100円ラジオ改造2球ポケットラジオの製作

フレーム

 今はもう入手困難になってしまったダイソーの100円ラジオを使ったサブミニチュア管2球レフレックスラジオを作ってみました。私はなぜか1V6に愛着があり、何とかこれを使って小さな100円ラジオのケースに入るよう実装してみました。


きっかけ
 「真空管1球入魂」という本に触発されて、最初は1V6を1本だけ使って3極部で周波数変換、5局部で中間周波増幅と低周波増幅という構成で作れないかと色々実験していたのですが、どうしても発振が抑えられず途中で断念してしまいました(まだ諦めてませんが)。
 でもそのままでは終われないので、周波数変換を別の球にさせることで1V6の5極部をレフレックスにし3極部でさらに低周波増幅させて、できるだけ大きな音で鳴らせる構成を考えてみました。
 全ての部品が小さな100円ラジオ内に全て収まることは、川端さんの力作で証明されていますので、あとは自分の工夫次第で何とかなるはずです。


構成
 周波数変換−中間周波増幅−検波−低周波増幅−電力増幅
   5678     1V6(5極部)  1K60  1V6(5極部) 1V6(3極部)
 バーアンテナ 元のラジオから取り外し品にリンクコイルを
60回に巻き直した物
 バリコン 元のラジオから取り外し品
 OSCコイル トランジスタ用OSC(赤)の巻線変更
 IFT トランジスタ用IFT(黄・白・黒)の巻線変更
 出力トランス ST30に2次コイルを50回巻いた物
 ボリューム 元のラジオから取り外し品
 イヤホンジャック 元のラジオから取り外し品
 A電池 単4電池 1本
 B電池 LR923 16個 24V
(市販の単5サイズ12V電池をバラした中身)
  抵抗・コンデンサ類は全てトランジスタ用を使用。
  回路図(参考程度にしてください。再現性は未確認です)


 真空管は以前に購入したものの残りで、真空管ソケットは例によって2.54mmピッチの丸ピンICソケットを切って使っています。
 回路構成と定数は、殆ど真空管式ポケットラジオプロジェクトのコピーです。OSCコイルは最初115ターン巻いていたのですが、発信周波数が低くなりすぎたので95ターンにまで減らしました。
 IFTの巻線仕様は、紹介されている通り1次側コイルと2次側コイルの間に薄いプレートを入れて分離しています。巻初めと巻終りの位置と巻線方向にも注意して巻きました。

 1V6は元々周波数変換専用管のため5極部と3極部の静電容量で結合するように作られています。そのためこのような回路だと、3極部のグリッドにIF成分が漏れてしまうと静電容量を経由して5極部グリッドに戻ってしまい発振してしまいます。
 そのため、3極部グリッドには3KHzのローパスフィルターを入れてあります。最初このフィルター周波数を20KHzで作ってみたところ、IF成分が取りきれず発振してしまいましたので、3KHzまで下げました。

 プレート電流が余り流れない1V6ですので余り大きな音量は期待できませんが、一応スピーカーを付けるつもりで回路図には書いてあります。でも実はまだ効率の良い小さなスピーカーが入手できずにいて、実装できていません。


内部構造
 1枚のユニバーサル基盤を元の基盤と同じ大きさにカットして内部に収まるよう加工しました。バリコン・ボリューム・イヤホンジャックなどは位置を動かせず、多くの部品を詰め込まないといけないので、今回も2D−CADを使って部品配置を検討した結果、次のような配置であれば全部品が無理なく入れることができました。

  部品配置検討図

 1V6は7ピンSMTですので、1列にしてICソケットに入れるとケースより高くなり過ぎて入りません。そこでICソケットを2列にして、1列目には2〜6ピンを、2列目の上下端に1ピンと7ピンを入れるようにしました。
 IF増幅管がバリコンに接近している配置のため、シールドを兼ねた真空管ホルダーを0.1mm厚真鍮版で取り付けました。比較をしてないのでどの程度効果があったのかは不明ですが、安定して動作しています。

 B電池は例によって単5サイズの12V電池2本をバラして取り出したボタン電池です。紙を丸めて作った筒に入れました。単4サイズの電池ケースに何とか押し込んでみると全部で16個入りました。A電池は元のラジオのまま単4電池1本です。

  部品配置写真1  部品配置写真2


調整、トラブル対処
 AF部、IF部、RF部と順に動作チェックをしながら組み立てていったので、特に大きなトラブルもなく動作しました。ただ、局発周波数範囲の調整中に、少し同調ダイヤルを触るだけで発信周波数が大きくズレてしまう症状に見舞われました。
 どう考えてもバリコン自体に問題がありそうだったので、意を決してポリバリコンをバラしてみると、局発側ローターをカシメているナットが緩んでいました。中国製だとこんなこともあるのかと半ば呆れながら、ナットを締めて再組み立てすると無事安定して発信するようになりました。
 トラッキングも問題なく調整でき、イヤホンでなら地元の6局を十分な音量で安定して受信できる程度の性能に仕上がりました。


残課題
 先にも書きましたが、まだ小型で薄く高能率のスピーカーが入手できていませんので、近いうちに日本橋で探してきて実装したいと思っています。その時には、基盤の一部をカットしたり電池ボックスを改造したりする必要がありそうです。
 また、1V6の3極部はグリッドリークバイアスのみにしていますので、どうしても大きな音で鳴らすとバイアス不足で音が歪んでしまいます。スペースの関係でC電池を追加することも難しく、AGC電圧を利用する等の改良が必要になりそうです(特にスピーカーを実装するときには)。

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