チェルノブイリ原発事故と発がん
日本内科学雑誌 99;4:787-,2010 |
・1986年4月26日チェルノブイリ原発事故発生 ・500万人の住民が放射性降下物で被爆 ・1996年のWHO、EU、IAEA調査結果 ・被爆住民で事故5年後から増加したのは小児甲状腺癌だけで白血病や他の疾患の増加を示す科科学的証拠は見つからなかった。 ・2006年WHO、IAEAのチェルノブイリフォーラムのまとめ ・約20年間の科学論文の解析でも同様の結果 ・小児甲状腺癌は年間100万人に1〜2人でまれな疾患である ・ベラルーシ共和国 ・事故の翌年の1987年から1987年までに生まれた9472人に甲状腺癌の発生なし ・事故発生前の1983年から事故当日までに生まれた9720人に31人の甲状腺癌の発生 ・短半減期の放射線ヨードによる内部被爆が関係していると思われる ・放射性ヨード131Iの半減期は約8日で影響が長く持続しなかったとかんがられる。 ・事故当時の年齢が10才未満の小児に発症、特に5才未満の発症リスクが大きい ・現在まで成人の甲状腺癌発症の増加はない ・ヨード欠乏地域で発がんリスクは2倍 ・ヨウ素摂取でリスク率の低下を認めるというデータあり ・放射線誘発甲状腺癌は外部被爆(原爆などによる)と内部被爆によるものがあるが、両者に共通するのは @ある特定の被曝量までは線量依存性がある A被爆年齢と逆送関する(5才以下で顕著、成人ではリスクの増加がない) Bリスクに男女差はない C発がんリスクは生涯続く ・診断用放射性ヨードでは有意な発がんリスクの上昇はない(小児については不明) ・CT被爆についてもリスクを考えると10才以下の小児については配慮が必要 |