医師と歯科医師の連携で安全な抜歯を
Nikkei Medical 2009.9
・抗血栓薬を服用する高齢者が増加し、同時に抜歯治療の必要な人も増加
・抜歯時の抗血栓薬管理が重要

抗血栓療法中の抜歯に関するガイドライン
2004年日本循環器学会『抗血小板、抗凝固療法に関するガイドライン』Circ J 2004:68(Suppl W):1153-1219抜歯はワルファリンを原疾患に対する至適治療域にコントロールした上で、ワルファリン内服継続下での施行が望ましい(クラスUa)、抜歯は血小板薬の内服継続下での施行が望ましい(classUa)。
2007年英国『歯科外科処置時の経口抗凝固薬管理ガイドライン』Br Dent j 2007:203:389-393治療域(INR2.0〜4.0)ならば経口抗凝固剤は中止すべきではない。局所止血を推奨。術前72時間前にINRを測定する。
2008年日本循環器学会『心房細動(薬物)ガイドライン』Circ j 2008:72(Suppl W):1581-1638至適領域にINRをコントロールした上でのワルファリン内服継続下での抜歯を(クラスUa)、抗血小板薬の内服継続下での抜歯(クラスUa)
2009年日本有病者歯科治療学会・日本老年歯科医学会・日本口腔外科学会『抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン案』抗血栓療法患者の抜歯に関する医科・歯科のコンセンサスミーティング(2009年2月、東京) 普通抜歯であれば、INR3.0以下ならワルファリン継続下で抜歯可能
抗血小板剤を併用している場合は、両薬剤とも継続する。
局所止血剤を併用し緊密に縫合し、圧迫止血をする。

ワーファリン中止に伴う脳梗塞発症事例(国立循環器病センター)
 ・2003年の10ヶ月間の脳梗塞発症23人が入院
 ・入院時PT-INR(Prothrombin Time-International Normalized Ratio)は1.20と低値
 ・NIHSSスコア(脳卒中急性期重症度スコア)の中央値19点で重症
 ・全例が心原性脳塞栓
 ・6例が退院時に介護が必要
 ・8例中4例が抜歯に伴うワーファリンの中止
  中止日数は中央値4.5日
  中止から発症まで7.5日
  典型例は4〜5日中止し、再開後2〜3日で発症
・アスピリン中止症例の方が発症が多い
・ワーファリン投与していてもINRが3.0未満なら使用継続下で抜歯可能
抗血小板薬では服用継続下で抜歯可能
 ・局所止血を確実に行うこと
 ・術前72時間以内にINRを測定すること(歯科医師に連絡すること)


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