診療拒否が認められる「正当な理由」とは?
Nikkei Medical Online 2009. 10. 1
・医師法での応召義務 医師法第19条1項
 「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」(これを医師の「応召義務」という。)
・医師法では、応召義務違反の罰則規定なし
・「医師としての品位を損するような行為」(医師法第7条2項)にあたれば、医師免許取り消し、医業停止等の行政処分対象
・応召義務は、公法上の義務で、患者との関係の義務ではない
民事上の損害賠償責任が生じないが損害を与えたとして、賠償責任を問われる可能性はある。
・診療を拒否の正当理由があることを医師が立証しなければならない。
・「正当な事由」の明確な規定なし
・1948年の厚生省医務局長、1955年の厚生省医務局医務課長が示した解釈が判断基準
 ・「治療費が不払いでも診療を拒むことはできない
 ・「診療時間を制限している場合でも、急施を要する患者の診察を拒むことは許されない
 ・『正当な事由』とは医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合
・弁護士・小西貞行氏意見
 ・診療拒否理由が、その時代で世間一般に妥当と認められるかどうか
 ・『診られません』でなく、診療が困難な理由を説明し、他の医療機関の受診を示せば、応召義務違反ではない
 ・治療費の不払いは現在も適用されるとは限らない(支払える方法も提示すべき)
 ・緊急性のない患者の診療拒否は、必ずしも応召義務違反には当たらない
 ・満床や医師不足、専門医の不在などは、原則として、診療を断る正当事由
 ・周囲に適切な収容施設がないときは、満床であっても収容すべきとした判例もある。
 ・裁判では、
  ・患者の重症度
  ・治療の緊急性
  ・総病床数や病床以外のスペースなどの潜在的収容能力(救急用のベッドなど)
  ・転送先までの距離や時間など
  ・「診療を断るという判断が、患者のためになされたのかどうか


もとに戻る