一見すると同じ写真が2枚並んでいるようですが、左がプラナー50mm、右がテッサーの45mmで撮ったものです。 サイド気味の半逆光で壁を写したものですが、前後に被写体を入れて奥は完全な日陰という過酷な撮影条件です。 シャッターはマニュアルで固定して露出は同条件にし、スキャン後の色やコントラストなどはまったく補正していません。 どちらも、ピントは一番手前の柱に合わせてあります。
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開放にもかかわらずテッサーの方がややコントラストが高く、全体的にピントが深く見えます。奥の樹と家屋の影を見れば、 プラナーの方がシャドウの再現性と発色の良さを出してることがわかります。この条件でもシャドウがつぶれず、 色が濁らない質感で描写してるんですから、両レンズともツァイスの名に恥じぬ名レンズですね。 個性的なこの2本に優劣はありませんが、地味な発色で壁の質感を優先するなら「テッサー」、 発色の良さとシャドウ描写を活かすなら「プラナー」が向いています。 (なお余談ですが、どちらのレンズも絞り込むことで、発色以外見分けがつかないほどのシャープさとコントラストを発揮します。)
○中央部分拡大
ピントが合っている柱の部分を拡大しました。プラナーは開放から2つ絞っているのでその分有利ですが、
それにしてもシャープさや解像度はプラナーが上です。壁の質感はいい勝負ですが、やはり開放の分テッサーは不利ですね。
(ま、テッサーで「カリカリ」のシャープさが欲しければ、f11以上に絞るしかないですけど..)
○周辺部分拡大(その1)
画面の端っこを拡大してみました。こうすると、両レンズの違いが良くわかりますね。もともとf2.8でこんな撮り方すれば、
こんな場所にピンが来るわけないんですけど、テッサーはコントラストでそれを出してしまいます。
どちらもシャープさはないですが、コントラストとボケ味の違いだけで「見る印象」はずいぶん違いますね。
光点のボケからテッサーが開放なのがわかると思いますが、それにしてもピンの深いレンズです。
たった5mmの焦点差でこれはすごいですね。ただ、念のため言っておきますが、プラナーの方も十分優秀なんですよ。
変な標準ズームではボケが崩れるので、ここまでの再現はできないでしょう。
○周辺部分拡大(その2)
これも周辺ですが、手前の壁の部分です。どの辺からボケるかわかりやすい部分ですが、前ボケとしてはプラナーの方が境目がはっきりしています。
こういうレンズはボケが確認しやすいので、撮る時にもピント合わせが楽で扱いやすいレンズです。
一方のテッサーは、撮影者のピンボケも多少ごまかしてくれますね。シャッターチャンスを優先したとっさの撮影には最適でしょう。
レンズの軽さとコンパクトさから言っても、このレンズが「スナップ」の名レンズと言われている所以かもしれません。
しかし、それにしてもテッサーの壁の質感が抜きん出てるのが恐ろしいです。発色ならプラナーが上なんですけどね..。