会社を設立する法

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はじめに

起業が一般的な、北アメリカ(アメリカ、カナダ)では弁護士に会社設立を依 頼しておくと設立時の資本金を1ドルで会社を設立してくれます。設立後、本来 の資本を払込んで事業を開始します。誰もが会社を持てる環境が整っており活気 のある経済を形成しています。資本金の大きさが会社の信用を決定するものでは なく、信用は企業を成功させようとする経営者の意欲や能力だからです。

我が国は、1990年(平成2年)の商法改正で、最低資本金の額を株式会社1千万 円、有限会社3百万円と決定され敷居を高くしました。法務省の説明では「我が 国の株式会社及び有限会社の大多数を占める小規模かつ閉鎖的な会社に対する商 法等の法規制が形骸化している実情等にかんがみ、このような会社にも適合する 法制度を整備するとともに、債権者保護のために必要な措置を講ずるほか、会社 の資金調達の便宜に資するため、会社及び社債に関する制度を改善する等の改正 を行うことを目的とする」としてます。

企業の信用(債権者保護・投資過保護)は、資本金の額では決まらないことは バブル崩壊後の相次ぐ上場会社(建設、銀行、証券会社、国際的なスーパーマーケットなど)の大型倒産で立証されたようなものですが、我が国の常で一度決定 されると改正されないという硬直的な構造は会社を作ろうとしている人にとって は迷惑な話ですが、会社を設立するには現行の法律に準拠して手続きするしかあ りませんので、現行制度を理解しておくことも大切です。 (1997年12月筆 過去の記録検索エンジンWayBackMachine 参照)

日本でも北米同様設立時資本金を1円で会社設立できるよう、経済産業省は、商法規定の最低資本金制度を設立から5年間は猶予する最低資本金規制の特例平成15年2月1日に導入しました。経済産業省は、商法自体の改正を法務省に要望しているようです。

2003年10月、法務省は、2005年に予定している商法改正の試案として「会社法制の現代化に関する要綱試案」を公表し、平成15年10月29日(水)〜平成15年12月24日(水)の期間にコメントを求めている。現行の最低資本金規制(株式会社1千万円、有限会社で3百万円)の撤廃案を含んでいる。(法務省の『「会社法制の現代化に関する要綱試案」に関する意見募集」』参照)

2006年5月1日施行新会社法によって、
(1)有限会社を廃止
(2)最低資本金の撤廃
(3)合同会社の新設
(4)その他、多岐の改正がありました。(会社法の概要 参照)

会社法
 会社法の概要 商法  商法施行規則  商法特例法  商法改正の歴史 
会社法施行規則」「会社計算規則」「電子公告規則」(2006年2月7日法務省公布
会社法への移行に伴う経過措置の規定「会社整備法」および「その政令

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平成13年6月の商法改正の注意点

平成13年6月22日、自己株式(金庫株)の規制解除のための商法の改正が行われました。同時に額面株式の制度の廃止商法第199条、202条 削除)が行われています。つまり、額面株式の制度を廃止し、無額面株式に統一する、ことになりました。施行日は平成13年10月としています。

会社法要綱案を決定・会社経営の規制を緩和(2005年2月)

 法相の諮問機関である法制審議会の会社法部会2004年12月8日、商法や有限会社法など会社制度に関する法律をまとめて新たに定める「会社法制の現代化に関する要綱案」を決定した。株式会社は最低資本金制度の撤廃などで設立要件を緩和する一方、有限会社制度は廃止する。合併時の対価に外国株を認めるなど組織再編も容易にし、経営の自由度を大幅に高めた。2005年年2月9日に法制審が「会社法制の現代化に関する要綱」を答申、政府は次期通常国会に会社法案を提出する予定。2006年の施行を目指す。

 要綱案では、株式会社の設立要件について、設立時の資本金を原則1000万円以上とする最低資本金規制を撤廃し、資本金1円でも設立できるようにする。2003年に施行した中小企業挑戦支援法で特例として認められている制度を恒久化する。

 3人以上とされている取締役の人数規制や、取締役会の設置義務も原則として撤廃する。株式会社が設立しやすくなることで、存在意義が薄れる有限会社の制度は廃止する。ただし、現在ある有限会社は引き続き名称を使用できる。 (日本経済新聞2004年12月9日 19:40)

