[撮影機材のお話し Vol.09, 2000年12月18日UP]
このところ質問が多かったフィルターについて書いてみます。皆さんのリクエストで書くのは初めてですが、 自分じゃ当たり前みたいに思ってることも多いですから、これからも掲示板に質問してくださいね。(^_^)
ところで「フィルター」ですが、煙草や浄水機にも同じように使われていて、余計なものを「ろ過」してるイメージがあります。 写真用のフィルターも同じなんですが、取り除く「余計なもの」ってなんだと思います?。そうです。「光」です。 つまり、光の「ある部分」を取ったり、変形させたりする役目を果たしているのが「フィルター」なんです。
・光の波長
フィルターを説明するのに、ここまでやる必要あるかわからないんですが、一応基本から説明しますね。 ややこしい話ですが、この事は今後も「色の話」などで使うことになると思います。 なお、必要ないと思った方は、ここを飛ばして次のフィルターの説明に移ってください。
右の図(1)をご覧ください。これは、一般的な太陽光線の光をエネルギーで表したものです。
ちょっと難しいですが、ここで「波長」という言葉が出てきます。波長とは「波の長さ」のことですが、
音に「音波」、電気に「電波」があるように、光も「波形エネルギー(電磁波の一種)」であるとして「光の波長」という数字に表します。
(誰かが目で見たわけじゃないんですが、エネルギーの理論として成り立ってるんですね。(^_^;) 要するに、人間の目で見ている「光」は「いろんな色(波長)」の集まりで、それを「白く」感じてるだけなんです。 このことは、プリズムを通すとことが確かめることが出来ます。 皆さんも、理科の実験で三角のプリズムに細い光を当てて「虹」を作ったと思いますが、あれがそうです。 そして、この「光」は2つのエネルギーに分かれ、「可視光線」と「そうでない光」に分かれます。 可視光線とは、「人間が見える光(色)」のことです。 具体的には400nmから700nm(ナノメーター:ナノは10億分の1です)の範囲の波長のことです。 |
人はこの可視光を、波長が短い側を「B(青:ブルー)」、長い方は「R(赤:レッド)」、真中の部分を「G(緑:グリーン)」に見ています。 でも、実は見えないだけで、この波長の外にも光が存在し、赤の外の光を「赤外線:IR(Infra-Red)」、青(一般には紫に見える)の外の光を 「紫外線:UV(Ultra Violet)」と呼んでいます。
そして、写真の「フィルター」がやってることは、目的に合わせて「波長」をコントロールしているだけなんです。(^_^)
・フィルターの種類(1)
さて、やっとフィルターの話しなんですが、様々な種類が発売されてます。 ここではまず「構造」から2つに分けてみたいと思います。
(ねじ込み式) |
このフィルターは皆さんご存知の「レンズの前にねじ込む」タイプです。素材は「ガラス」で出来てますので固くて丈夫ですが、落とすと割れます。(^_^;)
光学ガラスに金属の皮膜を「蒸着(コーティング)」したもので、光の99パーセント近くを通すことが出来ます。
コスト的にも高いのですが、傷さえつけなければ半永久的に使えます。ガラス製ということで「レンズの保護」に付ける人も多いですが、
磨き方が悪くて傷やコーティングを剥がすと、レンズの性能を活かせなくなるので要注意です。 重要な注意点として、ガラスの厚みがあるので、いかに透明性が良いものでも、重ねて使うと乱反射が起きやすくなるということです。 多くても2枚、出来れば1枚だけで使用するようにしましょう。(でないと、広角レンズで「けられ」たりします) |
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(ホルダー式) |
こちらはあまり馴染みがないかもしれませんが、フィルムタイプのフィルターです。中判カメラサイズ以上で「フィルター」といえば、
このタイプのことを指すほうが多く、プロは35mmでも良く使っています。素材は「ゼラチン」や「PET」「アクリル」など、
透明性のいい「樹脂」で出来ています。ゼラチンは「ぺらぺら」の厚みなので重ねて使用するときに便利ですが、
