Long time no write

  前回の更新から半年近く間があいてしまいました。"Long time no write" は Long time no see をもじった表現ですが、英語として通じるかどうか分かりません。Long time no speak という表現はあるそうです。

  昨年の8月末から「Tahrpup 6.0.5 日本語化版シンプル」の作成に関わっていまし た。 作成と言っても、日本語訳のほとんどはボランティアの人々によって行なわれてきたものを利用させていただいているので、正確に言うと「アレンジ」または 「プロデュース」したということになると思います。

  これは puplet (Puppy Linux の派生版) であり、正式な日本語版ではありません。(そのため日本語版 を名乗っています。) 「シンプル」という名称は、原則として日本語化を除いて英語版に何も足さない、引かない、という方針を表しています。Puppy 日本語フォーラムの皆さんから様々な助言や情報をいただいて改良を重ねたので、英語版の仕様に起因する制約を除けば、 一応、普通に使えるレベルのものになっていると考えています。支援して下さった皆さんに感謝しています。 Puppy Linux 日本語フォーラムの記事に iso ファイルのダウンロードリンクを記してあります。

  まもなく Windows Vista や、Precise Puppy (571JP) のベースとなった Ubuntu Precise のサポートが終わります。サポートが終わっても自己責任で使い続けるのは自由ですが、特にサポートの切れた Windows は大変危険であると思います。特別な理由がなければ、他の OS への移行をお勧めします。

  次に、YouTube 関連のお話です。これまで当サイトでも度々話題にしてきたように、動画再生方式が HTML5 を利用したものに移行しつつあります。従来、比較的新しいブラウザでは HTML5 方式での再生が強制される仕様でしたが、現在ではブラウザの種類やバージョンに拘らず HTML5 再生が強制されるようになっています。

  Mozilla 系のブラウザでは、Flash Player 利用を強制するアドオンを入れれば、HTML5 再生を回避することができます。Linux 版の Opera 12 は gstreamer を追加しなければ HTML5 再生はできないので、やむなく(幸い?) Flash 利用となります。

  そして、もう一つ新たな問題が起こりました。Linux 版 Flash Player (NPAPI) は長らく、バージョン 11.2 のままセキュリティアップデートを除いて開発が止まっていましたが、開発が再開されて他の OS 用とバージョンがそろうようになりました。

  しかし、現行の Flash Player 24.x は、例えば ThinkPad X121e の場合、オープンなビデオドライバ (radeon) を使っても、プロプライエタリなドライバ (fglrx) を使っても、クラッシュしたり、無反応になったりして使い物になりません。 ハードウエアアクセラレーションを無効にすれば改善すると思われますが、CPU が非力なマシンでは GPU の再生支援は必須です。やむを得ず、バージョン 11.2 のまま使っています。(あえて古いバージョンを使うのは、セキュリティ上の問題があるかもしれないので、自己責任でお願いします。Windows の場合ほど危険ではないと思いますが...)

  こういった Flash Player の不具合に関しては、Flash Player 側に問題があるのか、ビデオドライバに問題があるのか、水掛け論になるのが通例ですが、今回は Flash Player のほうが後出しなので、adobe には改善してほしいところです。しかし、adobe は「セキュリティ上の改善が主眼であって、それ以外は二の次である」という趣旨の見解を出しているので、 ハードウエアアクセラレーションへの対応は期待できそうにありません。

  高性能なパソコンならば、GPU の再生支援がなくても CPU パワーだけで再生してしまうでしょうし、Flash Player より CPU に負荷のかかる HTML5 再生も問題なくできるでしょう。いずれにしても、非力な PC のユーザーが割を食う結果になっています。

2017年1月

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Puppy Linux 最新版

(この記事は執筆から時間がたっており、内容が古いです。ご注意下さい。)

  Puppy Linux に関する情報をネットで検索すると、「Puppy Linux 日本語版」サイトや、"Precise 571JP" が検索結果の上位に現れます。「Puppy Linux 最新版」をキーワードにしても、結果はあまり変わりません。Precise 571JP は、リリースされた当時は「最新」でしたし、正式な日本語版に限って言えば、今でも最新ですから、当然といえば当然です。