会社法要綱案のポイント
@ 会社制度の見直し
【株式会社】・・設立が容易に(会社法第25条〜49条)
・取締役の人数、取締役会の設置義務は廃止
・最低資本金制度の廃止、資本金1円でも設立可能(北米では、従来から資本金1ドルで設立できる。)
【有限会社】・・制度廃止
・株式会社に一本化。現行の会社は商号利用可能
【合同会社】(日本版LLC)・・新設(名称は仮称)(会社法第578条)
・有限責任の出資者が、話し合いで役員の権限を決定
経済産業省「有限責任事業組合制度の創設の提案(中間とりまとめ)」平成16年12月17日


最低資本金規制の特例(平成15年2月1日施行)

経済産業省は、「中小企業挑戦支援法」案を議会に提案し、2002年11月15日、第155回参議院本会議で可決成立した。

法案の概要は次の通りである。
1.株式会社、有限会社の最低資本金等の商法上の規制に関する特例(新 事業創出促進法の一部改正)

(1) 商法の最低資本金規制に係る特例を設け、新たに創業する者につい て、株式会社の場合は1000万円、有限会社の場合は300万円と いう最低資本金規制の適用を受けない会社設立を認めるとともに、設 立後5年間は当該規制を適用しない。

つまり、資本金1円でも株式会社などの設立が可能となる。規制の免除を受けた会社は、増資により5年後には最低資本金を達成しなければならないが、できない場合は、会社を解散するか組織を変更して合資会社・合名会社に変更することになる、というもの。

(2) 併せて、払込取扱機関の保管証明を受ける義務等を免除するととも に、債権者保護等の観点から、開示義務、配当制限等を課す。

(3) これらの措置により、会社設立時点での資本金の確保など資金集め が創業のハードルとなっている点を大幅に緩和する。設立に係る手続 を簡素化することによって、サラリーマンや主婦などが無形財産やア イディアなどのソフトな経営資源によって創業することなどを容易と し、中小企業等の「挑戦」を支援する。

法律の施行は、2003年2月1日である。この特例を活用するには、地方経済産業局に確認申請をした上で法務局で会社登記する。
会社登記に必要な銀行の払込保管証明書に代えて創業者の預金通帳のコピーとし、債権者保護のため会社設立届出書や貸借対照表を誰でも閲覧できるようにするとともに、株主配当を一部制限する。詳細は、経済産業省の「最低資本金規制の特例」 参照

平成17年4月13日(水)から、最低資本金規制特例制度の根拠法律名が変わります。(経済産業政策局 新規産業室)

会社の種類

合名会社 すべての社員が会社の債務に対して無限責任を負う。
合資会社 無限責任社員と有限責任社員があって、無限社員と有限社員を決めておく。
株式会社 株主は、株式の引受価額(払込み額)の範囲で責任を負う。
有限会社(廃止 社員は、出資の額の範囲で責任を負う。
合同会社(新設) 有限責任の出資者が、話し合いで役員の権限を決定(会社法第578条)


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株式会社の設立の方法



株式会社を設立する方法には、発起設立と募集設立の二つがあります。
発起設立というのは株式会社設立の際に発行する株式のすべてを発起人が引受 けてしまうものです。募集設立は、発起人のほかに一部を他人に引受けてもらう 方法です。

発起人がすべて引受ける発起設立の方が簡単と思いますが、商法は、発起設立 の場合には、資本金の払込みが形骸化することを危惧して、株式の払込みについ て、裁判所の検査役による検査を求めていたことから、実務的には募集設立がほ とんどの状態でした。1990年(平成2年)の改正で検査役の検査を省略して、検 査役に代わって取締役と監査役が設立手続きの調査義務を負わせることになりま した。


募集設立の手順の概要



発起人の決定→商号の決定→定款の作成→定款の認証→株式引受け→株主募集 →株式申込→株式割当て→株式払込み→創立総会→取締役会→登記申請→登記完 了→株式払込金を営業資金として使用可能にする、という手順で設立登記を行い ます。

株式会社を設立するには、発起人になる人が必要です。発起人は1名以上です ので1人でよいことになります。次に、会社には商号という会社の名前が必要で すが、類似の商号は使えませんので、事前に類似の商号がないことを調べておか なくてはなりません。定款には商法で定められた記載事項を記載し、公証人の認 証を受けなければなりません。定款の公証人の認証を受けた後、株主募集から株 式の払込みを受けた後、株主が集まって創立総会を開き、取締役および監査役を 選任します。取締役は3人以上、監査役は1人以上必要です。創立総会で選任され た取締役は、創立総会が終わり次第直ちに取締役会を開催して、代表取締役を選 任します。最後に、代表取締役は、創立総会が終了した日から2週間以内に株式 会社の設立登記をして、この登記が終わって株式会社設立の手続きは終了したこ とになります。