傷がつきやすく、消耗品と割り切った方がいいフィルターです。 通常はレンズの先にねじ込んだ「ホルダー」にフィルターを差し込むのですが、プロは別売りのレンズシェード(フード)を必ず使うので、 シェードにフィルターホルダーがあるものを使うケースが多いです。(おやじはKPSのプロシェードを使ってました。) レンズの保護など出来ませんが、フィルター効果や自作に凝る人はこちらがお勧めです。 |
・フィルターの種類(2)
ここからは、商品別に分けて具体的に説明していきたいと思います。 でも、フィルターはメーカーによって「種類」や「名前」が違いますから、ここではおやじが「独断」と「偏見」で分類させていただきます。(^_^;)
○透明(に見える)フィルター
これは、「UV(紫外線)」をカットするフィルターです。なぜ紫外線を取り除くかというと、
実は「フィルム」の銀は元々紫外線あたりの波長に感光する性質を持っていて、人間の目に見えない光も感じてしまうんで、
UV域をカットしないで写すと白っぽい変な画像になるからなんです。 品番によく「UV37」とついていますが、これは「37」つまり「370nm以下」の波長をカットしていることを示します。 この説明だと「必需品」のように感じるフィルターですが、それは何十年も前の話しです。 実は、最近のレンズは全てUVをカットしてますので、はっきり言ってフィルターとしての「意味はありません」。今じゃただの保護ガラスですね。(^_^;) | |
フィルター |
こちらはカラー時代のUVフィルターと言われた「スカイライト」です。製品の説明によれば、「青空の反射で青味が強くなる発色のバランスを整える」そうですが、
いつも青空を一定にしてるところに無理があります。品番は「SL39」つまり、「390nm以下」の波長をカットしてるだけで、
UVフィルターより少し青の部分をカットしてるに過ぎません。 この程度の補正で「カラーフィルムに最適」と豪語できるようなものじゃないですね。「UV」と同様に「ただの保護ガラス」です。 なお、古い時代の「1A」タイプと最近の「1B」タイプがありますが、1Aは色温度を下げる「アンバーコーティング」がしてあるもので、 現在のカラーフィルムには合わないです。 |
知らない人がいるかもしれませんが、これは「P」すなわち「プロテクト(保護)」フィルターです。
上の2つが現在では、ただの「保護ガラス」の役目しかやってないことで開発された、本当の「保護ガラス」です。
カメラのレンズは高いので、フィルターをつけてた方が傷がつかず安心という「ただのガラス」です。(^_^;) でも、普通のガラスではフィルターは出来ないので、ちゃんと光学ガラスに「コーティング」を施したものです。 性能的には全ての波長を99パーセント以上通すフィルターで、現在は何層にもコーティングを重ねた「マルチコーティング(MC)」が主流です。 (おやじの常用フィルターでもあります) |
○グレイ(灰色)のフィルター
これは、「ND(Neutral Density)」の略語で「中立の濃度」、つまり「色味を全く変えずに光の量だけ減らす」という意味です。
最近のものは「UVカット」に「マルチコーティング」を施されてますのが、機能的に「光を減らす」以外の効果はありません。
品番としては「ND2」「ND4」「ND8」などがありますが、数字の「4」や「8」は露出の「値」を表しています。
つまり「4」は「光の量1/4」で、露出でいうと「絞り2つ分」開くことが出来るという意味ですね。 このフィルターの用途は、明るい昼間に「スローシャッター」を使ったり、「絞り開放」にするためのものです。 リバーサルなどの「低感度フィルム」を使っていれば、あまり使うことないでしょう。 | |
PLフィルター (通常タイプ) |
一見するとNDと見分けがつかないフィルターですが、拡大すると細かい「スリット(縦縞)」が入ったフィルターです。
色を変化させない点ではNDと同じですが、光量を減らすのではなく、光線の「向き」を揃えるためのものです。
つまり、レンズに入ってくる「光の方向性」を、スリットで揃えるんですが、主に反射光のコントロールに効果を発揮します。 具体的には、ショーウィンドウや水面の「テカリ」を無くしたり、リバーサルで「空をより青く」したり、木々の「葉の色」を活き活きとした感じにすることが出来ます。 角度によって効果が変わるので、フィルターが自由に回せるようになっています。なお、このタイプはAFカメラには使えないので要注意です。 |
