪H2N2ウイルスはスペイン風邪ウイルスH1N1と鳥インフルエンザウイルスのハイブリッドウイルス
・香港風邪H3N2ウイルスはアジア風邪H2N2と鳥インフルエンザウイルスのハイブリッドウイルス
・スペイン風邪のウイルス遺伝子は永久凍土に埋葬された遺体から解析された
・H5N1ウイルスがブタやヒトでハイブリッド化し、ヒトからヒトへの感染するものが出現する可能性
・パンデミックウイルスの出現機構


感染宿主
Aヒトウイルストリウイルス同時感染ブタトリウイルス由来のHA遺伝子をもったハイブリッドウイルス
Bトリウイルスブタ変異してヒトへの感染性を獲得
Cトリウイルスヒトウイルス同時感染ヒトトリウイルス由来のHA遺伝子をもったハイブリッドウイルス
Dトリウイルスヒト変異してヒトへの感染性を獲得

・トリウイルス由来のHAを有するウイルスがヒトで増殖するためにはHA分子がヒト型レセプタを認識できるようになっている。

ヒトHAレセプタ(上気道)カモHAレセプタ(腸管)
トリ由来インフルエンザウイルス
SAα2、Gal
ヒト由来インフルエンザウイルス
SAα2、Gal
※SA:シアル酸 Gal:ガラクトース
・過去にパンデミックを起こしたH2N2、H3N2はトリ由来のHAを持ちながらヒト型レセプタ特異性を有していた
・1997年香港で人に感染したH5N1はトリ型のレセプタに結合するものばかりだった。→ヒトへの感染機構が分からない?
・ヒトの呼吸器深部(細気管支、肺胞細胞)にはトリ型のレセプタが存在する
・H5N1がヒトからヒトへ伝播できなかったのは呼吸器深部で増殖するのでくしゃみや咳で拡散しないから
・2003年以降、ヒト由来ウイルス株でトリ型とヒト型の両レセプタに結合するものが現れた。
・ヒト由来H5N1ウイルスでヒト型レセプタを認識せずトリ型のレセプタとの結合性が減少しているものがみられる
・カモのウイルスは比較的高温(約41度、カモの腸管内温度)、ヒトウイルスは比較的低温(約33度、上部気道温)で増殖する性質
・H5N1とヒトインフルエンザとハイブリッドウイルスの出現を回避しなければならない
パンデミック(pandemic)とは、ある感染症や伝染病が世界的に流行することを表す用語である。日本語に訳すと感染爆発や汎発流行にあたる。 感染症がコミュニティ内で流行することをエピデミック(epidemic)と呼ぶが、それが規模が大きくなり世界各地で散発的に起こるようになった状態をいう。

もとに戻る