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発起設立の手順の概要



発起人の決定→商号の決定→定款の作成→定款の認証→発起人による全株式の 引受け→株式払込み→取締役・監査役の選任→登記申請→登記完了→株式払込金 を営業資金として使用可能にする

発起設立の手順が、募集設立と違うのは、募集が行われないこと、創立総会を 開く必要は法律上なくなったこと、検査役の検査の代わりに、取締役と監査役に よる設立手続きの調査義務を負うことになったことです。
取締役と監査役は、第一は、会社の設立に際して発行する株式総数の引受けが あったかどうか、第二に、株式の払込みおよび現物出資の給付があったかどうか について調査する義務を負い、調査の結果、法令又は定款に違反する事項または 不当な事項があると認める時は、発起人にその旨通告しなければなりません。


株式会社設立にあたって決めておくべきこと


商号 会社の名前。定款認証の時に公証人がチェックしますが、類似商号は使用でき ません。
事業目的 具体的にどんな事業を行うのか明確にしておくこと。
印鑑 代表取締役の印、銀行印、社印(○○株式会社之印)、会社のゴム印(住所含 む)
資本金 資本金の額および株数,1千万円以上(最低資本金制度は廃止
事業に許可・認可の必要はないか。 質屋、古物商、飲食店営業、海運、ガス事業、証券など関係官庁の許可や認可 が必要とされる場合があります。会社成立後、許可・認可手続きをすることにな りますが、許可・認可が取れないことになると困ることになります。



株式会社設立に関する発起人の決定事項



発起人になる人が決まったら早い時期に発起人が集まり、下記事項と設立事務 の分担を明確にし、会社設立に関する基本的な事項を決めなければなりません( 商法第165条、第166条)。
これを「発起人規約」として文書にまとめておくと、株式払込み取扱い銀行か ら提出を要求された時(下記「株主の募集と払込み」参照)に提出できることに なります。
商号 会社の名前
事業の目的 事業内容、具体的に記載。定款に記載する。
本店の所在地 本店の住所
公告の方法 公告する方法。官報などで公告。
資本金の額 資本金額
株式の数 発行する株式数
出資者(株主) 出資者の氏名および出資額
営業年度 営業年度(決算月)
就任予定役員 代表取締役、取締役、監査役の氏名
役員報酬の額 役員報酬の額
設立費用 会社負担とする金額
発起人代表 総代の氏名

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株式会社の定款のつくり方



定款の記載事項には(商法第4章株式会社)、@絶対的記載事項、A相対的記 載事項、B任意的記載事項に分かれる。@の絶対的記載事項は読んで字のごとく 必ず記載しなけれならない事項で、商号、目的、会社が発行する株式の総数、会社の設立に際して発行する株式の総数、本店の所在地、会社が公告をする方法、発起人 の氏名および住所がある。Aの相対的記載事項は定款に記載しなくても定款自体 の効力には影響はありませんが、定款で定めておかないと効力が生じないもので す。商法には、発起人が受けるべき特別の利益、氏名、現物出資をする者の氏名 、出資の目的となる財産、その価格、それに対して与える株式の数、会社の成立後譲り受けることを約した財産、その価格および譲 渡人の氏名、会社の負担に帰すべき設立費用(ただし、定款の認証の手数料およ び株式払込み取扱いの金融機関に支払う報酬は、資本金に応じて確定することか ら定款に定めておく必要はなくなりました)がありますが、定款の相対的記載事 項は、このほか多くあります。
Bの任意的記載事項は、会社の自由に任されている事項で、定款に記載するこ とで効力が生じるものです。

定款は、最低3通必要になります。公証人役場に保管されるもの、設立登記申 請の際に添付するもの、会社保管用のもの各1通合計3通です。さらに、株式取扱 い銀行に提出したりしますので5通くらい作成しておくとよいでしょう。定款に 押印する印鑑は印鑑登録してある実印を押印します。

参考に、定款のサンプルは次の通りです。 (「日本公証人連合会」より)

