制限ユーザ spot

  Puppy 412 以外のバージョンでは YouTube を視聴するために、Chrome/Chromium を使用するようになりました。 その後、Tahrpup 605 (32bit) の Chrome 48 では NHK のニュース動画や World TV のオンデマンドが視聴できないことが分かったので、Chromium 53 に変更しました。Ubuntu のレポジトリにある deb ファイルを解凍して sfs にまとめたものを使っています。(パッケージマネージャでインストールするのと結果は同じですが、sfs 形式なら個人保存ファイルを消費しません) 使用したパッケージは

 chromium-browser_53.0.2785.143-0ubuntu0.14.04.1.1145_i386.deb
 chromium-browser-l10n_53.0.2785.143-0ubuntu0.14.04.1.1145_all.deb
 chromium-codecs-ffmpeg-extra_53.0.2785.143-0ubuntu0.14.04.1.1145_i386.deb

  このバージョンでは libspeechd2_0.8-5ubuntu1_i386.deb も必要です。これはパッケージマネージャからインストールできます。

起動コマンド(例)
chromium-browser --user-data-dir=/root/.config/chromium --disk-cache-dir=/tmp --disk-cache-size=10485760 --media-cache-size=10485760


  さらに、Chromium 60 を制限ユーザ spot のテスト目的で使ってみました。

注意: バージョンの異なる Chromium sfs を同時にロードすると、システムが壊れます。他のバージョンは予めアンロードして下さい。

  これも、deb パッケージから作った sfs ですが、gz 圧縮で 100MB にもなります。xz 圧縮なら、もっと小さくなりますが、起動(展開)するのに時間がかかると思われるので、あえて gz 圧縮にしました。使用したパッケージは

 chromium-browser_60.0.3112.113-0ubuntu0.14.04.1194_i386.deb
 chromium-codecs-ffmpeg-extra_60.0.3112.113-0ubuntu0.14.04.1194_i386.deb
 chromium-browser-l10n_60.0.3112.113-0ubuntu0.14.04.1194_all.deb

  libgtk-3 (及び関連パッケージ) をインストールしておく必要があります。

  ここでちょっと問題になるのは、root での利用です。少し前の Chrome/Chromium は --user-data-dir= を指定すれば起動できました。しかし、バージョン 60 では「root で起動するのなら --no-sandbox を指定せよ」と怒られます。

  Puppy ユーザの多くは root での使用に抵抗はないと思いますが、--no-sandbox を指定して起動すると今度は「セキュリティが低下する」という趣旨の警告が出ます。(警告を出なくするには --disable-infobars を指定する) 私は利便性を重視するので root でかまわないのですが、セキュリティを気にする人もいると思います。spot で起動すれば、サンドボックスが有効な状態で起動できるのではないか、と考えて実験してみました。 (spot は "not implemented" ということなので、実験なさる場合は、念のため save file のバックアップをとっておくことをお勧めします)

  Tahrpup には Login and Security Manager が付属しています。使い方は...

1. まず、Chromium の sfs をロード。すぐに起動するか尋ねられるので、起動しないで終了する。

2. メニュー→システム→ Login and Security Manager
 「追加情報」を読む(英語)→ OK を押す。Login and Security Manager を一旦閉じる。

3. /root/.spot-status をテキストエディタで開き、chromium-browser=false という1行を加える。

4. メニュー→システム→ Login and Security Manager
  chromium-browser にチェック→ OK を押す。(この時、2回 ダイアログボックスが表示されるが、説明を読んで OK を押す)

login manager

5. /usr/share/applications/chromium-browser.desktop をテキストエディタで開いて修正する。

 170行目(改行なし、1行です)
 Exec=env GTK_IM_MODULE="xim" chromium-browser --disk-cache-dir=/tmp --disk-cache-size=10485760 --media-cache-size=10485760 %U

 174行目(アイコンを指定)
 Icon=/usr/share/pixmaps/chromium-browser.png

6. メニュー→シャットダウン→メニュー再構成

7. メニュー→シャットダウン→ Window Manager 再スタート

8. メニュー→インターネット→ Chromium ウェブ・ブラウザ (起動)
  (デスクトップにアイコンを置きたい場合は /usr/share/applications/chromium-browser.desktop をドラッグする)


  Yahoo, YouTube など普段利用するサイトをひと通り巡回しましたが、特に動作に問題ありませんでした。少し注意すべき点もあります。Pale Moon から html 形式でエクスポートしたブックマークをそのままではインポートできませんでした。パーミッションを変更することでインポートできるようになりまし た。

file property

  ファイルのプロパティ(上図) … このままでは、spot の権限で読み込めないので、「読み込み」をすべてチェックして「更新」します。

  ダウンロードディレクトリは /root/spot/Downloads (~/Downloads に偽装されている) です。Chromium 実行中は、このディレクトリでは解凍やインストールの作業はできません。ファイルを /root/my-documents などに移動させれば、できるようになります。一応、セキュリティの設定が効いていることが分かります。

  私のマシンでは、Chromium 60 は動作が重いので、結局 53 を root で起動して使うことにしました。どちらもファイル 置き場に置いておきますので、必要でしたらご利用ください。(単純に sfs 化しただけで、何も手を加えていません。したがって、起動オプションを指定しないと起動しません)

