陽の当たる世界に戻れるよ

第51話
粗筋:(アニメ公式サイトより)

大総統邸にてプライドや、事態を聞きつけてやってくるアーチャーと次々に対峙することとなったマスタング。一方ダンテの屋敷では、エンヴィーがホーエンハイムに会うべく門へと消えていく。そしてエドは、大切なものを呼び戻すため、ふたたび両手を打ち鳴らす……。


泣いても笑っても最後。このだらだら感想文も最後。では参りますか。


串刺しのままのエド兄。大量の血を吐き出して苦しそう。エンヴィーも遠慮のないコト。
信じられない光景に茫然とするしかないアルに、正気を取り戻して駆け寄ろうとするロゼ。それをムリヤリ押し留めるダンテってば、いじわるばあさんの顔してましたな。

あっけないモンだとせせら笑うエンヴィーの言葉を聞いて、兄さんが死ぬわけがないと叫ぶアル。そしてラースまで茫然としていました。
死ん…だ…?

死んだんだよと繰り返すエンヴィー。どいつもこいつも。そしてホムンクルスだけが生き残る ─ !
何がそんなに嬉しいのか、高笑いして勝利に酔いしれている模様。

兄さんは死なない。そんなのおかしいと尚も否定するアルに、これまた勝ち誇った笑みを浮かべてダンテ曰く。
『これが現実よ』

あるいは代価が足りなかったのかしら? いつだって 代価は少し足りないもの。

光り輝いたままの練成陣に迫るグラトニー。兄貴が斃れて尚、アルは大ピンチのままです。

所変わってセントラル。ご家族を護送中の車の後には、手に縄を討たれたホークアイさんが乗っている車がついておりました。
と、正面から酔っ払い運転のやうな車がやってきて、恐れ多くも大総統のご家族が乗っている車と衝突してしまいます。

酔っ払い運転の主はアーチャー。やはり『大佐』のままでしたね。良かったねえ、任務に失敗したのに降格されなくて。
でも、大事な家族が乗っている車に衝突したと分かったら、大総統に左遷されると思うぞー。気をつけようね。
つーか、あの腕でどうやって運転したのだろうか。

大総統宅に族が侵入したと聞いたとのアーチャーに、それは勘違いだったと護衛の仕官が告げました。
ホークアイ中尉という単語に反応するアーチャー。シリアスに決めているのはいいが、口からバズーカは引っ込めた方がー。
車の中から睨みつけるホークアイさんに、何でここにいる! と、問答無用に銃を向けるどころか弾まで発射してしまう、落ち着きのない男、アーチャーです。

大総統から司令部で取り調べろとの命がーと、アーチャーの暴挙を当然止めようとするその他大勢の皆様。
アーチャーってば、大総統命! なくせに、一旦キレると見境が無くなるヤツのようです。

何を企んでいると、もみ合いながら怒鳴るアーチャーさん。大佐のやりそうなコトを良く知っているようで。

そんな大人たちの騒動を尻目に、お父さんが心配だったのでしょう、坊ちゃんは意を決したように、そっと開いたままのドアから抜け出しました。

おお、大佐を助けるために頑張れやーと思っていたら、ホントにそうなっちゃうんだもんなあ(ちょっと遠い目に)

大総統宅。マスタング大佐はまだ存命中(不吉なコトを)
そしてちゃんと立つ元気もありました。さすが焔の二つ名を持つ男、もう何度かプライドを殺した模様です。

が。プライドは沢山の赤い石を食っているみたいですね。
焔の中から黒焦げの身体で現れて、この程度では命を削るだけだと言い放つホムンクルス。焼け爛れた皮膚も服すら復活し、元の姿を見せ付けます。

五体バラバラに爆発したらどうなるか、少し興味があったが ─ って言葉からすると、大佐ってばキンブリー並みの爆破も試したのか。
それでも元気なホムンクルスは、単細胞生物とお友達らしい。

しかしお洋服までちゃっかり復活していましたが、それってスロウスと同じで素っ裸と一緒だと思うのですがー。バカには見えない服とかじゃないよね?
焔の中で大総統の生板ショーか。…金積んで見に行きそうです。