T 小規模会社(非公開,取締役1名,監査役・会計参与非設置)

○○株式会社定款

     第1章 総則
(商号)

第1条  当会社は,○○株式会社と称し,英文では○○CO.,LTD.と表示する。

(目的)

第2条  当会社は,次の事業を行うことを目的とする。
  1  ○○の製造及び販売
  2  ○○の輸入及び販売
  3  前各号に附帯又は関連する一切の事業

(本店の所在地)

第3条  当会社は,本店を東京都○○区に置く。

(公告の方法)

第4条  当会社の公告は,官報に掲載する方法により行う。


     第2章 株式
(発行可能株式総数)

第5条  当会社が発行することができる株式の総数は,100株とする。

(株券の不発行)

第6条  当会社の株式については,株券を発行しない。

(株式の譲渡制限)

第7条  当会社の発行する株式は,すべて譲渡制限株式とし,これを譲渡によって取得するには,株主総会の承認を要する。

(相続人等に対する株式の売渡請求)

第8条  当会社は,相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し,当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。

(名義書換)

第9条  株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録するには,当会社所定の書式による請求書に,その取得した株式の株主として株主名簿に記載又は記録された者又はその相続人その他の一般承継人及び株式取得者が署名又は記名押印し共同して請求しなければならない。ただし,次の場合は,株式取得者が単独で請求することができる。

   @  株式取得者が,取得した株式の株主として株主名簿に記載又は記録された者又はその相続人その他の一般承継人に対し,株主名簿記載事項を当会社に記載又は記録すべきことを命じた確定判決を提出して請求するとき
   A  株式取得者が上記@の確定判決と同一の効力を有するものの内容を証する書面その他の資料を提出して請求するとき
   B  株式取得者が株式取得者が取得した株式の株主として株主名簿に記載又は記録された者の相続人であって,これを証する書面を提出して請求するとき
   C  その他,会社法施行規則22条1項各号に定めるとき

(質権の登録及び信託財産の表示)

第10条  当会社の株式について質権の登録又は信託財産の表示を請求するには,当会社所定の書式による請求書に当事者が署名又は記名押印し,共同して請求しなければならない。その登録又は表示の抹消についても同様とする。

(手数料)

第11条  前2条に定める請求をする場合には,当会社所定の手数料を支払わなければならない。

(基準日)

第12条  当会社は,毎年3月末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって,その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することのできる株主とする。
  2  前項のほか,株主又は質権者として権利を行使すべき者を確定するために必要があるときは,臨時に基準日を定めることができる。ただし,この場合には,その日を2週間前までに公告するものとする。


     第3章 株主総会
(招集及び招集権者)

第13条  当会社の定時株主総会は,毎事業年度終了後3か月以内に招集し,臨時株主総会は,随時必要に応じて招集する。
  2  株主総会は,法令に別段の定めがある場合を除くほか,取締役が招集する。
  3  株主総会を招集するには,会日より3日前までに,議決権を有する各株主に対して招集通知を発するものとする。ただし,総株主の同意があるときはこの限りではない。
  4  前項の招集通知は,書面ですることを要しない。

(議長)

第14条  株主総会の議長は,取締役がこれに当たる。
  2  取締役に事故若しくは支障があるときは,当該株主総会で議長を選出する。

(決議の方法)

第15条  株主総会の普通決議は,法令又は定款に別段の定めがある場合を除き,出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。

(総会議事録)

第16条  株主総会における議事の経過の要領及びその結果並びにその他法令に定める事項は,議事録に記載又は記録し,議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし,10年間本店に備え置く。


     第4章 取締役
(取締役の員数)

第17条  当会社には,取締役1名を置く。

(取締役の選任)

第18条  当会社の取締役は,株主総会において,議決権を行使できる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,その議決権の過半数の決議によって選任する。

(取締役の任期)

第19条  取締役の任期は,選任後5年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時までとする。

(取締役に対する報酬等)

第20条  取締役に対する報酬等は,株主総会の決議により定める。


     第5章 計算
(事業年度)

第21条  当会社の事業年度は,毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする。

(剰余金の配当)

第22条  剰余金の配当は,毎事業年度末日現在の最終の株主名簿に記載又は記録された株主及び登録質権者に対して支払う。

(配当金の除斥期間)

