目次 | ||
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個人の場合の所得の仕組み を教えてください。 | |
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利益と現金・預金とは一致しない 。 | |
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収入の内容 を教えて下さい。 | |
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青色申告と白色申告とはどのように違いますか 。 | |
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医師税制とは どのようなものですか。 | |
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税金早見表 | |
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一人医師医療法人の節税効果 はどのようになっていますか。 | |
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一人医師医療法人の概要 。(注意:旧規定です) いわゆる「第五次医療法改正」については”医療法人・医療経営のホームページ”参照 |
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法人と個人の経費取扱いの違い 。 | |
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連絡先 | |
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項 目 | 計算 | 金 額 | |
収入: | |||
1 | 社会保険診療報酬 | xxx | |
2 | 自由診療収入 | xxx | |
収入合計 | A | xxx | |
必要経費: | |||
1 | 医薬品消費原価 | xxx | |
2 | 給与賃金 | xxx | |
3 | 水道光熱費 | xxx | |
4 | 旅費交通費 | xxx | |
5 | 接待交際費 | xxx | |
6 | 広告宣伝費 | xxx | |
7 | 消耗品費 | xxx | |
8 | 租税公課 | xxx | |
9 | 減価償却費 | xxx | |
10 | 福利厚生費 | xxx | |
11 | 外注費 | xxx | |
12 | 給食賄費 | xxx | |
13 | 研究費 | xxx | |
14 | 雑費ほか | xxx | |
15 | 支払利息 | xxx | |
必要経費合計 | B | xxx | |
税引前利益 | C=A−B | xxx | |
税金(所得税・地方税) | D | xxx | |
事業主(医師)純利益 | C−D | xxx |
収入合計から必要経費合計を控除した額が税引前利益となり、税引前利益から
扶養控除、生命保険料控除などの各種の所得控除項目を差しい引いた額が課税所
得となり、課税所得の額に所得税率を適用して支払うべき所得税を算出します。
所得税率は所得が高いと高い税率を適用する累進税率となっています。住民税(
県民税および市民税)は、国税である所得税を申告すると、地方自治体が所得税
の申告書を基礎に税額を計算して通知され、一般には、別途住民税の申告は不要
です。
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利益は、上記のように計算されます。 まれにあるケースですが現金・預金が
あるからといって儲かっているものと錯覚してしまい使ってしまうことがありま
す。実際に儲かっている場合は問題ありませんが金融機関等から借金して現金・
預金がある場合は単純ではなくなります。借入れた現金・預金は利益ではなく、
将来返済しなければならない借金が増加したものです。一方、金融機関等に対す
る返済は経費ではなく借金の減少です。健全な医院経営を行うには、上記の事業
主(医師)の税引後の利益の範囲内であることを理解しておく必要があります。
収入には、大きく分けて社会保険診療報酬、自由診療収入および雑収入があり
ます。
具体的には、次のような項目があります。
(1) 社会保険診療報酬
項目 | |
1 | 健康保険法 |
2 | 日雇労働者健康保険法 |
3 | 船員保健法 |
4 | 国家公務員等共済組合法 |
5 | 地方公務員等共済組合法 |
6 | 公共企業体職員等共済組合法 |
7 | 私立学校教職員等共済組合法 |
8 | 国民健康保険法 |
9 | 身体障害者福祉法 |
10 | 母子保健法 |
11 | 児童福祉法 |
12 | 結核予防法 |
13 | 生活保護法 |
14 | 精神衛生法 |
15 | 戦傷病者特別援護法 |
16 | 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律 |
17 | 麻薬取締法 |
18 | 老人保健法 |
(2)自由診療収入
項目 | |
1 | 自由診療報酬 |
2 | 保険制限外診療報酬 |
3 | 医療相談料 |
4 | 診断書作成料 |
5 | 予防接種料 |
6 | 健康診断料 |
7 | 室料差額収入(電気料、貸布団料等を含む) |
8 | 労働者災害補償保険法の診療報酬 |
9 | 自動車損害賠償保険法による診療報酬 |
