カメラの持ち方 

[写真一般のお話し Vol.06, 2001年01月14日UP]

 21世紀初のテーマが「カメラの持ち方」なんて、とっても基本の話しにしてしまいました。(^_^;) まあ、何事も初心に戻るのは重要ですし、今まで気にしなかった方も見直すにはいい機会かもしれませんね。 なお、この場合の「カメラ」はあくまでも35mmサイズです。 中判は手で持つこともありますが、ほとんど「持ち方」が限られていますし、大判カメラは一部を除いて三脚に据えるものですからね..。
 (※なお、いつものようにおやじの個人的な意見ですので、皆さんが「違う」と感じても不思議ではありませんよ。(^_^;)


 アルフレッド・スティーグリッツが三脚から開放して以来、カメラを「持つ」という行為が行われているわけですが(大げさ)、 「持ち方」というのは実に人それぞれで千差万別です。でも、おやじにはちょっとした「こだわり」もありまして、 この機会に書いてみようと思います。まず、カメラとしての「基本」の持ち方から説明しましょう。(^_^)

・持ち方の基本編(コンパクトカメラ編?)

 はっきり言って「持ち方」の上ではコンパクトのデザインは良くないです。 ボディを小さく作るからしょうがないんですが、握りづらいものが多いですね。 中には片手でしか持てないようなカメラ(Fu※iのデジカメ、※inePix なんかそうですね..)もあって驚きますが、 カメラ選びのときは「持ちやすさ」も考えて買った方がいいですね。 特に初心者にとっては「失敗」にかかわってくるので重要な問題ですよ。(^_^)

 しかし、手ブレをカメラのせいにしていても進歩しませんので、下の「基本」を守るようにしてみましょう。

1.両手で握る
 これは大事です。コンパクトに限らず、全てのカメラの基本と言えます。これは「手ぶれ」や写真の「傾き」の原因になりますので、 軽いカメラだからと「片手」で写すようなことはやめましょう。もし、どうしても片手でしか持てないカメラは、必ず左手を添えるようにすると 格段に「安定」します。添える場所はカメラの「左側」や「底」になると思いますが、この時ストロボの発光部をふさがないように注意しましょう

2.顔につける
 カメラに顔の脂がつくのを嫌ってるのか、それとも「厚化粧」がとれるのを怖れているのか、顔から離してファインダーを覗いてる人がたまにいます。 他人のカメラに気を使ってるんでなければ、しっかりと顔に当ててカメラを固定しましょう。 不安定なものを支えるには昔から「3点」で持つのが基本です。「右手」「左手」を使ったら、あとは「顔」を使うしかないですよね。(^_^;)

3.脇をしめる
 こう書くと体に「ぎゅうぎゅう」と力をいれて、すごい窮屈そうに構える人がいるんですが、カメラを構える一番大事な要素は「リラックス」です。 余計な力を入れないようにしましょう。「脇をしめる」とは「脇を大きく開けて構えない」という意味ですから、体に腕をぴったりつける必要はないです。(^_^) あと、、ぶれないように息を止めるのはいいんですが、長い間止めすぎて苦しくなるとかえって力んでしまいますのでほどほどに..。

 なお、顔の「どこ」に当てるといいのかは個人で違いますし、カメラの形にもよるので一概には言えませんね。 でも、大体は眉のあたりの「おでこ」か、覗いてる目の下の「頬骨」あたりじゃないでしょうか?。 「鼻」は支えるには柔らかい部分だし、「点」で支えることになるので不安定になりやすいです。 (日本人はもともと鼻が「低い」民族なので、そういう面では有利ですね..ってあんまりうれしくない?)

・日本人とNikon F3
「Nikon F3」はプロ用のカメラとして大ヒットした「名機」ですが、そのデザイナーが車で有名な「ジウジアーロ」だったことは覚えているでしょうか?。 メルセデスのハンドルにヒントを得たラバーグリップや、洒落たアクセントラインはいいんですが、 おやじが一つだけ気に入らなかったものが「モータードライブ」でした。ジウジアーロは顎があたって構えにくいからと下に行くほど「前方に張り出した」 デザインにしたんですが、のっぺりした日本人の「顔」で顎があたった人はいたんでしょうか?。 それよりもレンズマウントの付近を掴んで構えた時に、手首にあたる張り出した「角」が気になってしょうがなかったんですが..。