第23条  剰余金の配当が,支払いの提供をした日から3年を経過しても受領されないときは,当会社は,その支払いの義務を免れるものとする。


     第6章 附則
(設立の際に発行する株式の数)

第24条  当会社の設立時発行株式の数は50株,その発行価額は1株につき金1万円とする。

(設立に際して出資される財産の価額又は最低額)

第25条  当会社の設立に際して出資される財産の価額は金50万円とする。

(最初の事業年度)

第26条  当会社の最初の事業年度は,当会社成立の日から平成○○年3月末日までとする。

(設立時取締役)

第27条  当会社の設立時取締役は,次のとおりとする。
   設立時取締役  ○○

(発起人の氏名,住所,割当を受ける株式数及びその払込金額)

第27条  発起人の氏名,住所,発起人が割り当てを受ける株式数及びその払込金額は,次のとおりである。
 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
    ○○○○     50株   金50万円

(法令の準拠)

第28条  この定款に規定にない事項は,すべて会社法その他の法令に従う。


 以上,○○○株式会社を設立するため,この定款を作成し,発起人が次に記名押印する。

平成○年○月○日
    発起人   ○○○○   印


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定款の認証(公証人)



定款の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属 する公証人によってなされなくてはなりません(商法第167条)。

定款の認証を受けるために持参するものは、@定款三通、A発起人全員の印鑑 証明書各一通(発行後三ヶ月以内のもの)、B代理人に委任する場合は委任状と 代理人の印鑑証明書(発起人のうち一人が代表して委任されている場合は不要) 、C4万円の収入印紙、D手数料4万円。 謄本1通につき1500円がとられます。委 任状には200円の印紙を貼り消印します。

認証した定款は、会社保存用原本および謄本として返却されます。設立登記の 際の添付書類になります。


株主の募集と払込み



定款の認証が終わりました。つぎは、株主の募集です。

応募に応じて株主にことを承諾した人に株式の申込をしてもらうためには、必 ず「株式申込証」という書面で適法に行う必要があります。設立登記の際の添付 書類となります。

記載事項は、@定款認証の年月日および認証をした公証人の氏名、A商法第166 条第1項に掲げられている事項(目的、商号、会社が発行する株式の総数、会社の設立に際して発行する株式の総数、本店の所在地、会社が公告する方法、発起人の氏 名および住所)、B株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨を定めたときは その規定、C発起人が引受けた株式の数および引受け価 額、D払込みを取扱う銀行または信託会社、E一定時期までに創立総会が終結し ないときは、株式の申し込みを取り消すことができること、です。

サンプルは以下の通りです。


株式申込証

○○株式会社

株式 10株
この申込証拠金500,000円(1株につき50,000円)。ただし申込証拠金は無利息 とし、払込期日において払込金に充当する。なお、株式の割当ては発起人に一任 する。

貴社の定款および本申込証記載事項を承認のうえ、上記株式を引受けたく申込 証拠金を添えて申し込みます。
平成○年9月14日

(住所)
申込人 印

○○株式会社発起人 御中

1.定款の認証に関する事項
認証年月日 平成○年9月12日
認証した公証人の氏名 東京法務局所属公証人
2.商号 ○○株式会社
3.本店の所在地 東京都千代田区
4.目的
1.衣料用繊維製品の販売
2.日用雑貨の販売
3.前各号に附帯する一切の業務
5.会社が発行する株式の総数 800株
7.設立に際して発行する株式に関する事項
発行する株式  200株
この発行価額 1株につき 50,000円
8.株式の譲渡制限に関する規定
当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を受けなければならない。
9.公告をする方法
官報に掲載してする。
10.払込みを取扱う金融機関および取扱い場所
東京都千代田区三番町2−3−1
株式会社 四菱銀行丸の内支店
11.株式の申込を取り消すことができる期間
平成○年11月15日までに創立総会が終結しないときは、株式の申込を取り消す ことができる。
12.発起人の氏名、住所および各発起人が引受けた株式の数ならびに引受価額
株式 150株 引受価額 金750万円
東京都葛飾区新宿6−2−1
青山 太郎
株式 20株 引受価額 金100万円
東京都江戸川区大杉3−3−1
赤坂 治朗
株式 20株 引受価額 金100万円
東京都墨田区両国1-12-10
両国 三郎

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・


株式払込み取扱い銀行等への申込
払込金全額を集めた発起人総代は、銀行に全額を持参し、銀行に備え付けの「 株式申込事務取扱委託書」の用紙に必要事項を記入し、署名押印して次の書類を 添えて提出します。