PLフィルター (円偏光タイプ) |
使う機会も効果も高い偏光フィルターですが、AFカメラには使えません。というのもAF機構に偏光の構造が使われており、
フィルターが直角に重なるとAFが機能しないんです。そこで開発されたのがこの「円(サークル)偏光」で、縞スリットを「同心円」に置き換えてます。
それ以外の点では普通の偏光フィルターと全く同じです。 偏光フィルターは偏光板の流れから昔は「樹脂」製が多いものでした。樹脂製フィルターは傷つき易いので磨くのにも注意が必要で、 光線の透過率を上げる「コーティング」も不可でした。新しい「円偏光タイプ」はガラス製も多く、高級タイプはMC(マルチコーティング)もあるので、 出来ればこちらを使った方がいいでしょう。 |
○色が派手なモノクロ用フィルター
(イエロー) | 見ればすぐにわかるような「黄色」のフィルターです。カラーに使えば「まっ黄色」の写真になるでしょう。(^_^;) 現在のモノクロフィルムは「オルソパンクロ」という「赤と緑の波長」にも感光する優れものですが、元々の感光銀は「UVと青」にしか感じません (これを「レギュラー」といいます)。人間の目は可視光波長の真中「緑」にピークを持ってますので、「青」を1番明るく感じるフィルムとは違いが出てしまいます。 それを補正するために、大幅に「青」をカットするフィルターが補色の「Yフィルター」です。 品番では「Y48」と呼び、「480nm以下」の波長をカットしてモノクロのバランスを整えます。 こう書くと常に使いたくなる人もいるでしょうが、「青」をカットする分「光」が減るので「+1絞り」の補正が必要です。 |
(オレンジ) | 使い方も目的も上のYフィルターと同じですが、こちらはもう少し上の波長までカットした「オレンジフィルター」です。 「青」から「緑」にかけてカットするので、Y以上の強い効果を出します。品番は「O56」つまり、「560nm以下」の波長をカットします。 具体的な効果として、「青空」を濃いグレイに再現できますので、「秋空」や「心象」写真の表現に向いています。 Yフィルターでも空は濃くできますが、自然に感じる範囲です。オレンジはそれを強調した効果で、やや違和感があるくらいに強調されます。 また、全体のコントラストをつけたり、緑の葉の違いを明確に出せるなど、「風景写真」向きのフィルターです。 Yよりさらに光をカットするので、光量はもっと減り、「+1.5絞り」の補正(露光倍数3倍)が必要になります。 |
(レッド) |
見た目にも真っ赤なフィルターで、色も濃くて暗いためピント合わせにさえ苦労します(露出倍数4倍、+2絞りです)。
品番は「R60」。つまり赤以外の光「600nm以下」の波長をほとんどカットして、パンクロ領域のみで画像を作ります。
出来る写真はコントラストが極端に高く、青空が「真っ黒」に落ち込んで火星の風景写真のようになります。
異世界や心理描写に使うことが多く、「不安感」を感じさせる写真に向いています。(70年代に流行った古い写真に多かったですね..) 赤フィルターのもう1つの役目は、「赤外線フィルム」を使うときに赤外以外の余計な波長をカットすることがあります。 写真週刊誌のカメラマンや、「覗き」が趣味の人でなければ「勘違い」の元ですから、余り使わない方がいいかもね。(^_^;) |
(グリーン) |
Yフィルターの考え方を進めて、より「人間の目の感度」に近づけたフィルターです。
つまり「青」と「赤」の感度を抑えて中間の「緑」の領域にピークを持ってきたわけですが、オルソ時代のモノクロにYフィルターを使ったようなもんでしょうか..。
売り文句も「肌が白く写ってポートレート向き」となってますが、おやじは不自然に黒くなる「唇」や、メリハリがつきすぎる「化粧」に違和感を覚えます。
昔はなかった商品で、分光透過率のデータも公開されてないし、どうも「ネタが切れた」フィルターメーカーの遊びにしか思えません。(^_^;) おやじの経験ではポートレート用に開発されたプロ用モノクロとの相性が悪いし、利用価値はないです。 |
○カラーフィルム用色補正フィルター