・一眼レフの持ち方編(ちょっと上級編)

 今度は一眼レフの持ち方なんですが、基本的なことは上の「基本編」と変わりません。 ただしより重くなりますので、さらにしっかり持たないといけません。まあ一眼レフだとボディも大きくなりますので、 サイズ的には両手で持ちやすくなりますが..。

1.左手にのせる
 こう書くと「えっ?」と思う人がいるかもしれませんが、一眼レフの基本はカメラを左手にのせます。手のひらにボディを置いて、 人差し指の「付け根」にカメラのマウント部分が来るようにおきます。こうすると、指を自然に曲げるだけでレンズをつかむことが出来ます。 バッテリーボックスやモードラなどで「底」が出っ張っているような場合でも、基本は同じです。レンズが重くなればレンズの重心に合わせて多少前を掴みますが、 ボディよりレンズが重くないかぎり「左手にのせる」ようにしてホールドしてください。
 (※レンズがボディの重量を越える場合は「レンズが長い」と思います。その場合はレンズを左手で握りましょう。)

2.右手を添える
 これまた驚く人がいるかもしれませんが、右手でカメラを持つとシャッターが押しにくいんです。 ですから、カメラは左手にのせて「右手を添える」ようにしましょう。カメラの操作や移動ではどっちで持ってもいいですが、 両手で構えた時の右手は「添える」役目になります。その分、左手が「支点」となってカメラをしっかり支えないといけません。 右手にカメラの重心があると、とっさに「人差し指」が動かないし シャッターを押し込むと他の指がいっしょに動いて「ブレ」や「傾き」の原因になります。

 この点以外の「顔に当てること」や「脇をしめる」ことは「基本編」に書いてることと同じです。 ただ、一眼レフにはより顔を密着させやすいように「アイピース(ファインダーの覗くところ)」に付けるアクセサリーが出ています。 アイピースフードアダプターの名前でメーカー純正品が出ていますが、 金額の割に効果があるので出来れば付けておきたいですね。 (ただ、カメラをよく使う人はこのアダプターで擦れて、眉毛が薄くなることもあります。ご注意を..。笑)


−ここで閑話休題..−

 皆さんは最近の一眼レフに「必ず」付いてるグリップについてどう思いますか?。なるほど持ちやすいものもありますが、 かえってホールディングを悪くしてる場合もあるんじゃないでしょうか?。

1.シャッターボタン位置
 手の大きさの違う人が、固定された「シャッターボタン」に指を置くためには「握る手の位置」をずらすしかありません。 ところが「グリップ」があると「持つ位置」が固定されて、人によっては自然にシャッターボタンに指が届かないことがあります。 これぞ「小さな親切、大きなお世話」の典型かも知れませんね..。(^_^;)

2.右手でホールド
 上の話しで「左手で支える」と書いてるのに、最近じゃ「右手」でしか持てない一眼レフがあります。 右側のスペースが小さくて、手の大きな‘おやじ’だと窮屈でしょうがないようなカメラが付けてる場合ですね。 まるで基本デザインは手抜きしてるのに、とりあえず「グリップ付けたからいいだろう」みたいな感じがします。
 (バッテリーホルダー付けてなんとか使ってるけど、おやじの持ってる「PEN※AX」の「M※-5」なんかがそうですね。)

・「自作」グリップと歴代「Nikon」
 手に合わないカメラ使うほど面倒くさいことないですよね。ひどいと構えただけで写す気がなくなっちゃいます(^_^;)。 そうなると「プロ」の中には出来るだけ自分の理想に近いカメラに改造する「つわもの」が出てきます。 こういった話は「Nikon」の「F」「F2」の頃は聞かなかったんですが、「F3」のグリップには賛否両論で、改造したりする人もいましたね。 続く「F4」は分厚いグリップがボロクソに言われ、スリムにした「F4E」が出て評価が変わったんで、 「F5」がこの辺を考慮して出てきたのは当然かもしれません。(^_^;)

