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MANIFOLD:SPACE

  • 著者:スティーヴン・バクスター (Stephen Baxter)
  • 発行:2001/Ballantine books US $6.99
  • 2002年8月読了時、本邦未訳
  • ボキャブラ度:★★★★☆
     ※個人的に感じた英単語の難しさです。

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 MANIFOLD(多様性)シリーズ3部作の2作目です。MANIFOLDシリーズは、主人公は全て元NASAの宇宙飛行士マレンファントですが、3作とも、全然別の平行宇宙の地球の話なので、続けて読むと非常に混乱します。

 今回は、「もし人類以外に知性体が存在するなら、宇宙は知性体で殖民しつくされているはず」、というフェルミのパラドックスをテーマに、バクスターが新しい宇宙観を展開します。

 日本人にとって嬉しいのは、サブキャラが日本人で、2020年にはアメリカが宇宙開発から撤退して久しい中、NASDAと西崎重工(?)がコツコツ頑張って月面都市「江戸」を作り、核融合炉を実用化し、ヘリウム3を輸出するまでになっていることです。月面都市に畳と床の間付きの旅館があったり、月面に枯山水を作ったり、という趣向には笑っちゃいますが。

 ロビンソンの火星三部作もそうですが、どうも、最近の欧米のSF作家は星雲賞なんかで日本に招かれている人が多く、日本市場を考えたストーリー展開をしている節がありますね。

 今回のSPACEは、人物の書き込みが細切れで感情移入がしずらく、各SF賞のほうもやっぱり無冠に終わっています。しかし、バクスターの描く宇宙と時間のスケールは相変わらず圧巻です!

 このシリーズ3部作の最後は"ORIGIN"。種の起源に迫るそうですが、ここまで来たら全部読むしかないですよね。 SF・ファンタジー界は猫も杓子も3部作。みんな商売うまくなってきたなあ。 

●ストーリー●

 元NASAの宇宙飛行士マレンファントは、退職後、地球外生命体の存在の可能性を説きつづけていた。2020年のある日、彼は、日本人女性科学者・根本から、日本の月面都市「江戸」に招待を受ける。初めて月面を踏みしめたマレンファントは、彼女から思いもかけない事実を知らされる。小惑星帯で未知の地球外知性体の活動を観測したというのだ。

 「ガイジン」と名付けられたエイリアンは、それから数年にわたる地球からの電波による呼びかけに全く応えようとしない。マレンファントは急造の核融合ロケットに乗り込み、太陽系外の重力均衡点へ向かうが、彼はそこにあった謎のスターゲートをくぐり、ガイジンの支配する恒星空間にひとり飛び込む。そこでガイジンが彼に見せたのは、生命に溢れ、さまざまな知性体が激烈な殖民競争を繰り広げる宇宙の姿だった。
 やがて太陽系のあちこちに散らばり衰退を始めた人類に、ガイジンすら打ち負かす恒星破壊者「クラッカー」が襲いかかろうとしていた。

 人類は生き残れるのか。、謎の知性体ガイジンはなぜ、マレンファントに執着するのか。そして、フェルミのパラドックスの謎はついに解けるのか!?

 MANIFOLD三部作最終作 ORIGINはこちら



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