・スメナ8Mの試写

[ 作例(1) ]

 実は「スメナ」なるロシアカメラのことは、全く知りませんでした。カメラは道具と言いきるおやじですが、 知らない道具の名前を聞くと確かめないと気が済まない。ネットで調べると、結構有名らしくあちこちで検索に引っかかる。 外観を見てもロシアらしいチープな作りとしか思わないが、やけにレンズを誉めてるのが気になるなぁ。

 そんな中、2台あるからとりんたさんからご好意でスメナをいただきました。 それならばと、早速写してみることにしました。

 一応ネットで作例を探したが、この手のカメラはコレクターが多いらしく見つからない。 やっと見つかったら「プラナー並」と書いてある。「なに?、プラナー並ならまずは赤の発色だ」とビッグサイトのオブジェを撮って見た。 F11で1/250。テッサータイプなら、コントラストが最も上がってカリカリにシャープになるはず。結果は右の通り。 派手さではRVPほどではないRDP3を使ったのに、ご覧の発色。恐れ入りました。

 この画像はフィルムスキャナで取り込んだものですが、濃度を整えた程度でほとんど編集していません。 グレイの色を見れば分かりますが、レンズの色が偏ってないのにこれだけ切れのいい色を出せるとは思いませんでした。 好みからすればコントラストが強すぎますが、力のない描写のレンズしか使ったことない人にはガンっと来る画質ですね。 (でも、ちょっと派手過ぎ..。)

 円形絞りでボケも綺麗だし、なかなか素性のいいレンズです。スキャナの画像でわかり辛いですが、 原稿はかなりのシャープさを発揮してます。F4〜F5.6はやや甘いものの、F8からしっかりしてきて、F11でガツンとくる。 テッサーのお手本のようなレンズです。開放をF4に抑えてるせいか、周辺も思いの他いけてます(ただし、開放ボケは周辺でやや流れ気味)。 同じテッサーでもツァイスと違ってボケが早めなんですが、立ってる警備員を見ると不自然ではない遠近感を出しています。

 ツァイス好きのおやじは(ちょっと悔しいので)プラナー以上とは思いませんが、匹敵するほど赤は出ます。(^_^;)



[ 作例(2) ]

 カメラを見て気になったのは、レンズにコーティングがほとんどされてないこと。内側からバルブで見ても、 レンズ枠は光ってるし、ボディ内もプラスチック剥き出しでテカテカです。これでは逆光は辛そうだと、プラカラーで出来る限り対策。 じゃあそれならと、スメナにはちょっと厳しいシーンを撮りました。

 右の写真は半逆光の水面で、しかも半分はシャドウ。上下にハイライトも入れてあるので、並のカメラやズームでも厳しい条件です。 さすがに順光ほどいい描写は出来ませんが、潰れていないシャドウやゴーストが出なかったのはなかなかです。

 下の水面がややフレアっぽくなっていますが、コーティングが貧弱なカメラでこれだけ撮れれば大したもんでしょう。 光点に筋が出ないのは、絞りが円形のおかげですね。

 輝度比が大きな条件ではツァイスとは差が出るかもしれませんが、 ツァイスとじゃ値段が違うのにこんなこと言ってる方が恥ずかしい..。(^_^;)

 いいことばかり書いたので、最後に残念な点を少し..。

・最短撮影距離が1mまで。
・ファインダーがあまり正確でない。
・シャッターの位置が悪くて、チャージレバーが手に当たる。
ダークバッグがないと、フィルム交換が出来ない。
 ※この点は、シャッターを押しながら巻き戻すことで何とかなりました。(2002/1/28追記)

 下手なオートのコンパクトカメラより、いろんな意味で「素直」なカメラです。正直驚きました。(^_^;)

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