ほとんどはゼラチンタイプになりますが、プロがリバーサルで使う色補正(CC=Color Compensational)フィルターです。 色はB,G,R,Y,M,Cの6色で、濃度別に「025」「05」「075」などがあります(025=0.25)。 プロラボに行くとたまにリバーサルの乳番による「色補正データ」が出てますが、そこに書いてある「025R」とか「025G」 というのがこの補正フィルターのことです。よく使うフィルターはだいたい決まってて、05番以上の濃いものを使うことも稀なので、 全部揃える必要はありません(濃いものが必要なら重ねて使えばいいだけです)。ただし、傷や折れがつきやすいので基本的には「消耗品」ですし、 カメラにつけるのは「ホルダー」が必要です。 | |
フィルター |
「ストロボの話し」で書いた色温度を変更するフィルターです。色温度は夕方に低く(赤く)、
早朝や曇天に高く(青く)なるんですが、それを補正します。商品は2種類あって、色温度を下げる「アンバー系」と上げるための「ブルー系」に分かれます。
濃さや色味で違いはありますが、色温度を日中の基準の「5500K」に近づけるだけです。 ちなみに、おやじは使いません(^_^;)。何故かというと、朝には「朝の写真」を撮ってますし、夕方には「夕方の写真」を撮ってますので..。 つまり「いつも昼間のように」撮る必要がないからです。映画の撮影などではこのフィルターの必要もあるんでしょうが、 昼間と違った「光景」を求めてるおやじには「無駄な商品」に思えてならないです。 |
フィルター | 基本的には上の「色温度補正」フィルターと同じです。こちらは自然光ではなく、「人工光源」の色を自然に見える「5500K」に合わせます。 具体的には「蛍光灯用(FLフィルター)」と「タングステン用」などがあります。蛍光灯は「緑」の波長に「輝線」があり、人間の目には見えないんですが、 フィルムでは緑色に偏ってしまいます。一見使う機会が多そうですが、実はありません。というのも、最近のネガはフィルムで輝線をカット出来ますし、 リバーサルは蛍光灯の「種類」に合わせてCCフィルターのデータが発表されてます。また、タングステンランプには撮影用の「ブルーフラッド」がありますし、 タングステンフィルムを入れて太陽光で撮る馬鹿なプロもいません。何のためのフィルターなんでしょ?。 |
・特殊効果フィルター
ここからは特殊効果のためのフィルターを取り上げますが、市販品が多すぎて全部は網羅できないです。 それに効果や用途に疑問のある「商品」も多いですから、やっぱりおやじの「独断」と「偏見」で絞らせていただきます。 ここに無いもので聞きたいことがあったら「写真相談室」の方へ質問をお願いしますね。
○ソフトフォーカス
勘違いする方も多いでしょうが、ソフトフォーカスとは「軟焦点」の意味で、ピントがずれた写真や曇ったレンズで写したものではありません。 これにはレンズの「収差」というものを利用します。収差というのはレンズの「欠点」で、光学設計の基本「シャープさ」を悪化させる要因です。 今のレンズではほとんどが高度に「補正」されてますが、昔ながらの「味」を追及する人には欠点も味のうちなんでしょうね(^_^)。
レンズの収差には「色収差」「非点収差」「コマ収差」などいろいろあるんですが、ソフトに効果的なのは「球面収差」です。 これは「ベス単( Vest Kodak という127判カメラに付いてた単レンズ)」の絞りを外した時に出る効果が有名で、独特の美しいソフトを描きます。 戦後もこの「味」を再現するために、一時期はレンズに球面収差の発生する機構をつけたものが開発されたりしました。 (minolta MDの「ソフト専用85mm F2.8」がそうで、レンズ内に「蓮根」型のプレートが入ってました。) |
一見するとフィルターで簡単に出来そうなんですが、実は「球面収差」を効果的に出すのは結構難しくて、 現在でもベス単の復刻版「VKシリーズ(清原光学研究所)」がレンズとして売られているほどです。 実際に球面収差を発生させるには、レンズの前に「布」を張ったりするのが有効なんですが、 布に色がついてると画像の色が偏ってしまいます。また、白いものを使うとレンズの中で乱反射が起きて大敵の「ハレーション」 や「フレア」が発生します。こうなると、コントラストが落ちて「画質」そのものが劣化します。 ということでいきなり結論ですが、きれいなソフトフォーカスを作るなら市販の「ガラスフィルター」では難しいです。 良質の黒い「網」や「布」を試して、自分の好みに合うものを探してください。(^_^)