 ところで昔、「PENTAX」の「LX」に自分の手に合わせて削る「自作グリップキット」があったんですが、今はどうなんでしょう?。

・手に「しっくり」の背面グリップ
 皆さんはカメラに付いてる「グリップ」というと、ボディの「前」に張り出したものに目が行くようですね。 でも、おやじの経験で「しっくり」くるグリップって、「背面グリップ」だと思います。 背面グリップとは一眼レフの裏ブタについてるやつで、握ると「親指の付け根」に当たるものです。 これがあると右手でホールドしたとしても、「親指と小指」でカメラを支持できるので、シャッターを押す「人差し指」がフリーになります。 効果にしては意外に軽視されてるようですが、これがいい位置についていれば「前側のグリップ」はいらないくらいです。 皆さんもカメラを選ぶときに注意してみてください。手に持って「しっくり」を感じられれば、撮る意欲も沸くと言うもんです。(^_^;)


・縦位置の構え方編

 縦になっても左手で支持する「基本」は同じですが、ここは「どちらがいい」とは言えないですね(^_^;)。 と言うのも、シャッターボタンのある右側を「上」に構えるか「下」に構えるかで違ってきますからね..。 ただ、「上」にした時は不安定になりやすいので「右腕」の脇をしめるように気をつけて欲しいです。 もっとも、おやじのお奨めは「下」にして両手で支持する方法がいいと思ってますけど..。(^_^)

1.シャッターを「上」にする
 この場合、注意して欲しいのは「右手で支持しない」ことだけです。ただでさえ右手を使うとシャッターを押す反応が鈍くなりますので、 左手できっちり持つことが重要ですね。おやじの知り合いには右手を被せるようにして「薬指」でシャッターを押す人がいますので、 レンズやカメラに合わせて個人で持ちやすいように工夫してもいいんじゃないでしょうか?。(^_^)

2.シャッターを「下」にする
 これは手が重なるのでかえって構えにくい人もいると思います。何事もバランスですので、どんな方法にしろ「適度」にやってください。 シャッターを「人差し指」で押すなら、左手は順手でレンズを握ってホールドした方がいいと思います。 レンズが長ければこれでいいですが、短い場合は「左手にのせる」ことになります。 この場合は無理せず「親指」でシャッターを押した方がいいかもしれませんね(^_^)。

 「写真」を撮るのに慣れてくると、「縦位置」の構図も多くなってくると思います。昔は連写用のアダプター「モータードライブ」や「ワインダー」に「縦位置用レリーズ」 とが付いていたんですけど、この辺もカメラ選びのポイントの1つになったんでしょうか..。(皆さん、カメラを選ぶときに「縦」で構えてみることも重要ですよ(^_^)。 そこまで出来てこそみんなが認める「名機」なんで、手に持っただけで判る「いいカメラ」って最近減りましたよねぇ。)

・左利き用のカメラ
 世の中には「左利きの人」ってそれなりに多いんじゃないでしょうか?。そもそも左利きは「右脳」を主に使いますので、写真などに有利な「空間感知」に長けてるそうですね(^_^)。 ところが、現実には左手でシャッターが切れるカメラはありません。唯一、コニカが出したFS−1(Future System 1の略。世界初の自動巻き上げ内蔵一眼レフ) がオプションで持ってたくらいです。 ハサミやギター、いろんな物に「左利き」用がある現代に、これは問題のような気がします。もっとも、プロが使う中判や大判カメラに「右」も「左」もないですがね..。



・おやじのこだわり

 カメラの「持ち方」にここまでこだわった人って、今まであんまりいなかったんじゃないでしょうか?。そもそも、 「スペック」はカタログを見れば「数字」で書いてありますが、このカメラが「自分の相棒」になれるかどうかなんてことは「メーカー」でも教えてくれません(^_^;)。 そういう意味で言えばこそ、これがおやじの「こだわり」なんです。みなさんも、自分の手に「しっくり」くる道具を選びましょう..。(^_^)

 「カメラの持ち方」を広い意味で言えば、他にもたくさんありますね。大戦中に二台のレンジを「たすきがけ」にし、 ニッコール付けて縦位置しか構えなかった「D.D.ダンカン」や、胸から下げた二眼のローライ「F2.8」が似合う「リチャード・アベドン」など..。 彼らのそのスタイルが「感じさせるもの」って本当にかっこいいんですよ。

 「カメラ」って持って歩く時の「雰囲気」も、撮影に至る重要な「行為」だと思います。そこでは、「DOMKE」や「TENBA」にハスキーの三脚で荒っぽい男や、 「Bilingham」でレンジや二眼の気障っぽい男も、みんな「スタイル」の主張があるから面白いんだと思います。 皆さんも「自分自身」を語れるような「スタイル」を探してみてはいかがでしょうか?(^_^)。

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