鉄と発がん 日本医師会雑誌2010;139:2 |
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・人ガンに関する疫学データ
・マウスに酸化鉄の粉塵に曝露させると肺腫瘍が発生する(1940年) ・デキストラン鉄を筋注した部位に肉腫が発生(1959年) ・腹腔内に鉄ニトロ三酢酸を投与すると腎癌が発生(1946年) ・6ヶ月に1回の瀉血が内臓ガンの発生を35%減少(J. Natl. Cancer Inst. 2008;100:996-1002) ・瀉血なしでガンになったものは進行が早く、早期に死亡。 ・フェリチン値は瀉血群80ng/ml、対照群120ng/ml ・Feは三価でも二価でも溶解されにくいので他の分子と結合あるいはキレートして存在 ※キレート:EDTAのように金属イオンを蟹の鋏のように挟んでいるもの。 ・イオン状の鉄が細胞内や細胞周囲に出来た場合、病的状態を起こす、その際にフェントン反応が生じている ※フェントン反応とは Fe2++H2O2→Fe3++-OH+OH- ・二価鉄が過酸化水素と反応するとヒドロオキシラジカル(・OH)が発生、これがDNAを損傷する ・Feが酸化還元反応の触媒として働き酸化ストレスを引き起こす。 ・軽度の酸化ストレスは細胞障害よりも増殖作用があるが ・強度の酸化ストレスは細胞増殖・アポトーシス・壊死 ・過剰なFeは実質臓器を傷害し、発がんのリスクとなる。 ・体内の鉄 ・成人では約4gの鉄、主にヘモグロビン。 ・排泄経路がないので腸上皮の剥離によって排泄・ |
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