実は「球面収差」というのは、きちんとした画像の前後にずれたもう1つの画像が出来ることをいう現象です。
ピントの合った画像に「ピンボケ」た画像が重なるので、「芯」のある画像に柔らかい「ボケ」が生まれます。
おやじは学生時代に金をかけずに出来ないかと考えて、多重露光を利用しました。
まず三脚で固定したカメラで「−1絞り」の写真を撮ります。次に多重露光で同じコマに、絞り開放の「ピンボケ」画像を同じ−1露出で写します。 これで何のフィルターも特殊なレンズも使わない「擬似球面収差」の出来あがりです。 「作例」をご覧下さい。(^_^) |
○クロスフィルター
使い物にならないフィルターが多い中、まあ「まし」な効果が得られるフィルターです。でも、クリスマスのロウソクなどの「点光源」 に「十字」の光線(輝線)が伸びるだけです。状況によっては効果が「うるさくなる」こともありますので、使い方は気をつけてください。 仕組みはPフィルターの表面に格子状の「カットライン」が入ってるだけなので、いらないフィルターに傷をつけて自作することも可能かと思います。
○プリズムフィルター
調べてみると、万華鏡のように三面に写ったり、ズームのような効果のフィルターがあったりと、バリエーションは豊富なんですが、 なんか今一つだなぁと感じるフィルターです。というのも、使う時の写真のイメージが湧かないからなんです。これらのフィルター使って出来た写真は、 「フィルター効果使って撮ったこと」以外に価値や個性を出せるんでしょうか?。 誰が撮っても同じ「フィルターの写真」であって、カメラマンの作品にはならないような気がします。(^_^;)
○マスクフィルター
合成や特殊技法には重宝するものですが、フィルターというより「マスク」と言ったほうがいいでしょうか。
フィルターホルダーで使うだけで、フィルターそのものじゃないですね。でも最近は、パソコンに取り込んでPhotoshopなんかで合成するほうが、
楽できれいに仕上がりますよね。そういう意味ではもう使う必要がないのかもしれませんが、
昔ながらの手作り感覚で「でっち上げの心霊写真」や「UFO写真」を作ってみたい方にはいいのかもしれません。(^_^;)
他に、合成用じゃないマスクにレンズ口径の「形」を変えるものがあります。レンズの特徴にピントの合ってない部分は口径の形に「ボケる」性質があるんですが、
普通なら開放の「丸」か絞りの「六角形」や「五角形」になると思います。これを「三角」や「星型」にして遊ぶわけですが、
望遠レンズで「光の点」をぼかすと効果が出やすいです。
そもそも、これらのマスクは遮光できる黒い紙なら何でもいいので、ホルダーさえあれば自作できますね。(^_^;)
○色分解フィルター
これは特殊なフィルターですね。フィルターはゼラチンのほうが一般的ですが、ほとんどの人は使うことないと思います。
色的には「濃い」三色のフィルターで、「R(赤)」「G(緑)」「B(青)」の3枚です。それぞれは決まった色の波長のみを通すようになっていて、
特殊な製版用途や長期保存用のカラープリント(ダイトランスファー)などに利用します。
なお、おやじは多重露出のソフトフォーカスを、カラー画像でやるためにこのフィルターを利用しました。
三脚で固定したカメラにRGBをそれぞれつけて3回露光するわけです。この時、特定の色だけを「ピンぼけ」にすることで、
独特の「ソフト効果」と原色の「色の滲み」を作り出すことが出来ました。夜景の話のときにも載せた、
おやじの卒業制作がこの手法だったんです。(^_^)
− 注意点 − フィルターはどんなに薄くてもレンズと同じ「屈折」を起こします。また、その「面」で光を乱反射させますので、 基本的には「必要最小限」に留めることが重要です。まして、フィルターに傷や汚れがついていると、 何十万もする「高級レンズ」の性能さえも簡単に落ちてしまいます。そういう意味では使い方にも注意しないといけないですね。(^_^) また、濃い色のフィルターには「露出倍数」がかかってきます。これは、レンズの光を測る(TTL測光)一眼レフはオートでもいいんですが、 測光を別に測ってるコンパクトやレンジではカメラマンが補正しないといけません。濃いものになると感度400が100以下になりますし、 中にはAFが作動しなくなるものもあります。買う前に自分のカメラや腕前と良く相談したほうがいいかもしれませんね。(^_^) |