製作過程 (主に機構部分です。)


1、ブレッドボード試作

   ・実際の製作の前に、写真のようなユニバーサル基板で回路の試作を行いました。

6AB8S_S_BREAD.JPG - 15,628BYTES 
ブレッドボード試作。再利用の基板なので余計な部品も付いています。

・この試作での回路は検波は6AB8(T)によるグリッド検波だったのですが、そこそこいけそうだと判断し、実際の製作にとりかかることにしました。                            

 

2、機構設計

・   最大の目標である、「ワイシャツの胸ポケットに入るラジオ」とにするには外形の周長が約200mm以下でなければならず、外装を2mm厚のアクリル板で構成するとす るとシャーシに許される寸法は61x31mm程度しかなく、行き当たりばったりで作ると途中で破綻をきたすことになりそうな気がしたので、一応最初に図面 (組立図)を書くことにしました。
   61x31程度のスペースに、スピーカのマグネットの突出を避けつつ球2本と直径14mmのIFT 2個を配置できるかどうかが最大の問題点だったのですが、幅に比べ厚さがやや厚い形状になることに目をつぶり、シャーシの占有寸法を59x33とすることで何とか配置することができました。しかし、各部品のすきまはほとんどが1mm以下となるぎりぎりの配置となってしまいました。
   また、バリコンは6BH6と重なる配置とせざるを得ないのですが、この寸法とすることで、何とか100円ラジオの20mm角のバリコンを配置することができました。尤も、バリコンの軸はぎりぎりまで切り詰める前提ではあります。 

ZUMEN2.GIF - 4,166BYTES
シャーシ上平面の部品配置−−部品同士の隙間がかろうじてあります。

・   A電池の単3電池6個は回路部分の下に配置しました。B電池CR2016、6個はA電池と前面板の間の5mmの隙間に配置しています。
   回路部分の高さは6AB8+ソケットの高さに若干余裕を持たせた値で72mmとしています。これにA電池部分の高さ42mmを加え、ケース内寸の高さを114mmとしました。
    全体の構造は「ST管式2球スーパ」と同じように1枚板の前面板に全ての部品が取り付けられ、後方から箱型をしたカバーをかぶせるような構造にしています。バリコン、バーアンテナ、OSCコイルは1mm厚のベーク板に取り付けられ、このベーク板を前面板に取り付ける構造にしています。同様にボリウムも、B電源用のSWと共に1mm厚のベーク板に取り付けられ、このベーク板を前面板に取り付けるようにしました。
   シャーシはL字に折り曲げた部分で前面板にねじ止めする構造になっていますがスピーカの干渉を避ける為、変則的な形状になっています。イヤホンジャックも配置する場所に苦労し、結局出力トランスの上側に配置していますが、カバーの部分に直接取り付けるとカバーをはずす際、本体と配線がつながった状態でしか、外せなくなるので、シャーシを折り曲げて、この部分に取り付けています。結果的に組立図は下図のようになりました。                                                                                     

ZUMEN.GIF - 10,514BYTES
完成した組立図---2次元CADです(^ ^;;;)

 

 

3、部品の製作と組み立て

シャーシの加工
   ・アルミ板に罫書きし、穴あけ。外形を切り出してからだと穴あけがやりにくいので、切り出す前に穴をあけます。

6AB8S_S_CHASSI1.JPG - 9,923BYTES 
罫書きと穴あけの終わったシャーシ

・外形を切り出し、やすりで仕上げ、曲げ加工し、完成                                      

  6AB8_S_CHASSI2.JPG - 5,492BYTES
完成したシャーシ


前面板の製作
・アクリル板に罫書きし穴あけの後、切り出し、端面をやすりで仕上げます。

6AB8S_S_FPANEL.JPG - 6,074BYTES
完成した前面板


ボリウムとバリコンの取り付け部の製作
   ・ボリウムとバリコンの取り付け板(ベーク板)を作り、これにボリウム、バリコン等の部品を取り付けたユニットを作ります。ボリウムのユニットには写真のようにB電池のON−OFF用のSWも取り付けられ、ボリウムにもともと付いているSWの可動片からアームを出し、連動させるようにします。
   バリコンの方のユニットにはバーアンテナとOSCコイルが一緒に取り付けられています。OSCコイルは100円ラジオのもの(巻線は変更)ですがケースを取り外しています。 


6AB8_S_PWB.JPG - 4,991BYTES      6AB8_S_SVR.JPG - 5,069BYTES    6AB8_S_VC.JPG - 6,019BYTES
完成した取付板                VRとB電池用SWを取付けます           バリコン等を取付けます。

 

I.F.T.の製作
   ・100円ラジオのI.F.Tの巻線を変更した後同調コンデンサ、結合用Rを取り付け、リード線を出します。I.F.T−Aの方は2個を組み合わせた状態になっています。I.F.T−Bの方は単同調なので1個だけです。

6AB8_S_IFT1.JPG - 4,807BYTES                     6AB8_S_IFT2.JPG - 5,936BYTES
完成したIFT-Aの中身                            完成したIFT-Bの中身

    ・マンガン単3電池の金属外装の塗装を剥がし、適当な長さに切り、取り付けための足を付けます(左)。これに先ほどの100円ラジオのI.F.T改造品を入れて完成。天面にはプラスチックの板をワッシャ状に切って銀色に塗装したものを内側から接着しています。これで100円ラジオのI.F.Tも少しは真空管ラジオ用のI.F.Tのような雰囲気になります。

6AB8S_S_IFT3.JPG - 10,621BYTES  6AB8_S_IFT4.JPG - 6,000BYTES
単3電池の金属外装で作ったケース           コイルをケースに収めて完成

4、全体の組み立て
    ・I.F.T等の部品をシャーシに取り付けます。部品の取り付けには接着を多用しています。トランスを接着で取り付けるのはかなり邪道ですが。トランスの向きは図面とは違っています。

6AB8_S_KAN1.JPG - 14,001BYTES
主用部品の取付が終わったシャーシ

  ・シャーシと、VR,バリコンのユニットを前面板に取り付け、ラジオ本体の機構部分は完成です。

6AB8_S_KAN2.JPG - 20,461BYTES
完成したラジオ本体の機構部分。変周管は6AU6が挿さっています。

  ・あとは配線、電池ホルダ、ケースの残り部分を作って完成です。−−といっても実際はトラブルシュートにかなり手間取りましたが。

6AB8_S_KAN3.JPG - 10,970BYTES
完成した本機

「TV球6AB8使用ポケットサイズ2球スーパ」の頁に戻る