モノクロフィルムの現像(道具編) 

[現像のお話し Vol.05, 2000年06月20日UP]

 え〜、いよいよ道具の話なんですが、はっきり言って個人的な意見です。というか、万人向けの話には出来ないんですね。 まあ、おやじの道具と現像方法はノーマルな方なんで、基本に近いと思ってください。 このやり方を押しつけるつもりはありませんし、自分なりの要求を満たすには各自でアレンジしていくことが必要でしょう。

今回も画像入れたりエピソードつけたりして、凝ってみようかと思ったんですがやたら長くなるだけなんで止めました。 いつもよりシンプルに書かせてもらいます(^_^;)。 なお全体の流れとしては、導入編の「フローチャート」を参照してください。

 ・薬品準備に使うもの
道具名
お勧めは?
説 明
メスカップ
プラスチック製
これは薬品を水に溶かしたり計量するのに使う取っ手の付いた「計量カップ」です。 プラスチック製の安物でいいと思いますが、割れやすいものもあるので「丈夫」な奴にしましょう(金属製は計量のときに見づらいです)。 薬品を溶かすだけなら大きいの一つでいいんですが、少量の計量が不正確になるので、大小2サイズあった方がいいでしょう。 また、薬品は分けて溶かすことが出来ませんので、自分に必要な最大容量(印画紙用の定着液で2リットルとか) が入るものを選びましょう。
攪拌棒
割り箸以外
いわゆる「かき混ぜる」ための棒です。別に専用のじゃなくてもいいんですが、使いやすいものにしましょう。 当たり前ですが、メスカップの高さより短いものは使えませんのでご注意を..。
古い現像の本なんかに「割り箸でよい」などと書いてあったりしますが、絶対に使わないでください。 箸には薬品が染み込むので別の薬品を攪拌するときに混じってしまい、トラブルの原因になります。 まあ、環境のためにも使い捨ては止めたほうがいいと思いますが..。
温度計
100度の棒型
温度計は薬品の温度を測るもので、特に説明は必要ないと思います。ただ、あまり安いものは精度が心配なんで「そこそこ」のものにしましょう。 写真専用のもの(変な金属カバーが付いてる)や、円盤型、デジタル型など凝ったものもありますが、普通の棒型でいいです。 経験上使いづらくなるだけであまり役に立たないです。50度までの温度計だと熱いお湯で壊れるので使わないほうがいいです。 ただ、100度の目盛りじゃ微妙な温度がわかりにくい人は両方もってた方がいいかもしれません。
貯蔵ボトル
シンプルなもの
薬品を保存するためのものですが、薬品が混ざるのを防ぐために必ず「専用」にした方がいいです。 また、大き過ぎると空気が沢山入った状態で保存することになり、現像液などの酸化しやすいものが劣化します。 保存する薬品の容量にあったもの(容量+100ml程度)が適当です。
専用品の中には「浮フタつき」や「蛇腹」になっているものもありますが、薬品の注入時に使いづらいのでやめましょう。 洗いやすいシンプルなもので、ふたがしっかりと閉まり、光を通さないものならOKです。

 ・フィルムを現像タンクに入れる
道具名
お勧めは?
説 明
現像タンク
金属タンク

両溝リール式
タンクはこれがスタンダードでしょう。多少慣れが必要なので初心者は失敗するかも知れません。 (そのせいか現像の本には「片溝式」や「ベルト式」を勧めているものがあります。) でも1番現像ムラを起こしにくく、作業もスピーディーに出来るので、一度慣れてしまえば金属タンクがベストです。 他にも頑丈とか薬品を節約できるとか、温度コントロールしやすいなどのメリットが沢山あります。 1本用から4本用までありますが、いろんなことから考えると2本用が使いやすいでしょう。 このタイプは趣味でやるにはちょうどいいサイズで、リールを買うだけでブローニー(120判)の現像も可能です。
ダークバッグ
手ごろなサイズ
光を通さない黒い布袋で、両手を突っ込むための穴が空いたものです。 完全暗室があれば別に必要ないものですが、一般家庭では難しいでしょう(完全暗室は押し入れ程度では無理です)。 そのため、フィルムを出し入れするのにダークバッグを使います。 メーカーは色々ありますが、商品は同じようなものです。値段で選んでいいと思いますが、 サイズ(S,M,L)があるので「手ごろ」なものを選んでください。 というのも小さすぎると作業しづらいし、大きいと手にまとわりついてやりにくいです。
フィルム
オープナー
これはフィルム取り出すときに、パトローネ(フィルムを囲っている金属ケース)を開ける栓抜きのようなものです。 ただし、撮影したフィルムの「ベロ」を、巻き込まないようにすれば使う必要はありません。 よくダークバッグの中で無理矢理叩き付けたり、手で口をこじ開けたりする人がいますが、フィルムを傷つけるので止めましょう。 他の手として、明るいところでフィルムのベロを引っ張り出す「フィルムピッカー」という道具もありますが、 やっぱり1番の方法は「フィルムを巻き込まないこと」ですね。

