100円ラジオ改造 スピーカ付きレフレックス3球スーパ

2004年1月完成

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正面−−スピーカグリルの穴以外100円ラジオと同一です。              内部               

大きさ:100円ラジオと同一 (90mmx55mmx23mmつまみ部除く)

特徴:1、スピーカを動作させる電池管式の4球スーパ相当の回路でありながら100円ラ
          ジオと同一サイズでほぼ同一の外観。――100円ラジオのケースをほとんど
   そのまま使用。                                                                           
   2、オリジナルの100円ラジオの部品を、半導体、基板、IFT類以外の多くを 
活用。                                                                                  
3、B電圧は24Vの低電圧動作                                                       
          
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        オリジナルの100円ラジオとの比較        スピーカ取付け状態--スピーカは球と電池の下です。
 

使用球    : 1AG4 1AJ5 CK526AX                                                      

 回路構成 : 周波数変換    中間周波増幅     検波    電圧増幅     電力増幅 
                       1AG4         1AJ5(P)        1AJ5(D)    1AJ5(P)    CK526AX
                                                          レフレックスでIFと共用

回路図 

 ※回路図はあくまで参考です。利用は自由としますが利用により生じるいかなる結果にも責任を負いません。

回路について: 
  このラジオの回路のベースになっているのは言うまでも無く「SMT管式3球レフレックススーパー」の回路で、使用いている球の種類など、よく似ていることがわかると思います。しかし回路図上では「MT管式3球レフレックススーパー」、「ST管式2球スーパ」にむしろ似ています。ボリウムがIFT−Aのところに入っている点、、5極管コンバータの回路等、こちらの方と共通です。「SMT管式3球レフレックススーパー」を製作したのは、もう3年程前で、その間他のラジオで試してみて結果の良かった内容を取り入れたような形です。
   検波回路の帰路がA+とGNDの中点に接続された形になっていますが、これは、このようにした方が結果的に感度が良かったからで、特に理論的な裏付けがあるわけではありません。IF増幅に使用している1AJ4は2極部のPと5極部のG1が接近しており、そのままだと発振するので、中和をかけている点はSMT管式レフレックス3球スーパーと同様です。
   B電池をどうするかはいくつかの選択肢があり、これによって決まるB電圧によって回路も変わるわけですが、100円ラジオの電池ホルダ部分をできるだけそのまま使用したかったので、「100円ラジオ改造再生検波式2球スーパ」と同様の方法とし、電池容量もなるべく大きな物を使いたかったので電池も同じLR−1130を使っています。この構造でLR−1130を最大16個入れることができるのでB電池はLR−1130、16個でB電圧は(電池が新品のとき)24Vとしています。
   周波数変換回路は、「100円ラジオ改造再生検波式2球スーパ」で実績があるので、これと同じ回路で同じ1AG4を使用しています。この回路は発振が非常に安定で、今回のものはA電圧が0.9VではB電圧が9Vまでは全周波数範囲で発振していることを確認しています。A電圧が1.2V、B電圧が18V位のときには5678でもそれ程差はないようなのですが、5678でどの程度の電圧まで使用できるかは、実は確認していません。
   中間周波増幅、検波、低周波増幅は事実上1AJ5以外に選択肢がないので1AJ5を使用しています。この球が低電圧で使用できるか心配だったのですが、電池消耗時を含め、特に問題はありませんでした。
   電力増幅は一般的な1AG4も試したのですがただでさえ低いB電圧がバイアスで更に低くなってしまうのがいやでゼロバイアスで試してみたのですが、うまくゆきませんでした。また、5678では十分な音量が得られませんでした。CK−526AXは補聴器用の出力管で、B電圧22.5V時の出力は4mW弱ですが、一人で聞くこの大きさのラジオとしてはそこそこ十分な音量が得られました。CK−526AX以外では2E31と、消費電力が大きいのですが1AD4も使えました。


電池: A電池:単4 1個 1.5V                                                                         
B電池:アルカリボタン電池 LR−1130 16個 24V                       

使用部品:                                                                                            
・S付きVR    :100円ラジオのものをそのまま使用。電源SWはA電池のみを
ON−OFF。B電池のSWは省略                  
・バリコン       :100円ラジオのものをそのまま使用。                                 
・バーアンテナ :100円ラジオのものを巻線を若干変更して使用。                 
・イヤホンジャック:100円ラジオのものをそのまま使用。                             

・電池ホルダ   :A電池 :100円ラジオのものの片側をそのまま使用。            
           :B電池 :LR−1130 16個をプラスチックの筒に重ねて入れ、
                   これを100円ラジオのもう一方の電池ホルダに入れる。
・IFT、OSC 他 :7mm角のトランジスタ用のIFTの巻き線を変更。                  
・出力トランス   :−−ST30(相当品)の改造(巻線の変更)                           
                       −−もともとのコイルの上にφ0.2線を50T位巻きSP用の2次
コイルとする                               
・AFの負荷      :ST−30(の同等品)を使用。                                           
・外装、      :100円ラジオのケースをそのまま使用。                                 


外装、構造 :  
  