…等と現実逃避しても、大佐のピンチには変わりなく。
肩をサーベルで縫い止めた(痛そうだのう)プライドが大佐に問うたのは。
「そんなに大総統になりたかったかね?」

安っぽい野心などお見通しだ。だが、それなら時間をかけるべきだったな。
暗殺の実行犯では、君は二度と権力の椅子に座らせて貰えない。

それに答えた大佐の言葉は若かった。もう可愛らしいコト言うんだからと、ため息が出る位に若かった。

自分の間抜け振りが許せないだけだと苦々しげに口にする大佐。
そのために死んだ友に 詫びるにはこれしかない ─ 。

これしかないかはともかく(それは違うだろうと実は思うのだが、何だか必死だからそこまでは言わないでおこう)
何だかんだ言いつつも、それだけヒューズの存在が大きかったと自ら認めたってコトになりますね。
ヒューロイさん的にはグッジョブと親指立てる告白だったかなと。

私的には美味しい台詞と思いつつ、『その辺は見せない方がー』と忸怩たる想いもまたあったりして。
まあ最終回だしね。含みを持たせてどうするって気がしないでもない。

大佐の可愛らしい(あれは可愛いとしか表現出来ません)告白に、では一人で詫びに行きたまえと、こちらは大人の魅力のプライド。
『ヒューズ准将によろしく』

肩に刺さったサーベルを、心臓に向かってえぐっていくプライド。さすがに声を上げずにはいられない大佐。
このまま胴体真っ二つ…ってなトコロで、やっぱり来たかの坊ちゃん登場です。

ここから先の展開は、既に予定調和というか何と言うかー。もうバレバレ?

心配ない、賊は捕まえたと瞬時に父親の表情に戻るプライドに、ほっと嬉しそうな笑顔を見せる坊ちゃん。
お父さんってば、いくら賊とは言え、人間の肩にサーベルなんて突き刺しちゃってるんですけどー。大佐のコトなんてちっとも目に入っていませんね? 坊ちゃん。

命令に従わないですみませんと、嬉しそうにお父さんに駆け寄る坊ちゃん。ボクを引き取ってくれたそのご恩に報いたいと健気に訴えます。

一体、何で報いるつもりだったのかとふと思ったしばたさん。ああ、賊にやられそうだったら助ける積りだったのね、多分。
……そういうのを『足手まとい』って言うんですよ。将来のために覚えておいてね。
ってな、しばたさんの杞憂は意味がなかったです。

慈愛に満ちた目で、仮初めの息子の肩に手を置くプライド。強い父親の姿を誇らしげに見つめる坊ちゃん。
壁に縫い止められたまま、これがお前が愚かだと言っていた人間だと呟く大佐に、怪訝な表情が浮かびました。

坊ちゃんの肩に手を置いたまま動かないプライド。様子のおかしい父親を心配する息子に問うたのは。
『お前 何を ─ !』

坊ちゃんが肩掛けカバンから慌てて出してみせたのは、白い布にくるまれた包みでした。
金庫から出してきました。火事になったらお父様の大切なものが ─ 。

ボク良い事をしたんでしょう? と必死に訴えるように言葉を継ぐ坊ちゃんを襲ったのは、尊敬するお父さんに首を締め上げられるという残酷な事実でした。

事態を悟った大佐が、渾身の力で肩のサーベルを抜いて助けに入ろうとしたものの時既に遅かった模様。
多分事態を何も把握しないままだったであろう坊ちゃんの身体を、ボロ人形のように放り出すブライドでございます。

それなりの年月を父親として過ごしてきたであろうに、楽しい事もあっただろうに、プライドの口から出たのは
『だから愚かだというのだ!』

情を移さないプライドってば、ワリと好みです。ここで楽しい思い出が走馬灯のように浮かんでついついためらって ─ なーんて展開になっていたら、私間違いなく暴れましたね。
とは言っても、子供に見せるにはちょっとばかしショッキングな映像かとも思うのう。子殺しだもんね。
難しいトコロです。

坊ちゃんの身体を抱き上げていた大佐、おもむろに手にしたのは先ほどの『お父様の宝物』
それはプライドの元になった人物のものであろう頭蓋骨でした。

グリードの時にも思っていたのだけれど、致命的な弱点となるものを、何故ホムンクルスたちは手元に置いておきたがるのだろう?
きれいさっぱり処分してしまえば、後腐れなく弱点のない生物になれるのに。
恐れつつも手放す事が出来ない、彼らの根幹に息づく本能のようなものなのかもしれませんが。謎だ。