- 追記 -

  chromium-61.0.3163.100-i386.sfs を作りました。 他のバージョンと同じ場所からダウンロードできます。(起動オプションは、Chromium 60 と同じです)
  この新バージョンを動かすには、libgtk-3 (及び関連パッケージ)に加えて、libnss3_3.28.4, libnspr4_4.13.1 も必要です。 libnss と libnspr は Tahrpup に含まれています (already installed) が、アップデートが必要です。 パッケージマネージャのデータベースを更新した上で、これらのパッケージをインストールする必要があります。

- 追記終り -



  Chrome/Chromium は、バージョンによって起動に必要なオプションが異なります。Puppy 用に調整された sfs なら、何もしなくてもとりあえず起動するとは思いますが、その場合でも、キャッシュの場所やサイズを指定しないと、 個人保存ファイルを食いつぶしてしまう恐れがあります。設定画面ではなく、起動オプションで指定するという点が不親切です。 Chrome/Chromium は利用者も多いでしょうが、使いこなすにはある程度研究が必要だと思われます。
2017年10月

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Slacko Puppy 6.3.2

  Tahrpup 6.0.5 と並んで、オフィシャルな最新 Puppy である Slacko 6.3.2 ですが、ネットで検索すると、Tahrpup より情報が少ない印象を受けます。(もっとも、Tahrpup の情報は同じ人が書いた記事が多いように思われます)

  今更という感がありますが、Slacko も取り上げないと片手落ちのような気がするので、今回は Slacko 6.3.2 について記します。このバージョンには、Puppy 日本語フォーラムで開発中の日本語版があります。個人的には、できるだけ素のままが好みなので、英語版を lang_pack で日本語化しました。

インストール

  iso を Puppy Linux 本家サイトからダウンロードし、 CD に焼いて起動するか LICK を使ってインストールします。初回は英語版が起動しますが、何もせずに再起動します。この時、SAVE (個人保存ファイルを作成) するか尋ねられますが、 選択肢に迷う場合は、推奨設定にしたがって作成します。ユーザは administrator、暗号化は無し(NORMAL/no encryp.)、 ファイルシステムは ext2/3/4 どれでも可、サイズは 512MB あれば大丈夫です。ファイル名は指定する必要ありません。 (デフォルトのファイル名 slackosave.* になります)

  再起動したら、/mnt/home/slacko-632 (フォルダ名は任意)に lang_pack_ja-2.1.sfs を置きます。(予め Windows でダウンロードして、フォルダに入れておくと楽かもしれません。フォルダは Windows 側から見ると c:\slacko-632 です。Puppy でダウンロードしようとすると、LAN の設定から始めなければならないので、ちょっと面倒です。) lang_pack_ja-2.1.sfs をクリックしてインストール(ロード)します。すると、環境設定を促すウインドウが出るので、図3 のように設定します。その後 X が再起動され、日本語環境になります。

slacko directory
図1. Slacko のディレクトリ

この図では ext2 領域に save-to-directory 方式で保存していますが、Windows と共存の場合は、例えば slackosave.2fs という名前の個人保存ファイルが作られます。

dialog box
country setting
図2. 国の設定
Run (実行)を押します。
図3. 言語・タイムゾーン・キーボード

特徴

  Slackware ベースですが、Puppy の基本的なコンセプトにしたがって構成されているので、他の Puppy と大きく異なる部分はありません。興味深いのは、ブラウザが Firefox 38 esr であること、メディアプレーヤーが GNOME MPlayer であることです。収録されているアプリケーションやユーティリティーの類は Ubuntu ベースの Puppy よりやや少ない印象です。ミュージックプレーヤー・CD プレーヤー・CD リッパーはすべて Pmusic に集約されています。Firefox のサイズが大きいので、収録するアプリを削らざるを得なかったのかもしれません。
  カーネルは 3.14.55 で glibc は 2.17 です。Tahrpup より微妙に古いので、最近の Chromium 系ブラウザが動作しない結果につながっているものと思われます。

  プログラムの追加には、Slackware のパッケージ (tgz, txz) の他、Puppy 独自の pet 形式が使えます。Ubuntu の deb パッケージもインストールできますが、システムにあるライブラリとの関係で動かないものがあるかもしれません。率直に言うと、Ubuntu にあって、Slackware にないプログラムが散見されるので、ちょっと変わったことをしようと思うと自分で工夫する必要があります。
  Tahrpup は更新の提供が滞っていますが、Slacko ではプログラムの更新情報が提供されます。(自動更新ではありません) 試しにいくつか入れてみましたが、 正常に動かなくなりました。(orz) パッケージマネージャで依存関係を確認しながら、慎重に行うべきでした。

  私は今回、ThinkPad T42 の ext2 領域にインストールしてみました。Tahrpup と同様にビデオドライバの設定には KMS (kernel mode setting) が使われるので、T42 のような古いマシンでは設定の不適合により、性能を十分に発揮できません。それでも、Slacko は Tahrpup より若干動作が軽く、YouTube 動画の再生も Tahrpup の場合よりはましです。ビデオ性能に関しては、比較的新しいマシンならば問題は生じないと思われます。



  Puppy は Slackware ベースのものから出発したことを考えると、Slacko はある意味、正統な後継なのかもしれません。質素な感じが Puppy 4.1.2 に似ています。Ubuntu ベースの系統は、Lupu, Precise, Tahrpup とバージョン毎に作者さんが交代しているのですが、Ubuntu コミュニティーの豊富なプログラムや情報が利用できるという強みがあります。更新情報の提供では Slacko に軍配が上がりますが、いずれにせよ、プログラムの更新は最終的には自己責任で慎重に行わなければならないものと考えます。 事前に個人保存ファイル(またはディレクトリ)のバックアップをとっておくことが重要です。
2017年10月

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