情報化住宅建築を振り返って(実例写真付)

1999.3.14(Sat) by Yoko32(やっし)


(*)写真をクリックすると大きくなるものもあります。

本文章は、とある住宅雑誌からの取材依頼を機会にまとめたものを、図などを書き直したのと同時にWeb用に編集しなおしたものである。

●配線図

基本コンセプトは、将来への対応ができる構成であること。これは、空配管さえあれば必要になった段階で必要なケーブルを通して、必要な信号を運ぶことが可能である。が、現状使うことのできる機器を配置するための配管図を設計した。それがこれである。茶色の線はTV線を示しており、これは空配管を通さずに直接固定されている。紫色の線はLAN用の配線を示しており空配管を設置してある。書斎からスター型にリビング、家事室、子供部屋1および2へ伸びている。青い線は電話関係の信号線を示すが、S/T系×1とアナログ系×2の合計3系統を同一の4Pear(8芯)UTPケーブル上に同居させている。この方式は昨年に住宅情報協議会でHIIの標準仕様として採用されたようである。ここでS/T系とはTAなどデジタル機器を接続するラインであり、アナログ系とは従来の電話を接続する系である。
先日で引き渡し後1年が経過したが、配管はあるけどまだ中にケーブルが通っていないものもある。下記の構成図は当初の設計資料を最終仕様にあわせて書き直したものである。当初の仕様と工事の都合で配線の順番が変わってしまっているため実際とは配線の順番が異なっているがここでは目をつぶることにする。ターミネータがどこのモジュラにつくかが異なるぐらいである。初期仕様をWebに載せた1年半前は構成図をjpegで載せていたためファイルサイズの割には画質がよくなかった。今回はGIF,PNGと変換してみたがどちらも同程度の圧縮率で画質も同程度であった。ブラウザの対応度の点でGIFを採用した。また、私と同様の図面を書く人のために元データ(Excel97形式)のダウンロードも用意しました。ご利用下さい(Excel97ファイルとしてダウンロードしてください)。但し、利用に際して発生する不具合などはすべて個人の責任で処理してください。
Structure

元データのダウンロード


●実例写真(情報コンセント)

また、各部屋には3連の情報コンセントが用意されている。神保電機の標準品はACコンセント×2口、6芯の電話モジュラ×1、TVジャック×2という具合である。この6芯のモジュラの使い方がディーラの説明ではよく分からなかったが、S/T系が必要とする信号線は4本で、アナログ系が使用する信号線は2本であるから、モジュラに接続する時にS/T系とアナログ系で使用するピンを変えて誤挿入による事故を防ぐのだろう。プラグを差し替えることによりS/Tとアナログを使い分けるということであろう。TEL線として支給される部材(ケーブル)が8芯であることからすると、2芯余るわけでもったいない。webmasterの方が8本全部を使用するので利用効率が高く、貧乏性が現れていると思う。このような使い方をするため、パネルを取り外してモジュラジャックを1口から3口へ変更した。但し、1個はISDNと印字されたRJ45のモジュラである。モジュラを増やしたのでパネル蓋をしたら増やした分が見えなくなる(というかまず閉まらない)。そこで、パネルをカッターで気長に線引きを繰り返して穴を広げることになった。 1個ならいいがこれを4個やると疲れた。。さて、話がそれたが電話系とは別にLAN系をスター型で配線しておりその出口が必要になる。情報コンセントは3連すべてをフルに使用している。そこで、別にモジュラを取り付けるパネルを用意するよう業者に依頼していた。左の写真は3連の情報コンセントの横にLAN用のパネルがあるものである。この追加のパネルだが、穴の空いていないのっぺりカバーはお持ちでないようで、TVジャック付やTELモジュラ付のパネルで蓋がされている個所があった。TELモジュラは取り外して情報コンセントに流用させてもらった。最初から用意してくれたパネルにLAN用のCAT3orCAT5のモジュラを取り付けてもいいのだが、ISDNと同一形状のモジュラであり違いはISDNの印字の有無程度なので誤挿入の危険がある。そこで、LAN用には別途露出型のモジュラジャックを用意して壁に取り付けて使用することにした。このモジュラもCAT3対応、CAT5対応とあるが10Mしか当面使わない我が家は安いCAT3で間に合わせることにした。数年すればCAT5対応も安くなるであろう。さて、取り付けであるが、壁の裏に空間があり壁に穴をあけるのが容易な木質系住宅は有利である。在来工法の場合石膏ボードのみだと固定が大変だが、木質パネルはネジがきいてこれまた固定が簡単である。このようにLAN用の露出型モジュラを情報コンセントの右上に取り付けたものが右の写真である。
少し気になったのは信号線と電力線のジャックを近接させるばあいは絶縁セパレータを必要とするがそのようなものが3連パネルの情報コンセントにはなかった。電力| TV |電話 と間にTVケーブルが入るから不要なのであろうか。