初めて恐怖に顔を歪めるプライドに、頭蓋骨を掲げて気力を振り絞って立ち上がる大佐。手の甲に己が血で描くのは焔の練成陣。
『キング・ブラッドレイ。貴方は何度殺せば 死ぬのかな』

微妙に原作とコラボっている、オットコ前なマスタング大佐であります。

展開丸見えだったのだけれど、啖呵きってる大佐がカッコよかったから全て許す!
……うーむ、いつの間にしばたさんってば大佐のファンになったんだろうねえ。

アルを貪り食うグラトニー。このまま兄弟の苦労は全て水の泡…になったら暴動が起きるので。
がつがつとほおばる音と重なって、パンと何かを打ち鳴らす音が聞こえました。

何が起こったのかと眉を顰めるダンテに、様子がおかしいグラトニーへ呼びかけるエンヴィー。
そのグラトニーが顔を上げると、下顎が溶けるように無くなっていました。
錬金術の分解…との呟きに応えるように、紋章を浮かび上がらせたアルが、多分動けない状態なのだろうに、よろけながらもゆっくりと起き上がりました。

どうでもいいけど、グラトニーの何処がおかしい状態なのか、絵だけでは分かりづらかったです。
エンヴィーの言葉と状況で察した感じ。
やはり顔の下半分溶かすくらいしてくれないとねえ…って、グロすぎるかそれじゃ。

錬金術はいけないと言ったのに、せっかくの賢者の石がそんなに減ってと、横取りしたくせに文句つける、ごうつくババアのダンテ。
そんなババアを来るな! と一言で制し、アルは愛しの兄の元へと足を運びました。

兄さんはまだ死んじゃいない。ほら、こんなに暖かい。魂はまだ門の中にある。それを取り戻してくればいいんだ。

兄さんが してくれたみたいに ─ 。

止めなさいと、この期に及んで尚命令口調のダンテの言葉など当然聞く訳もなく。

ダンテの言葉を遮り、自分は多くの犠牲のおかげで賢者の石になったと呟くアル。
─ いや、元々ボクは あの日死んでいたのかもしれない。だから。

思わずアルの名を呼ぶロゼに、たまりかねたように襲いかかるエンヴィー。危ないよと、両手を合わせるアルの静かな声が響き。

兄さんと紡ぐ小さな声と、驚愕の表情で光に飲み込まれるエンヴィー。
アルを中心に4つの(床を入れると5つかな)練成陣が赤く光り輝く、美しい光景でありました。

瞳孔開いたエドの頬に触れるアルの鎧の手ってのが切なかったですねえ。
ほんっとーにこの子達ってば愛しすぎるわ。

眩い光は小さな裸電球に集約されていきました。
ってんで、焔に包まれたカーヴの中で、息も絶えだえに立ち尽くすのは、ホムンクルスではなくマスタング大佐。視線の先にはプライドだったらしい赤い液体が。
最後の気力で、赤い残骸と頭蓋骨を浄化させます。しかし骨溶かすのか。一体どんな高温なのだろう?

ほっと息をつく大佐が次に目を向けたのは、小さな身体でした。
やはり事切れていたらしい坊ちゃん。お父さんに投げ出されたそのままに、人形のように動かないでいました。

結果的に坊ちゃんの、父親@プライドを思いやる気持ちに助けられた事になりますね。彼の脳裏には、昔々のイシュヴァール戦で、自分のために死んでいった子供が浮かんでいたのかもしれません。

愚かな人間の心が、人を生かしホムンクルスを倒したって図式か。

駆け込みで坊ちゃんが出て来た時からもしかしたらーと思っていましたが、無垢であるが故に死を迎える事になってしまった幼い命には涙を禁じえません。合掌。

坊ちゃんを抱いて大総統宅から出てくる大佐を迎えたのは、ホークアイさん…ではなく、招かれざる訪問者でありました。
大佐に銃を向けるアーチャーですが、ご自慢の義手とか口からバズーカは使わないのは何故? 弾切れだったら大間抜け。

