真空管風ラジオを本物の真空管ラジオに

フレーム

 真空管ラジオに改造する元ラジオとして面白いものがないかなーと思って色々見て回って
いるときに見つけたのが FUZEの真空管風クラシックラジオでした。そういえばこのラジオ
は以前DIYショップ等でよく見かけて面白いことを考えるものだなーと感心していたのです
が、最近は店頭から姿を消してしまい、買っておけば良かったと思っていたラジオでした。
 これが本当に真空管ラジオだったらもっと面白いだろうし、デザイン的にも見た目の品質
も良さそうだったので、今回はこの真空管風ラジオを改造ターゲットに決めました。しかし
いざ入手しようと幾つかDIYショップを回ってみましたが置いているところはなく、結局ネット
通販で購入することになってしまいました。ちょっと高かったかなー・・・。


元のラジオ
 この真空管風クラシックラジオには幾つかマイナージージョンがあるようで、私が入手した
ものは最終バージョンのようで、液晶時計付きのOLD-500というタイプでした。液晶時計
以外のデザインは他のものと同じで、3球分のアクリルケースと、何故か大きな放熱板(の
形をしたスピーカーボックス)がシャーシ上に乗っている形です。
 外見は変えない方針ですし、今回はできるだけスピーカーから実用的な音量が出せる
ようにしたかったので、回路構成はMT電池管3球レフレックススーパーで行くことにしま
した。液晶時計はそのまま利用します。


回路構成
 周波数変換 − 中間周波増幅 − 検波 − 低周波電圧増幅 − 電力増幅
   1R5        1T4     Diode  1T4(レフレックス)   3S4
 バーアンテナ 手持ちのトランジスタ用
SL−45GTをそのまま使用
 バリコン 手持ちのAMトランジスタ用親子ポリバリコン
 OSCコイル トランジスタ用の7KタイプOSCの巻線変更
 IFT FCZの40KHz用7Kタイプの巻線変更
 低周波チョーク ST30をそのまま使用
 出力トランス ST30に2次コイルを60回巻いた物
 ボリューム 元のラジオから取り外し品
 スピーカー 同口径の薄型のものに交換
 A電池 単3電池 4本(6V)
通常はニッケル水素電池4本(4.8V)で代用
 B電池 DC-DCコンバータを使用しA電池から65Vを生成
スピーカーボックス内に格納
  抵抗・コンデンサ類は全てトランジスタ用を使用。
  回路図(参考程度にしてください。再現性は未確認です)


内部構造
 真空管の取り付け位置が決まってしまってますので、それに合うように片面の生ベーク
基板をカットし、その上に部品を空中配線しています。全面べたアースになりますので、
浮遊容量が気になったのですが、何とか大丈夫のようです。
 OSCとIFTの足の部分は、生基板をパターンカットしてランドを作って配線しました。
ラグ板は結局使いませんでしたが、結構危ない空中配線の箇所もありますので、本来なら
ラグ板を使うかランドを作った方がいいでしょう。

 バリコンはフロントパネルにネジ止めしましたが、どうしても周波数変換管のソケットと
隣接してしまい、トリマの調整が非常にやりにくい位置になってしまいました。また同調
ツマミの軸がオリジナルでは長過ぎて飛び出してしまい不細工なので、加工が必要です
が、まだ出来ていません。
 ボリュームは、元の基板に付けたまま基板を短く切断して、シャーシ基板に垂直に固定
しました。

  部品配置写真1  部品配置写真2


DC−DCコンバータ
 このラジオは元々単3電池4本を2本ずつ折り返す形で入るようになっています。そこで
最初は、半分の2本(3V)をA電池に、残りのスペースにボタン電池を詰めてB電池にする
つもりで回路を考えて作っていました。しかしあらかた配線して調整に入ると、B電池の
減りが非常に早く1時間もすると電圧が大分下がってしまうほど消費電流が多くなっていま
した(その大半が電力増幅段のバイアス不足が原因でした)。
 そこで急遽A電池を6Vに変更して、DC−DCコンバータを作ることに方針変更しました。
真空管ラジオ用のコンバータは今まで作ったことがなかったので、かわばたさんの回路
参考にさせてもらい、無安定バイブレータ回路にして作ってみました。

  回路図(参考程度にしてください。再現性は未確認です)

 適当に手持ちのトランス(偽者ST30と勝手に呼んでいるST30互換とは名ばかりのイン
ピーダンスが大分低いトランスです)を使ってみましたが、うまく電圧が合ってくれました。
出力側電解コンデンサは、小型のものだと50V耐圧品しか入手できなかったので、容量
は減るけど2個ずつ直列接続にしました。電圧分割抵抗は入れてませんが、バランスは
大きく崩れていないようです。
 この回路で、出力は60V 10mA程度は普通に取れ、もっと負荷を上げていくと多少電圧は
下がるものの15mA程度までは出ましたが、それ以上は発振が止まってしまいました。
まあ、電池管ラジオ用としては十分使えそうです。普段はA電池にニッケル水素電池4本
(4.8V)を使っているのですが、それでも十分なB電圧が出ています。

 入力側のフィルタ用電解コンデンサが大きくて余りコンパクトになりませんでしたが、
スピーカーを薄型の物に交換することで、何とかスピーカーボックス内に収めることができ
ました。しかしトランスが唸るせいか、ピーという発信音がして耳障りです。これは解消方法
がないかなー。


調整と問題点
 最終の回路になるまでには結構トラぶりました。中でも周波数変換部と電力増幅部が
発振してしまう症状には苦労しました。
 周波数変換部の発振は、バーアンテナを交換したりバイアス電圧を変更したりすることで
何とか安定動作するようになりました。
 電力増幅部の発振は、ボリュームの位置を現在のように低周波チョークにパラ接続する
ようにしたことで、入力インピーダンスが下がり安定動作するようになりました。その代わり
電圧増幅段の入力レベル調整が出来ない為、電波の強い局を受信するとボリュームを
絞っても歪んだ音になってしまいます。もう少し1T4の第2グリッド電圧を下げないとダメな
ようです。
 また、何とかして初段のIFT間にボリュームを入れる回路にするか、1U4などのシャープ
カットオフ管に変えるのも良さそうです。

 バーアンテナとバリコンがうまくマッチしていないようで、受信周波数が高いほうへずれて
しまっておりトラッキング調整もうまく取りきれていませんが、何とか800〜1300KHz位の間
では実用的に受信できるところまで持っていけました。
 まだ音量ツマミの軸の短縮やその他細かい修正が必要ですが、今後少しずつ改良して
いきたいと思います。

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