1.6mm厚のガラエポユニバーサル基板に、電池ボックス、スピーカ以外の全ての部品が取り付けられています。球は、互いのシールドを兼ねたホルダに取り付けられたソケットに(ICソケットを切ったもの)に挿されています。このホルダが1mm厚のスペーサを介して基板に取り付けられています。ソケットとIFTの隙間がほとんどなく、この状態では球廻り配線のメンテナンスができないので、このホルダは基板には両面テープだけで固定されていて、メンテナンスの際は時はこれを剥がして位置をずらしてソケットとIFTの隙間を広くすることができるようにしています。このため、このホルダと基板の間の配線は多少余裕を持たせています。基板の、このホルダの下付近は、そのままではスピーカと干渉するので、大きく半円形に切り欠かれています。
   バーアンテナはイヤホンジャックの下側に配置された形になっています。イヤホンジャックは100円ラジオのものをそのまま使用しているのですが通常の取り付け方ではこのバーアンテナを取り付けるスペースが確保できないので横に寝せています。この、横に寝せたイヤホンジャックとバーアンテナは段曲げした取り付け金具を介して基板に取り付けられています。
   イヤホンジャックがなければもっと簡単な構造で済みますし、一般的にはイヤホンジャックは必須ではないと考えられるのですが、私の場合、電車の中で聞くことも多いのでイヤホンジャックは多少無理をしても必ず付けるようにしています。
   オリジナルの100円ラジオは基板はケースにねじ止めされていますが、ねじのスペースが確保できなかったので、基板をケースに嵌めこんで固定するようにしています。
   電池ホルダは前述のようにオリジナルのものをほとんどそのまま流用していますが電池の下にスピーカが入るので、接点の金具を少し上側にずらしています。オリジナルの100円ラジオは電池の上側はけっこう隙間が開いているのでこのようにして電池の下側にスピーカを配置することができました。その分、裏蓋側にモールドされている電池押さえのリブは完全に削り取っています。

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製作過程 (主に機構部分の製作過程を紹介しています。)

性能、他  :
    
前作「100円ラジオ改造再生検波式2球スーパ」は100円ラジオのもとの部品をかなり生かしてうまくまとめることができたと自画自賛しているのですが、スーパーといっても中間周波増幅なしの再生検波なので中途半端な感じは否めません。このため何とかもっと本格的なものを作れないものかと完成直後から考えていました。
   しかし前作「100円ラジオ改造再生検波式2球スーパ」の内部の写真を御覧頂ければわかると思うのですが、あの部品配置にこだわる限り、あの中にあれ以上の部品を配置する余裕はほとんどありません。ましてスピーカを入れるなど全く不可能と考えていました。
   しかし、バーアンテナをこのようにバリコンの上側のイヤホンジャックの下のスペースに移すと、電池とバリコンの間にそこそこのスペースができ、IFTを7mm角のものを使用すれば何とか球3本とその他の部品が配置できそうなことに気づきました。また、オリジナルの100円ラジオは電池の上側(裏蓋側)にけっこうすきまがあり、このスペースをうまく利用すれば薄型のスピーカが何とか入りそうなことがわかったので、本格的に機構的な設計を開始しました。
   その結果、全ての部品が納まり、機構設計的に成立する目処がつきましたので、次に回路の試作を行いました。このように、このラジオの場合、全ての部品があのケース内に納まり、機構設計的に成立させることができるかどうかが最大の問題でした。
   内蔵のバーアンテナのみで鉄筋の室内で当地(大阪府寝屋川市)の地元局は全て受信できます。同条件で夜間は遠距離局も若干受信できます。最大出力は前述のように4mW程度なのですが、前述のように、一人で聞く場合がほとんどの、この大きさのラジオとしてはそこそこ十分な音量得られています。
   A電圧が0.9Vの場合B電圧が9Vまでは局発が停止しないことを確認していますが、そこそこ実用的に使用できるのはA電圧が0.9Vの場合B電圧が14V位までです。
   A電流は計100mA、B電流は実測2mA程なので、電池寿命は、A電池はアルカリの単4で7時間程度、B電池は20時間弱程度ではないかと目論んでいます。LR-1130は100円ショップで2個100円で買えますので、B電池は計800円で、電池代は1時間あたり45円位となり、安くはありませんがめちゃくちゃ高いということもありません。
   最近、同じ100円ショップには23Aという単5電池サイズの12Vの電池が売られており、これだと24V分の2個で200円で済み、また、容量もLR−1130の44mAhに対して38mAhと大差ありません。ところがこの電池は全長が28mmあり、2個直列では数mmの差で、本機の電池ホルダに入りません。しかし、本機が完成した後気がついたのですが、この電池を分解すると、中にはLR−932というボタン電池が8個と、両端に端子板が入っています。この端子板は結構厚みがあるので、これを除き中身のLR−932電池16個のみにすると本機の電池ホルダに入れることができます。これだとB電池は200円で済みます。

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    100円ショップで売られている12Vの23A電池       23A電池2個分の中身のLR923(16個)を入れた状態
    と、その中身のLR923   8個                                全長はLR113016個より少し長いですが                  
                                       細いので納まりはよいです。 

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