どうでもいいが、この期に及んでひたすら受けっぽい顔はやめてくれー、大佐。思わず押し倒してしまいそう…って、進歩がありませんよしばたさん。

必死で走ってくるホークアイさん。
立ち塞がるアーチャーへためらいなく銃弾を撃ち込みます。弾切れと同時に振り向くアーチャーに顔を歪めるホークアイさんでしたが、的確に生身の部位を捉えた弾丸に、さすがのアーチャーも反撃せずにそのまま崩れ落ちてしまいました。

最後に大暴れを見せてくれたアーチャーですがここでリタイア。…ホントにリタイアしたのか? まだ怪しいなあ。

ほっと息をつきつつも己が倒した相手に目もくれず、彼女が一直線に向かった守るべきひとは、血溜まりの中に倒れていました。
呼びかけても応えないそのひとの、階級ではなく名を絶叫するホークアイさん号泣のシーンです。

あれだけエドロイやらヒューロイやら見せ付けておいても、最後はやはりノーマルカップリングの模様。
ラストがアレでしたので、その後ホークアイさんはちょっと恥ずかしい思いをしたのではないかと。泣いてないで早く病院に連れて行ってあげてください。

まあ、背後にショパンの別れの曲が流れて盛り上げられちゃあ、死んだと思ってもしょうがないっつーか、生きている方が嘘っつーか。

光に包まれた空間に立っているエド。現れ消えるアルの姿に呼びかけます。
もしや死後の世界に大佐も登場かと思ったですが、エンヴィーがしゃしゃり出てきましたね。

何処だここはと、うろたえるエンヴィーにエドは一言。
『門だ』

何処に繋がっているとの問いに、オレの時はロンドンとかいう町だったと答えます。 ─ 親父が言うには。

『親父』という単語に反応するエンヴィー。光のホーエンハイムの事だなと確認し、まだ生きているんだなと叫びます。

してやったりと笑って門をこじ開けるエンヴィーに、エドはやめた方がいいと忠告します。が。
『ホーエンハイムに会う。ボクはヤツを…殺す!』

扉の内側から覗く無数の目に、ホーエンハイムの所へ連れて行けと言い放ち、楽しげにさえ見える表情で門の中に引きずり込まれるエンヴィーです。触手だ触手(どうしてここから離れられないのかしばた)

嬉しそうに門の中の旅を行っていましたが、ふと気づくと手足を欲しがる無数の黒い子供たちが群がっているのが目に入りました。
邪魔するなと、エドに化けて蹴散らすエンヴィー。

ボクは行くんだ。ホーエンハイムの所へ。 ─ あいつの所に。

父さんの所に!

大きな蛇(…っていうより東洋の竜っぽいかな? …あー、嫉妬を司るリヴァイアサンってオチか)へと姿を変えて、光の中へ消えていくエンヴィーと、軋んだ音を立てて閉じる門。
それを見つめて涙を流すエドが発した言葉は
『…アル』

父を求めるエンヴィーの姿に何か感じるものがあっての涙だと思ったですが、その涙は弟のためのものだったようです。
ほんっとーに弟がいてこその兄貴なのだなと、思ったり思わなかったり。

次にエド兄の視界に移ったのは、心配そうに覗き込むロゼの姿でした。
生きてるのとのちょっと間抜けな問いに、ああと答え、自分が涙を流している事に気づきます。
何で涙が ─ ?

無防備な兄貴がひたすら可愛かった。一瞬理性が飛びそうになるほど可愛かった…っ!(萌えセンサーMAX稼動中)

涙を拭った右手が生身なのに気づき、起き上がって胸の傷は勿論、左足も元に戻っている事に気がつきます。

そんなエドにロゼが告げた真実は。
『アルが 貴方を練成したの。 ─ 死んだ貴方を』

弟が賢者の石としての己を使って、自分の肉体と魂の復活を果たしたのだと知ります。
アルの行方は、必死の形相の問いに言葉を濁すロゼの姿が雄弁に物語っていました。
アルが消えたっていうのか?

