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本書は、「タイムシップ」でHGウェルズの「タイムマシーン」を完結(?)させた、バクスターが、別の角度から時間と宇宙の真の姿に挑んだ、マニフォールド(多様性)シリーズ3部作の第1巻です。
このシリーズの主人公は、全て退役宇宙飛行士のマレンファントなのですが、時系列的に連続した物語ではなく、それぞれ世界背景や置かれた状況が違う、別の多元宇宙の地球が描かれます。
出だしは、NASAを騙して個人で宇宙船を打ち上げようとするマレンファントの苦闘がリアルに描かれます。しかし、中盤以降はバクスターお得意のアイディアてんこ盛り、期待通りの驚天動地の展開が待っています。バクスターの無茶振りを心行くまで楽しみましょう。
●ストーリー●
2010年、世界は環境悪化が進行し、ブルーチルドレンと呼ばれる異常な天才児が同時多発的に現れるなど、終末的な様相を帯びていた。
ドロップアウトした元NASAの宇宙飛行士マレンファントは、離婚した妻エマとともに、ベンチャー企業ブートストラップ社を成功させていた。彼はさらに、スペースシャトルの廃物を利用したごみ焼却施設を装って、密かに小惑星への探査ロケット打ち上げを目論んでいた。
しかし、彼の前に不気味な数学者コーネリアスが現れたときから、物語は異様な展開を見せはじめる。コーネリアスは、原始時代から現代までの人口のほとんどが現代に生きているという事実をベイズの定理に当てはめて計算すると、世界は200年以内に終わるはずだと告げる。予言を確認するため、マレンファントはコーネリアスの提案で量子的受信機を作り、未来からの謎のメッセージを受信する。マレンファントは、メッセージに従って、ロケットの目的地を、地球と同じ軌道上を回る小惑星クルイシンに変更し、発進させる。そして、そのパイロット・シーナ5はなんと、遺伝子改良されたヤリイカなのだ!
クルイシンへの着陸に成功して寿命のつきようとしたシーナ5が生んだ卵から生まれた、シーナ6たちは、より進化していた。そして、シーナ6は、クルイシンで未来へ通じる入り口ポータルを発見する。クルイシンからの中継で千兆年の未来を垣間見たマレンファントは、自らクルイシンへ飛び立つことを決意した。
…というわけで、エイトマンの超人類みたいなブルーチルドレンは出てくるは、宇宙には人類しかいないは、知性化イカがラムジェットロケットで外宇宙に旅立つはで、長編が何本も書けるであろうアイディアとガジェットがてんこ盛りで、頭がクラクラになってしまいました。傑作というより怪作に近いです。でも、多元宇宙物に抵抗がない人なら、絶対楽しめるはず。
シリーズ第2巻の
SPACEはこちら。
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