情報コンセントというと”マルチメディアに必要な端子をまとめた3連プレート”という売り文句でイメージしがちだが、3連になると値段も高くなる。確かに見た目はいいが後で1つのメディアだけメンテしようとしても3連まるごとはずさないといけなかったりする。コストを押さえようとするなら、通常の1連のパネルを複数並べて同様のものを作ってもいい。但し、壁の中に空間があれば作業は楽だけどコンクリート住宅のようにコンセントボックスを壁に埋め込むタイプだとコストアップかもしれません。この方法でリビングの一角にパネルを5個集中させました。左の3つは、電気、TV、電話3系統と情報コンセントと同じものです。右の2個は、一つがLAN用でもうひとつは向かい側の壁との連絡用のCD管の出口です。設計段階では写真の壁にTVなどをおく予定だったのが実際に入居してみると反対側の方が使いやすいことが判明してしまいました。サラウンドSPのケーブルの基点も写真の側からで音源と繋ぐことができない。そこで、対向する壁同士を結ぶCD管を使ってSPケーブル×2(R/L)とCAT5ケーブル×1(将来用)を通したのですが、φ16mmで90度曲がりが2個所あると通すのはキツカッタ。家の強度に影響がなく、施工が可能ならφ22mm以上の余裕のある口径のCD管を使う方がなにかと便利です。ちなみに子供のおもちゃが散乱することはあるが、この写真をとるために片づけたわけではない。足なしソファーを横に動かしただけである。子供らが自由に広く遊べるように応接セットはおかない主義であるため家具がないのである。


●施工内容(情報盤、モジュラ)