壊れたラジオのようにひたすらアルを呼ぶエド兄の姿は、一番危惧していた姿でもありました。
強がってはいるけれど、アルがいないと『今現在の』エドはダメになってしまうと思ってたりするので。

切羽詰った大声で不安になったのか、泣き出す赤ん坊にようやっと我に返ったらしいエド兄です。

そんな子供たちを置いてけぼりにして、ダンテは一人で地上へ向かうエレベーターに乗っていました。
こんな状態なのに賢者の石を失くしてしまうなんてと、胸元全てが腐った肉体をガラスに映し吐き捨てるダンテ。

プライドにバカな人間たちを追いつめさせないと等と、地上で何が起こったかも分かっていない、のんきなおばさんの下に現れたのは、狂ったままのグラトニーでした。

床を食い破り、よだれを垂らすグラトニーに、私が分かるでしょう? もないだろうに。
食欲だけの存在に変えて、心なぞ要らないと言い放ったのは、他の誰でもないダンテなのにねえ。

襲いかかるグラトニーに、両手を合わせて応戦するダンテ。
地上に現れたエレベーターの中には2人の姿はありませんでした。

さて、後は映画をお楽しみに ─ ですかね?

地下では紋章様の練成陣の真ん中に、一人立ち尽くすエドの姿がありました。

ごめんなさい。ちょっとだけ懺悔させて貰ってもいいですか?
あまりにバカなコトなので、白黒反転で告白します。感動に水を差されたくない方はどうかスルーでお願いします。
下手に見ちゃうと、クライマックスが台無しになる恐れ大です。


エドの上半身に描き込まれた練成陣なのですがー。

……………公衆トイレに書いてある、あのヤバい図形を思い出してしまいましたーっ!

ごめんなさいごめんなさい。緊迫したクライマックス中のクライマックスに、下世話な連想をしてしまってごめんなさい。
ああー、一度そう思ってしまうと気になって気になって…っ!

製作者一同に向けて土下座したい気分です orz



さ、さて。クライマックスモードに戻って。

早く行けとロゼに告げるエド兄。悪いけどあいつも連れてってやってくれと、ラースの事も気遣います。
エドの動向を尋ねるロゼに、ここを破壊していくと答えます。
もう二度と、誰も賢者の石なんか求めないように ─ 。

そうねと、胸中によぎる不安をムリに吹き払うように笑うロゼ。
貴方も一人で後から来られるわね。 だって今はもう 立派な足がついているんだから。

ロゼの言葉に、にっかり笑うエド兄は愛しかった。ひたすら愛しかったぜ、くっ。

独りになって思うのは、父親から聞いた言葉。
親父の言った事が確かなら、今ならアルの肉体も魂も 門の内側にある。

命の代価は他にない。オレの全てを捧げても 無駄かもしれない。─ でも。お前が消えちまう事なんてないんだ。

『戻って来い。アル』

両手を打ち鳴らし、静かに心の門を開くエド兄です。

さて、その後の皆様は ─ 。

やっと落ち着きを取り戻してきたセントラルのシェスカから(多分)ウィンリィ宛の手紙。
彼女も無事仕事に復帰して、特技を生かして忙しそうです。

大総統は失踪という事になったようですね。…影も形も無くなったものね。
政権は新政府に移り、政治の実権は議会へと移ったそうで。やっと政治家が出て来たな。

今まで文官は何をやっていたんだか。
『果報は寝て待て』なーんて思っていたとしたらイヤだのう。

ホムンクルスの統治が終わっても、周辺諸国との軋轢は厳しく、まだまだ軍が必要な時は続くようです。

それでもイシュヴァール政策も一変したし、それ以外の事もちょっとづつ良い方向に向かっていると信じたいとシェスカ。
どうやら自治区へ追いやられる生活ではなく、廃墟と化してはいるけれど、懐かしの故郷に戻ってこられたようです。

科人の烙印を押された、あれほど恐れと侮蔑を抱いていたおじいさんに手を貸すリック兄貴を、微笑ましく見守る弟の図ってのは、ちょっとあざとい気もするのだけれど(イヤな性格)、このアニメの言わんとしている事のひとつを分かりやすく表しているなと思いました。

総じて、弟の方が兄貴より出来がいいという教訓を(それ間違ってるから)

そして、ホークアイさん号泣のワリにはしぶとく生きていたマスタング@今度はホントの准将。
左目のアイパッチがひたすら似合いません。一過性であって欲しいと切に願う今日この頃。

ちょっといつの間に進展しやがったんだよ! と、甲斐甲斐しく看護するホークアイさんと、何だかとってもいい感じ。
瀕死の状態でちゃっかり美人をものにしたのかと思うと、むーかーつーくーっ!(あんた大佐のファンだと自覚したんじゃ?)