(1)定款の写し 1通
(2)発起人規約(発起人会議事録、または会社設立契約書) 1通
(3)株式申込証の見本 1通
(4)株主名簿 1通
(5)発起人総代の印鑑証明書 1通


株金の払込みが終わると、銀行では別段預金の口座をつくってくれこれに入金 し、同時に「株式払込金保管証明書」を発起人代表に交付します(商法第189条 )。設立登記の際の添付書類となります。

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創立総会の開催

通常、事前に会社設立の検討がされているので創立総会は、形式的なものとな りますが、定足数、決議の内容、決議などは商法の定めによります(商法第180 条)。

創立総会議事録をサンプルとして下記に示します。


創立総会議事録

平成○年9月30日午前9時より、東京都千代田区三番町4-3-2当社創立事務所に おいて創立総会を開催した。
引受株式の総数 200株
出席した株式引受人 4名
この引受株式の総数 200株

上記のとおり出席があったので、発起人総代青山太郎は、創立総会は適法に成 立したので開会をする旨を宣し、議事進行上議長の選任をはかったところ、満場 一致で株式引受人青山太郎を議長に選任した。
青山太郎は、議長就任の挨拶をした後、議長席につき、議事を進行した。
第1号議案 創立に関する事項の報告に関する件
発起人総代青山太郎は、発起人を代表して、当会社の設立経過を説明した後、 創立に関する事項を詳細に報告したところ全員異議なくこれを承認した。
第2号議案 定款の承認に関する件
議長は、定款を朗読し、その承認を求めたところ、全員異議なく原案どおり可 決した。
第3号議案 取締役および監査役選任の件
議長は、取締役および監査役を選任したい旨述べ、その選任の方法をはかった ところ、株式引受人の中から議長に一任したいとの発言があり、一同これを承認 したので、議長は下記の者をそれぞれ取締役および監査役に指名し、その賛否を 問うたところ、満場一致をもってこれを承認可決した。
取締役 青山太郎 赤坂治朗 両国三郎
監査役 品川四郎
以上4名の被選任者は、いずれもその就任を承諾した。
第4号議案 設立事項の調査報告に関する件
取締役青山太郎は、取締役および監査役を代表して、別紙報告書のとおりこれ に関する詳細な報告をなし、全員一致でこれを承認した。
第5号議案 取締役および監査役の報酬決定の件
議長は、本件につきはかったところ、満場一致でつぎのとおり可決した。
取締役の報酬総額は年額3,000万円以内、。監査役の報酬は年額500万円以内と する。
取締役の報酬の支給方法は、取締役会に一任する。

以上をもって、本総会の議事全部を終了したので、議長は閉会の挨拶を述べ、 午前10時30分散会した。

上記議事の経過の要領およびその結果を明らかにするため、議事録を作成し、 議長および出席取締役がこれに記名押印する。
平成○年9月30日
○○株式会社創立総会
議長取締役 青山太郎 印
取締役 赤坂治朗 印
取締役 両国三郎 印



上記4号議案の調査報告書のサンプル

調査報告書

平成○年9月30日開催された○○株式会社創立総会において、私どもは取締役 および監査役に選任されたので、商法第184条1項所定の事項について調査したと ころ、その結果は下記のとおりである。

1.設立の際発行する株式全部について引受けの有無
会社の設立に際して発行する株式総数200株のうち190株については、平成○年9 月10日までに発起人から引受けがあったことが定款によって認められ、残りの10 株については同年9月14日までに株式申し込み人によって引受けられたことが 株式申し込み人によって認められる。
2.設立の際発行する株式の払込みの有無
前期株式総数200株については、平成○年9月15日までにその発行価額の全額の 払込みを完了していることが、株式会社四菱銀行の払込金保管証明書によって認 められる。
平成○年9月30日
○○株式会社
取締役 青山太郎 印
取締役 赤坂治朗 印
取締役 両国三郎 印
監査役 品川四郎 印



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取締役会の開催

創立総会が終了したら、ひきつづき取締役会を開くべきです。法的には、取締 役会はいつ開催してもよいのですが、代表取締役の名でする設立登記申請をすみ やかに行うためにも早く開く必要があります。