  しかし、571JP のデフォルトブラウザ Opera 12 はやや時代遅れで、正しく表示できないサイトがたまにあります。YouTube 動画の HTML5 再生に対応しておらず、flashplayer を取得するアプリも古くて機能しないので、今では、インストールしてすぐ使えるディストリビューションとは言い難いものになってしまっています。
  Puppy Linux 本家 サイト (http://puppylinux.com/) に行けば、Ubuntu をベースにした Tahr Puppy 6.0.5 と Slackware ベースの Slacko Puppy 6.3.2 が最新であることが分かります。

  そして、ネットの検索結果にはもう一つの盲点があります。それは、開発途上の版も「最新」と呼ばれることです。例えば、Ubuntu 16.04 (Xenial Xerus) をベースとする Xenialpup 7.x はテスト中です。初めて Puppy を使ってみようと思う人には、正式版(=安定版)をお勧めします。開発途上の版も含めて最新のものに触れてみたい、と思われる場合は、この限りではありません。

追記: 2017年11月、XenialPup 7.5 が正式な Puppy に加わりました。
追記: 2019年3月、Puppy Linux 8.0 (Bionicpup) が正式な Puppy に加わりました。
追記: 2020年9月、Puppy Linux 9.5 (Fossapup64) が正式な Puppy に加わりました。
追記: 2021年1月、Slacko Puppy 7.0 が正式な Puppy に加わりました。
追記: 2022年12月、Puppy Linux 22.12 (S15Pup) が正式な Puppy に加わりました。


  Tahr Puppy 6.0.5 と Slacko Puppy 6.3.2 には正式な日本語版はありませんが、一つの方法として、英語版に日本語化パッケージを適用して使うことができます。(最新のものは lang_pack_ja-2.1.sfs) ThinkPad X121e と Tahr Puppy で使い方に触れています。この方法では、最初は英語版を起動しなければなりません。
  また、非公式な日本語(化)版もあります。概ね上記の「日本語化パッケージ」を応用して作られており、初回から日本語環境で起動します。当サイトで紹介している「Tahrpup 6.0.5 日本語化版シンプル」はそのうちの一つです。

  どうしても正式な日本語版を使いたい、という方には、571JP 以前のバージョンしかありません。前述のように、特にインターネット関連で時代遅れな部分があります。また、新しいハードウエアには対応していないかもしれません。 最新の flashplayer を取得するには、まず GetFlash の最新版をインストールしなければなりません。 ファイルの扱いに慣れた人なら、Adobe のサイトから自分でダウンロードして、手動で設定することもできます。
  あるブログを見ていたら、Puppy Linux では最新の Firefox は動かない、と断言されていました。(笑) このように、ネットの情報の中には不正確なものも少なくありません。Puppy に gtk-3 のライブラリが含まれていないために、動かなかったようですが、ライブラリをパッケージマネージャを通じてインストールすれば動きます。もちろん、 Firefox 以外のブラウザを追加することもできます。

  現状は、英語版に日本語化パッケージを適用して利用することができるので、あえて 571JP に続く正式な Puppy Linux 日本語版を出す必要はない、ということでしょうが、初めて Puppy に触れる人はどう考えるでしょうか。そして「Puppy Linux 日本語版」サイトが本当の意味で最新の情報を発信していればなあ、と思います。私にできることは、微力ながら当サイトを通じて情報を提供することだけです。
2017年3月

2017年7月追記

  flashplayer のダウンロード URL は頻繁に変わります。新しい URL に対応した getflash-1.7.pet (13.34 KB) が公開されています。 同じファイル名で 14.5 KB のものは古いので注意が必要です。 GetFlash のようなスクリプトを利用して flashplayer をインストールするのには限界があると感じます。何ヶ月か後には、また URL が変更されるでしょう。 Adobe は rpm パッケージを提供しているのだから、deb パッケージも提供してくれればいいのですが。

さらに追記
  getflash-1.7.pet (13.34 KB) は puppy linux 本家フォーラムで公開されていますが、xz 圧縮であることが分かりました。571JP は xz 圧縮のパッケージを扱うことができません。
  gz 圧縮でパッケージを作り直しました。(圧縮方式が違うだけで、中身は全く変更していません。)
getflash-1.7_gz.pet リンク先でファイルを右クリックし、ダウンロードして下さい。

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