気管支喘息:新治療法への期待
日本内科学会雑誌日 2009.12.10 |
@抗IgE抗体 ・IgEと抗原が結合してマスト細胞の高親和性IgE受容体に架橋して脱顆粒を起こし、ヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインが遊離し気道攣縮を起こす ・この反応を抑制するヒト化抗IgE抗体(オマリズマブ:商品名ゾレア) ・2006年版GINAガイドラインでstep5(最重症)の治療薬として推奨された ・2週から4週ごとに皮下注射する ・0.2%にアナフィラキシーショックの副作用 ・現在の適応は高用量のICSおよび複数の喘息治療薬を併用しても症状が安定せず、通年性吸入抗原に陽性を示す重症喘息に限定 ・重症アレルギー性鼻炎、Churg-Steauss症候群、アレルギー気管支アスペルギルス症にも有効 A抗IL-5抗体 ・IL-5はTh2細胞から産生され好酸球の分化、増殖、活性化を促進する ・IL-5を抑制すれば気道の好酸球性炎症を抑制でき喘息が治療できる ・抗IL-5抗体薬としてメポリズマブが開発され。欧米で臨床治験が行われたが ・末梢血の好酸球は減少したが呼吸機能や気道過敏性は改善せず ・最近、重症難治性喘息で効果があったので症例を選べば効果が期待される B抗TNFα療法 ・喘息患者気道ではTNFα遺伝子、TNFα蛋白、TNFα変換酵素のの発現が増加している ・TNFαを吸入させると気道過敏性の増強、好中球性気道炎症が惹起される ・抗TNFα薬には抗TNFα抗体(レミケード)、可溶性TNFα受容体(エンブレル)の2種 ・難治性喘息で効果あり(気道過敏性の改善、呼吸機能の改善、症状の改善) ・副作用として感染症の発現(結核、カリニ肺炎、真菌感染、敗血症)、自己抗体の発現 C気管支熱形成術(bronchial thermoplasty) ・気管支リモデリングによる組織学的変化を予防あるいは修復する ・気管支鏡下にラジオ波熱エネルギーを使って肥厚した気管支平滑筋層を焼却して平滑筋量を減らす ・気管支鏡の鉗子口に電極をターゲットの気管支に到達させ、65度で加熱 ・さらに460KHZの低電圧ラジオ波熱エネルギーを流して平滑筋を焼却 ・左右肺の上葉および下葉の第6次分岐までの内径3mm以上の気管支が適応 ・3週間隔で1回1時間以下で3回行う ・熱処置を受けた気管支粘膜は広範な組織障害を起こすが再生される。しかし、気管支平滑筋は壊死し減少し結合組織によって置換される。 ・欧米で臨床治験中である |