メールがごく当たり前の通信手段になってきました。小学生からご老人まで手軽な連絡方法として使われています。
多くのメールを読む機会がありますが、ますます増えているのが全文引用です。
全文引用とは、メールの返信をするとき、返信の内容に、相手のメールの文全体をそのままつけているものです。
● 全文引用の例 (青
文字が全文引用部分) ●
こんにちは、○○さん。
△△です。メールをありがとうございました。
私もとても元気にしています。インコも元気です。
冬になったらまた一緒にスキーに行きましょう。
では。
+--------------------+
sankaku@shikaku.ne.jp
△△ ○夫
+--------------------+
>△△さん、久しぶり。○○です。
>
>毎日暑いですがお元気ですか?おしゃ
べりなインコちゃんも
>元気でしょうか?
>
>こう暑いと冬が懐かしくなります。夏
でもスキーができたザウ
>スも取り壊されてしまいましたね。バ
ブルな施設だったので
>しょうか。
>
>また連絡します。
>
>では。
>
>//----------------------//
>
○○ ○太
>
marumaru@maru.ne.jp
>//----------------------//
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一部のメールソフト(メーラー)では、返信をしようとすると、自動的に全文を引用してしまうために、初心者は、意図せずに全文引用を
してしまっています。全文引用があまりにも普通に行われるために、全文引用をしてメール末尾につけるのがメール
のマナーなのだという勘違いもきわめて多く見られるようになってきました。
本来は、メールのどこに対する返答なのかを明確にするために使うべきものです。
●
引用の正しい使い方 ●
○○ ○太様:
メールをありがとうございます。
暑いですが、元気そうで何よりです。私も元気にしています。
> おしゃ
べりなインコちゃんも
>元気でしょうか?
おかげさまで、朝から晩まで飛び回っています。「オハヨー!」と喋ってます。沢山言葉を覚えさせようと思ってい
ます。
>こう暑いと冬が懐かしくなります。夏
でもスキーができたザウ
>スも取り壊されてしまいましたね。バ
ブルな施設だったので
>しょうか。
オールシーズンの人工スキー場 ザウスですか。できたばかりの頃、何度もいきました。懐かしいですね。あれもスキーブームとバブルが組み合わさって可能
だったのでしょう。
是非、冬になったら一緒にスキーに行きましょう。
では。
+--------------------+
sankaku@shikaku.ne.jp
△△ ○夫
+--------------------+
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何を引用し、何を引用しないかを自分で判断し推敲して、相手に読みやすい返信を作り上げるのです。
引用は必要最小限にするべきだと、べからず集でも以
前、具体的に引用の方法を取り上げました。
■ 全文引用のどこがいけないのか
全文引用をすると、無駄にメールが長
く(サイズが大きく)なり、ディスクスペースを余計に使って読み手に負担をかけます。相手の身に立てば、不要なものを送りつけることは好ましいはずがあり
ません。明らかにマナー違反といえます。
特に携帯に対して全文引用をすると、パ
ケット通信料に明確に反映してしまいます。メーリングリストでのやりとりでは、同じメールが数十〜数百の相手に届けられますから、メールを届けるサーバー
の負担も大変に大きくなってしまいます。
例に挙げたような一重の全文引用はまだ可愛いもので、ときおり5重6重以上に全文引用されているものを見かけます。引用をすることで話の流れを明確にする意図があったとしても、引用が度重なることによって引用記号
が引用の度に増え、文の途中で不要な改行が入り、引用されたものが誰の発言であるのかもわかりにくく、読みにくくなります。
●多重引用の例●
開発チーム責任者様:
状況は理解できますが、当社の信用に関わりますので、何とか期限厳守でお願いします。
間に合わない場合はペナルティを課すことになります。
よろしくお願いします。
> 営業担当様:
>
>
メールをご覧になっているかと思いますが、
>
現場がいっぱいいっぱいの状況です。何とか
> 交渉して頂けないでしょうか。
>
> チーム責任者:×沢△秀
>
> >
チーム責任者様:
> >
期限延長の要請が現場から上がっていま
> > す。対応
> >
はどうしましょうか。期限厳守は分かって
> > いますが、
> > 現場は悲鳴を上げています。何とかなり
> > ませんで
> > しょうか。
> >
> >
> 例の商品の開発期限の件ですが、開発
> >
> が少々難
> >
> 航し
> >
> ており、大変に厳しい状況です。何とか交
> >
> 渉して期
> >
> 限を
> >
> 延ばしていただくわけにはいかないでしょ
> >
> うか。
>
>
> > 開発チームの皆様:
>
>
> > 今回のプロジェクトの期限は、来月8
>
>
> > 月25日と
>
>
> > なって
>
>
> > い
>
>
> > ます。当然期限厳守で
す。少人数で
>
>
> > 少ない期
>
>
> > 間での
>
>
> > 開
>
>
> > 発になりますが、よろし
くお願いしま
>
>
> > す。
> >
> >
> >
> >
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引用部分を無視する習慣すら付いてきているよ
うです。このために必要が
あって引用し
ていても、見落とされるケースもままあるようです。
問題が多い全文引用の原因は、もっとも普及しているメールソフ
ト(メーラー)である
OutlookやOutlook Expressの初期設定が返信時に全文引用を自動でするようになっているためです。マイクロソフトの余
計な御世話な初期設定のおかげで、電子メールの返信では相手のメール本文を全文引用するのが当たり前なのだという、とてもおかしな習慣が根付いてしまって
います。困ったものですね。
簡単にこの設定を解除することができますので、参考にして頂ければと思います。変更の例はOutlook express 6です。
■ ツールのオプションを選びます。

■ 送信タブをクリックし、返信に元のメッセージを含めるのチェックを外します。

■ 最後にOKすれば完了です!
全文引用しないだけで、この人はメールを上手に使いこなしているな、と思われますよ。
是非、お試し下さい。
全文引用が初期設定ではなく、必要に応じて引用がしやすいメーラーとして「Becky! Internet Mail」を紹介します。
有料ですが、ユーザーの視点に立って開発された、優秀なメーラーです。
Becky! Internet
Mail (RimArts)
注)
このような全文引用は、議論の流れや誰に対する返信なのかを明らかにするため、意図的にするのだと主張する人がいて、その主張には一理あります。多くの
相手に多く
のメールを処理しなくてはならないビジネスメールでは、やむを得ない面もあります。
実際、IT系企業の営業とやりとりをしていると、当たり前のように全文引用してきます。
しかし、多重引用の結果、とても目を通せないほど引用部分が崩れてしまうこともままあり、意味をなさないこともよくあります。
また、メールの中にはメール毎に「メッセージID」というものが打ち込まれていて、返信をすると自動的にどのメールへの返信なのかが分かるようになっています。メー
ラーの「スレッド表示」を選択すれば返信関係が明らかになるようになっているのです。むしろ、これを知らないために、特にMLで返信関係が
ぐちゃぐちゃになっていることがよくあり、問題があります。
ビジネスメールいえどもなるべく全文引用は避け、返信関係が分かるように必要最小限にとどめるべきだし、特に個人のやりとりでは、多重で本文よりもはる
かに長大
な引用は全く無用なものです。
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