低血糖と死亡率上昇の可能性
Medical Tribune 2010.04.08
厳格な血糖管理が血糖値の過剰低下(低血糖)を起こし、死亡率が上昇するとの報告Lancet(2010;375:481-489)
・インスリン治療の2型DM患者は経口薬の併用療法患者より死亡率が50%高い
経口DM剤単独から多剤併用(メトホルミン+SU剤)へ変更した群(2万7965例)とインスリンを含むレジメンに変更した群(2万5例)の比較
・英国プライマリケア医研究データベース(GPRD)を使用、1986年11月〜2008年11月の期間、50才以上の2型DM患者を抽出
 ・DMコントロールのHbA1c目標値は7.0%
 ・死亡率がもっとも低かったのはHBA1c7.5%
 ・HbA1c6.4%で死亡率52%HbA1c10.6%で死亡率79%
 ・両群でHbA1cと死亡率にはUカーブ減少が見られる
 ・インスリンベース群の全死亡率(死亡数2834例)は経口DM薬群(死亡数2035例)より49%高い
 ・インスリン群は高齢、合併症が多い、DM歴が長いことからこのような結果になったと推察される
 ・インスリン併用者にインスリン中止を提案しているのではない
 ・インスリン単独での厳格な血糖管理はDM患者の死亡率を上げるかのかどうかはさらに調査が必要
 ・HbA1cの低値と高値は死亡率、心イベント発症率を上げる
・2型DM患者のインスリン分泌促進薬またはインスリン治療のHbA1cの至適値は7.5%
2型DM患者ではインスリン感受性改善薬が第一選択薬とすべき
 ・この薬剤は低血糖リスクを伴わずHbA1c値の低下を期待できる
強化療法はDM罹病期間が短く最小血管疾患・大血管疾患がない60才未満に推奨


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