10 | 国家公務員災害補償法による診療報酬 |
11 | らい予防法による診療報酬 |
12 | 優生保護法による診療報酬 |
13 | 性病予防法による診療報酬 |
14 | 自己の診療所で行う休日診療に係る手当、 但し、地方自治体の設置した施設(休日急患センター等) に赴き備え付けの器具および医薬品を使用して診療等を行 った場合の手当は給与所得として取扱います。 |
15 | 学校および嘱託医の手当(委任契約) |
16 | 薬品等たな卸資産の自家消費 |
17 | 生命保険の審査料 |
18 | 付添人の食事代 |
19 | 貸電話料 |
20 | 自動販売機手数料 |
(3)雑収入
項 目 | |
1 | 薬品仕入先からのリベート |
2 | 廃液および古フィルムの売却代 |
3 | 患者から受取る病気治癒の謝礼 |
4 | 患者より大学病院等への紹介料としての金銭受領 |
青色申告では、日々の取引を帳簿に記録し帳簿に基づいて青色申告書を作成し
税務署に申告します。白色申告書(申告書の用紙が白色を使用)は、青色申告書
の要件を満たさない場合に使用します。 青色申告には下記の特典がありますが
、白色申告には、特典が得られず税金面で不利となります。
(1)青色申告書の特典
イ | 青色申告控除として65万円を所得金額から控除できます。 |
ロ | 青色専従者給与、貸倒引当金の繰入れ、退職給与引当金の繰入れ等が認められ 必要経費とすることができます。 |
ハ | 医療機器、電子機器利用設備、特定設備等の特別償却が認められます。 |
ニ | 純損失の繰越しが認められます。 |
ホ | 電子機器利用設備を取得した場合、税額控除が認められます。 (特別償却といずれか有利な方を選択できます。) |
(2)白色申告から青色申告に変更するには
白色申告から青色申告に変更するには、青色申告する年の3月15日までに「所
得税の青色承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。
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医師税制とは、社会保険診療報酬について、所得税の計算上、実際に要した経
費のいかんにかかわらず、社会保険診療報酬金額の一定率に相当する金額を必要
経費に認める概算経費率と、社会保険診療報酬については事業税が非課税となる
ことをさします。
概算経費率は社会保険診療報酬の金額に対応して次のように決められています
。
社会保険診療報酬額 | 概算経費率 |
25百万円以下 | 社会保険診療報酬額x72% |
3千万円以下 | 社会保険診療報酬額x70%+50万円 |
4千万円以下 | 社会保険診療報酬額x62%+190万円 |
5千万円以下 | 社会保険診療報酬額x57%+490万円 |
全国18万人の医師の中で、11万人は勤務医として給与を受取り、サラリーマン
と同じ税金を支払っており、約7万人の開業医師も他の事業者と同じ条件で税金
を負担しています。所得税に関しては、医師優遇税制とはいえない現状です。地
方税である事業税については、社会保険診療報酬については非課税です。
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課税所得と所得税と住民税の関係は以下の通りです。所得税が上昇すると税金割合も上
昇する超過累進税となっています。
平成11年度 単位:千円
課税所得 | 所得税と 住民税合算 |
手取り金額 | 税金割合 |
10,000 | 2,760 | 7,240 | 28% |
11,000 | 3,190 | 7,810 | 29% |
20,000 | 7,200 | 12,800 | 36% |
30,000 | 12,200 | 17,800 | 41% |
40,000 | 17,200 | 22,800 | 43% |
50,000 | 22,200 | 27,800 | 44% |
60,000 | 27,200 | 32,800 | 45% |
70,000 | 32,200 | 37,800 | 46% |
80,000 | 37,200 | 42,800 | 47% |
90,000 | 42,200 | 47,800 | 47% |
100,000 | 47,200 | 52,800 | 47% |
一人医師医療法人の税金上のメリットは、所得税の累進税率適用から、法人税
の一定税率に切り替えることによる節税です。
下記の表は、個人経営の場合と一人医師医療法人の場合の税金総額の比較をし
たものです。
課税所得が5千万円の場合、節税額が529万円に達し、逆に所得が1100万円未満で
は節税のメリットがなくなります。下記の数値は参考値です。個々の事情を反映
した詳細は専門家とご相談下さい。
院長の給与の額によって異なります。個人所得税の実行税率と法人の実行税率
の一致点(29%(法人の住民税率17.3%で計算))の課税所得が1100万円であ
るところから、1100万円以上の課税所得では、法人にした方が特であるとの説が
あります。ただし、個々の事情により異なり具体的な事情を反映して試算してみる必要が
あります。
課税所得 | 個人経営の 税金総額 |
一人医師 医療法人の 税金総額 |
税金総額 の差額 |
1,000 | 276 | 284 | 78 |
1,100 | 319 | 319 | 0 |
2,000 | 720 | 636 | -84 |
3,000 | 1,220 | 988 | -232 |
4,000 | 1,720 | 1,339 | -381 |