 ・現像〜フィルムのとり込みまで
道具名
お勧めは?
説 明
暗室時計
現像は時間との勝負です。従って時計は絶対必要になります。でも、時計であればなんでもいいと思います。 おやじは普通のアナログ腕時計の「秒針」と「分針」を見て現像してます。 人によってはストップウォッチやタイマーを使いますが、現像中は両手がふさがりますので「手を使わずに見れる」ことが重要です。 専用の暗室時計を買ってもいいですが、高いだけでフツーの「目覚し時計」と変わんない気がします。(^_^;)
フィルムクリップ
金属製
これはフィルムを干すときに上下につける「重り付きの洗濯挟み」のようなものです。 それほど高いものじゃないですし、絶対必要なものなので、干すフィルムの本数分(2個で1セット)を用意しましょう。 これがないとフィルムが平らに乾燥せず、極端にカールしたりします。 カールしたネガはプリントのときに平面性が悪くなり、ピントが甘くなる(伸ばしボケ)ことがあります。 この商品も各社からおんなじような物が出てますが、金属製以外見たことないんで値段で選んでもいいと思います。
ネガシート

ハサミ
お好きなものを
ネガシートはネガを収納するポリ製の袋です。35mmの場合は6コマづつに整理されるようになっています。 透明タイプと半透明のものがありますが、好みと値段で選んでください。 ただ、1本づつケースにしまうタイプはたくさん撮る人だと整理に困ってしまいます。 バインダーに綴じるタイプを選んだ方がいいかもしれません。 あとハサミですが、よく切れるものがあれば特別なものはいりません。もちろんフィルムの幅を一度で切れる長さは必要ですが、 35mmも切れない刃の短いものはキティちゃんのついてるようなやつしかないでしょう。(^_^;)

 ・暗室〜引伸ばし
道具名
お勧めは?
説 明
ダークカーテン
別名遮光カーテンともいわれています。ようは暗室にする部屋の窓を塞げばいいわけですが、 ビニール製の安物からゴムコーティングの高級タイプまでいろいろあります。 ただし、どんな高級品を買ったとしても、ただの「黒いカーテン」でしかなく、センスのかけらもないでしょう。 よって暗室専用の部屋じゃなきゃ「使うときにつける」くらいのものです。 光が入いらなきゃいいんで、値段で決めてもいいんじゃない?。
セーフランプ
裸電球タイプ
セーフティランプとも言いますが、印画紙に感光しない赤い光のでる照明のことです。 値段もそれなりの「フィルタータイプ」や「ボックスタイプ」もあるんですが、 いくら感光しないといっても印画紙には光を当てないほうがいいわけで、必要最小限の明るさにしかできません。 よって、金をかけてもあんまり意味ないんで、電球タイプで十分でしょう。 このタイプだったら、部屋にソケットがあれば「電球」買うだけですみますしね。(^_^)
バット
金属以外

大き目
「究極超人あ〜る」で野球のバットを持ってくる話がありましたが、これは薬品を入れるプラ製の「浅い皿」です。 印画紙を現像したり、水洗したりするのに使います。現像・停止・定着・水洗と4枚は必要です。 サイズは各種ありますが、通常使う印画紙のサイズのワンサイズ上が理想です。(六つ切の場合は四つ切サイズ。) 特にメーカーによる違いもありませんし、色が違うくらいしか変わらない商品です。 (中にはヒーターの入った高価なものもありますが、モノクロではほとんど使わないでしょう。)
ピンセット
竹製以外
ピンセットといっても、毛抜きのようなものじゃなく、「印画紙を液中で扱う」ためのものです。 傷つけないように先っぽにゴムがついたものがほとんどですが、大まかに竹製と金属製に分かれますが、 使い勝手は竹(通称:竹ピン)の方がいいです。薬品が染み込むので金属の方をお勧めしたいですが、 ハサミ型やバネ式クリップ型のようにいまいち使いにくい商品が多いです。 「現像用」「定着用」とかに分けて使用後に良く洗うなら竹ピンの方がいいのかも..。 何にしても使いやすくないと、印画紙を折ってしまったり、傷つけてしまったりします。

 今回書かなかったものに、引伸ばし機やレンズ、印画紙や薬品などありますが、 これは一言では書けないので「現像のお話し」の中で触れていきたいと思います。 また、タオルやヘアドライヤー、カッターなどは家にあるやつで十分ですね。 これらをうまく揃えれば、結構安い費用で暗室が作れるかもしれません。 でも、日本人にとって1番厄介な問題は「場所」の確保かもしれませんね..。(^_^;)


店内に戻る

TOPに戻る