取締役会議事録をサンプルとして下記に示します。

取締役会議事録

平成○年9月30日午前10時45分より、東京都千代田区三番町4-3-2当社本店にお いて、取締役全員出席のもとに取締役会を開催した。
出席取締役 青山太郎
同 赤坂治朗
同 両国三郎
取締役青山太郎は選ばれて議長となり、下記議案につき審議した。
第1号議案 代表取締役選任に関する件
議長は、定款第25条にもとづき当会社を代表すべき取締役を選任したい旨はか ったところ、全員一致をもって、つぎのとおり選任した。
代表取締役 青山太郎
第2号議案 本店の所在場所の決定に関する件
議長は、本店の所在場所の決定につきはかったところ、当会社の創立事務所の 所在場所である下記の場所とすることを、全員一致をもって決定した。
東京都千代田区三番町4-3-2
第3号議案 取締役報酬決定に関する件
議長は、取締役の年間報酬をつぎのとおりとすることを一同にはかった、全員 一致でこれを承認した。
取締役 青山太郎 金xxx万円以内
同 赤坂治朗 金xxx万円以内
同 両国三郎 金xxx万円以内

以上をもって議案全部の審議を終え、午後11時30分閉会した。
以上の決議を明確にするため、この議事録を作成し、出席取締役全員これに記 名押印する。
平成○年9月30日
○○株式会社

出席取締役 青山太郎 印
同 赤坂治朗 印
同 両国三郎 印



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株式会社設立の登記

会社設立の登記が完了しないと、会社としての実体が出来上がっていても、法 律上会社としては認められません(商法第188条)。登記は、基本的に欠かせな い手続きで、設立後も、定款の変更、取締役の交替、増資などの際、その都度必 要となります。

会社設立の登記は、創立総会終結の日から2週間以内に、会社の本店所在地を 管轄する法務局または地方法務局、支局、出張所へしなければなりません。最初 から支店を設ける場合は、支店の登記も支店管轄の登記所にします。登記申請は 、代表取締役本人か、代理人に委任状を書いて委任するかいずれかの方法で行い ます。持参しなければならず、郵送は受け付けてくれません。

書面による申請

設立登記の申請は、「株式会社設立登記申請書」のほか、別紙として@商号・ 資本欄A目的欄B役員欄C予備欄D支店欄の五種類があり、通常これらに記入し たものを一体として提出することになります。なお、添付書類として、定款、株 式の引受を証する書面、株式払込金保管証明書、創立総会議事録、取締役・監査 役の調査報告書、取締役会議事録を各1通添付します。

こららの用紙は、登記所に備えられていますし、またセットで解説付きで市販 されていますので購入して記入してもよいことになっています。

また、代表取締役の印鑑届出も同時に行います。今後、代表取締役の印鑑証明 書の交付を受ける際の原本にするために必要とされるものです。


株式会社設立登記申請書の内容は次の通りです。

株式会社設立登記申請書

1.商号 ○○株式会社
1.本店 東京都千代田区三番町4-3-2
1.登記の事由
平成○年9月30日募集設立の手続き完了
1.登記すべき事項
別紙「登記用紙と同一の用紙」に記載のとおり
1.課税標準金額 金 1000万円
1.登録免許税 金 15万円
1.添付書類
定款 1通
株式の引受を証する書面・・定款の記載を援用する
株式の申込を証する書面 1通
株式払込金保管証明書 1通
創立総会議事録 1通
取締役・監査役の調査報告書 1通
取締役会議事録 1通


注:登録免許税は資本金の1000分の7となっていますが、その額が15万円未満 は15万円を納付しなければなりません。



上記書類が整ったところで、登記所の係りに提出します。登記にはある程度の 日数を必要とします。申請の書類に不備があった場合には、「補正」ということ になりますが、これは登記所の指示に従うことになります。 登記完了の日を聞 いておくことです。
設立登記申請と同時に、会社登記簿謄本および印鑑証明書の交付を申請します 。これは、会社設立後ただちに必要となるものなので用意しておくのです。

登記完了の指定された日に、登記簿謄本と印鑑証明書を受領できれば、めでた く登記完了となります。


会社の謄本と代表者の印鑑証明書は、株金払込銀行へ持参し、払い込み金の保 管を解除してもらうことで、資金を営業のために使うことができます。


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会社設立に関する相談料は、1回当たり3000円で賜っています。ただし、複雑な事例は、ご相談のうえ決まります。
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