5,000 | 2,220 | 1,691 | -529 |
6,000 | 2,720 | 2,043 | -677 |
7,000 | 3,220 | 2,395 | -825 |
8,000 | 3,720 | 2,747 | -973 |
9,000 | 4,220 | 3,099 | -1,121 |
10,000 | 4,720 | 3,451 | -1,269 |
一人医師医療法人は1985年12月の医療法人改正時設けられました従来の医療法
人が常勤医師3名以上であったものが常勤医師1名でもよいことになりました。こ
れを除くと、従来の医療法人と基本的には同様の性格を持つものです
制度の趣旨は、診療所経営と家計を明瞭に区分し、かつ、医業の非営利性から
配当を禁止することにより、診療所経営の近代化健全化を図ることを目的とした
ものです。
一人医師医療法人については、医療法人の所得については法人税が適用され、
この法人税が医療法人の所得に対して累進的ではなく一定率課税なため、上記の
ように、高額所得者の場合は節税となります。
(1)設立要件
@人的要件
イ | 理事は原則として3名以上、ただし、知事の認可を受けて1名でも可。理事長は
、医師に 限られます。 |
ロ | 監事は原則として1名以上で、当該一人医師医療法人の理事または職員以外の 者。 |
ハ | 社員(設立者)は3名以上。 |
A物的要件
イ | 資産が負債・出資金と均衡していること。 |
ロ | 土地・建物は法人名義が望ましいが、賃貸借契約期間が長期でかつ確実な場合
、賃貸借 も認められます。ただし、一人医師医療法人の理事長またはその親族等以外の 者から賃 借する場合は、賃貸借登記ををすることが望ましい。 |
通常、一人医師医療法人は院長、妻、父、母、の4名で人的要件を満たし、法
人の資産が負債・出資金と均衡であれば物的要件を満たすので、設立は比較的容
易にできます。
厚生省の調べでは、医療法人は、1984年では3,356あり、1996年では4,871で51% が法人化し、1996年に初めて5割を超えたとしている。理由は、税金の面で有利なことや、相続税対策、医療費の抑制策で医療機関
の経営環境が厳しくなっていることが背景にある。
設立したら、院長を含め全員が月給を受取ります。月給を受取った後の法人所
得は、配当が禁止されているのでそのまま法人に留保されます。
(2)設立スケジュール
@定款の作成、A設立総会の開催、B設立認可申請書の作成、C設立認可通知
書受領、D設立登記申請書作成・提出、E法人設立登記、F出資金の払込み、G
現物出資等所有権移転登記
、H医療法人設立登記完了届け、I法人診療所開設許可申請書提出、J法人診
療所開設許可通知受領、K個人診療所廃止届け提出、L法人診療所開設届け提出
、M保険医療機関指定申請書他提出、N税務署・税務事務所他関係書類提出
創立総会の開催より法人診療所開設届提出までに約3ヶ月期間を要します。準
備する資料も相当な量となりますので、一人医師医療法人設立には早めの準備が
必要です。
(3)メリットとデメリット
1 | 経営の近代化 医院経営と家計が明瞭に区分され、かつ、配当が禁止されていますので、医院 経営の 近代化・健全化に貢献します。 |
2 | 税率格差による節税 所得税は累進課税なのに対し、法人税は一定率課税なため、所得金額が多くな れば税 率格差により節税となります。 |
3 | 給与所得控除による節税 院長の所得が給与となれば、給与所得控除が受けられます。例えば、年俸3千 万あれば 310万円の給与所得控除が認められ、課税対象となる給与所得は2,690万円です みます。 |
4 | 社員である妻、父、母などに月給を渡すことができます。 適正な給与であれば経費となります。 |
5 | 譲渡・贈与が容易 出資持分の形式をとるため、譲渡や贈与が行いやすい。 |
6 | 支払基金の源泉徴収がなくなる。 支払基金支払分の源泉徴収がなくなり資金繰りが楽になります。 |
1 | 法人の利益は院長の自由にならない。 法人に留保された利益は、院長が自由に使用することはできません。院長が使 用した 場合は、院長に対する貸付金となります。 |
2 | 原則、交際費は全額損金不算入ですが、 出資金が1千万円までは、交際費の必要経費算入限度額は4百万円の90%の360万 円です。 出資金が1千万円以上5千万円までは3百万円の90%の270万円、5千万円を超える とゼロとなります。 |
3 | 配当禁止 配当が禁止されているため、利益が医療法人に留保されます。 |
4 | 監督官庁の指導強化 医療法人の業務および会計が法令等に違反したり、違反の疑いがある場合は、 都道府県 知事の立ち入り調査が実施されます。 |
経費内容 | 法人 | 個人 |
ロータリークラブやライオンズクラブ等の支出が必要経費となる。 | ○ | × |
掛捨て部分の生命保険料は必要経費となる。 | ○ | × |
税金支払のための借入金の利息は必要経費となる。 | ○ | × |
院長および従事している妻にも退職金の支給ができ、必要経費となる。 | ○ | × |
院長および妻にも弔慰金が支給できる。 弔慰金の限度額は業務上死亡は月給の3年分、業務外死亡は6ヶ月が限度。 |
○ | × |
院長および妻の葬儀費用が必要経費となる。 | ○ | × |
賞与引当金の設定ができる。 | ○ | × |
○は経費として認められます。
×は経費として認められません。
横山会計事務所
公認会計士・税理士 横山明
〒270-0034 松戸市新松戸7-173 五番街 A1405
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