書斎には、他の部屋と同様に情報コンセントが用意されている。また、スター型で配線する信号の基点であるため、基点をまとめて収容する露出型の情報盤を天井付近の壁に取り付けてある。採用したのは松下電工の露出・半埋め込み型フリーボックスBQS480110W(325x480x110:定価\12800)である。オプションで露出化粧枠というのがある。フリーボックスの現物を見れば側面の壁に接する方が一回り小さくなっている。この部分を壁内に埋め込むようになっているのである。埋め込まない場合にこのひとまわり小さい部分をカバーするようなものであるが、別に見た目は悪くないし、リビングにおくわけでもないので使用しないことにする。このフリーボックスであるが、好みで露出、埋め込み型、半埋め込み型も選択可能である。以前、メールを頂いたyokoyama氏は業者に依頼して、壁と同一材料で埋め込み型の情報盤を作ってもらったそうである。美観の面ではこちらの方が優れているだろう。こういった情報盤メーカは他にもあり、日東電工なんかが有名である。こちらは”ホームページに福岡の営業所の連絡先が書いていない”とメールしたら、カタログを送ってきてくれました
運用方法であるが、電話に関してはISDNのU点のモジュラを情報盤内にNTT工事で取り付けてもらい、そこにDSUを接続してダイヤルアップルータ(TAを兼ねる)へと繋ぐ。DSUの出力はS/T系となり、このS/T系をアナログ系と同様に全部屋へ通すことが今回の目的の一つである。情報盤内にも電話系の1連の3口モジュラ(S/T,アナログ1,アナログ2)あり、書斎の壁にも情報コンセントがあるため、ラインの出発点である書斎では、DSUの出力をTAへ繋いでから宅内のS/T系統ラインへ繋いでも、先に宅内ラインに繋いでそのライン上からTAに繋いでも構わない。但し、後者の場合はS/Tケーブルが2本必要になるので前者を採用している。TAは普通、アナログ電話を接続できる口を2つもっている。これを宅内のアナログラインへ繋ぐため情報盤内のモジュラとTAのアナログ出力をケーブルで結ぶ。このTAはダイヤルアップルータであるので、別の部屋からのCAT5ケーブルも接続しなければならない。当然、同じ部屋にあるメインPCとも繋ぐ。こうすると、ダイヤルアップルータの後ろの線を数えてみると次の5本に電源線である。
S/T in
アナログ1 out
アナログ1 out
LANケーブル1(別の部屋)
LANケーブル1(同じ部屋)
なお、現在他の部屋のパソコンは1Fに68KシリーズのMAC=7100AVしかないため、LANケーブルもそこしか通線していない。右の写真がMACであるが、裏の情報コンセントを見せつるためにモニタを動かしてある。キーボード上の鳥は米国では長年親しまれるキャラクタだと売店のおばちゃんに言われたが何のシリーズなのだろうか?ご存知の方は教えてほしい。
実はもう一台、LANカードを載せたマシンがある。往年の名機EPSON PC-486GR(改:486-50MHz)である。Windowsを動かすのは無理があるので、かるいUNIXをいれようとこの1年思いつづけている。freeBSDのCDの入手したが、インストールしないままに最新バージョンは2.2から3へ進んでいた。早く動くようにしたいものだ。 MN128SOHOはブラウザでインターネット接続を制御できるため、Win95/Macに関係なく、おなじIEでインターネットに接続することが可能である。当然、表示速度は数段違うのであるが、、、。なお、メインマシンは今や民生用からは消えていったペンティアムプロ搭載のGateway2000のG6-180である。
そういえば、なぜかPC8801mkIISRが2台あったりする。もう7年ちかく火を入れていないが粗大ごみも有料になったことだしなにか有功利用策を考えねばならないな。

採用したダイヤルアップルータは当時はやってたMN128SOHOである。これは充電回路に不具合があり、夏場にバックアップ電池が液漏れするというので全数回収があった後に買ったので対策済みのものであるが、緊急時のメンテの都合で分電盤から出して机の近くにおいてるため、ケーブルが壁を走ってちょっとみっともない。この半年ほとんど問題は発生していないので、そろそろ情報盤近辺に登らせようと考えている。MN128SOHOは放熱の問題があり、熱暴走することがある。情報盤の壁は西なので夏場の夕方は危険である。従って、情報盤自体の中へはいれるつもりはない。なお、バックアップ電池であるが、停電の時に手動でいれればいいのであり常時いれておく必要はないと考える。それよりも、手の届くところに懐中電灯を用意するほうが大事であろう。

●住んでみての感想

このように我が家の情報化の装備はダイヤルアップルータとDSUとケーブル類を除けば、全て2年以上前のロートル品ばかりである。そうそうお金を湧いてきたりはしない。将来入手できるかもしれない魅力的な製品のための宅内インフラをCD管を利用して構築したつもりである。家をたてる時はお金がなくなってしまうので、少しずつそろえていくしかないわけだ。けど、最初に基本ができてなかったら後から使いものにならないことだってありる。 ちょっと使いにくくて後悔してる部分もありますがおおむね満足な仕様だと思ってます。しかし、情報配管に注意がいってしまいその他の基幹部分はお任せだったのもあるので、普段の生活装備に不満があったりもします。やはり、生活する上での本当の基本的な部分(暑さ。寒さ、動線など・・)をおろそかにしないことも大事ですね。

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1999.3.14 (c) yoko32(やっし)

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