作戦は完璧だった。なのに私が間に合わなかったために ─ と、後悔にくれるホークアさんに、完璧などありえないと告げるロイ(ああ、とうとう『大佐』って書けなくなっちゃった)
この世界は不完全だ。

けれども繋げる言葉は
『だから 美しい』

ホーエンハイムのテクニックをちゃっかり盗んで、ホークアイさんの金色の髪に手を延ばすオヤジの図でした。

『世界』が不完全だから美しいと言っているようにも、『リザ・ホークアイ嬢』は不完全かもしれないが、だからこそ美しいと言っているようにも聞こえます。
うるんだ真摯な瞳といいさり気ない仕草といい、最後の最後でたらしテクニック全開ですねえ。

でも、そんな甘い言葉にうっかり引っかかってくれないホークアイさん。やっぱり相変わらずのお二人なようです。

さて。アルフォンスくんのその後ですが。

兄貴が命を賭けて望んだように、アルの肉体は無事門の外を出られた模様。
ずっと門の内にあったためか当時のままの肉体って、こりゃまた美味しい(何がだよ)

でもおかあさんを練成した日からの記憶がないってのはなあ。
色々とつらい事が多かっただろうけれど、兄貴との大切な宝物な時でもあったろうに。その辺がちょっとなー。釈然としないなー。ぶつぶつぶつ。

すっかり大きくなったロゼの子供に時の流れを感じます。

そして、エドはあの日以来姿を消したようです。

リゼンブールを訪ねてきた師匠夫妻に、やはりエドは何処にもいないのかと、独り言のように呟くピナコばっちゃん。師匠は、たとえ人の命を代価にしても人体練成は叶わないと応えます。

アルがあの姿になったのは、彼らが費やした4年という月日の全てを代価にしたという事かもしれない。

ラースはウィンリィが失った手足の代わりに機械鎧をつけてあげたそうな。でもいなくなってしまったと師匠に告げます。
ウィンリィがエドのために用意した機械鎧って事は、エドの本当の手足と同等のものでしょう。
そう考えれば、エドの手足は未だラースの元にあるようです。

母親の墓に佇んでいたアルが、皆との食事中に爆弾発言。もう一度師匠の所で修行がしたい。

錬金術の事、等価交換の事をもっと勉強したいと決意の固そうなアル。
そしていつか、兄さんとまた会いたい ─ 。

どうすればいいか分からない。でも錬金術を学んでいれば いつかまた 兄さんと会える。そんな気がする。

子犬よりはちょっと成長した目を向けられて、その目には弱いと諦めたように笑う師匠です。

アルの旅立ちの日。
今まさに動き出しそうな汽車の窓辺で、ひとつだけ約束してと言うウィンリィ。

私も、もっともっと修行して最高の機械鎧技師になる。だから約束して。帰って来るって。
『必ず元気で 帰ってくるって』

たくましい笑顔を見せて、必ず兄さんを見つけて帰ってくると力強く言うアルの言葉に微笑むウィンリィです。

ようやくウィンリィも修行する気になったのねえ。良かった良かった。このまま自立出来ないんじゃないかと、お姉さん心配しちゃったよ。

涙を堪えるウィンリィが可愛いなあと思っていたら、今度は何やら怪しげな集会がー。
パパってば一体何に手を染めていらっしゃるのですか? 魔術とかトゥーレ協会とかー。ナチス関係かよ。やめてくれー。
『私も道を探すものですから』
なーんてのんびり言っている場合じゃないって。

トゥーレ協会に関しては『トゥーレ 魔術』で検索かけてみれば分かるかと思われます。パパと話をしていたハウスホッファー教授は地政学者だそうな。

ってなワケで、ホーエンハイム氏の居る1921年ミュンヘンは、インフレに喘いでいるようです。
そろそろナチスが勢力つけ始める頃ですかね。

微妙に現実世界の有名人とリンクしているので、検索エンジンフル回転中。

パパが家に戻ってみると旅支度に忙しい少年の姿がありました。呼びかける言葉は
『どうした。エドワード』

エド兄、しぶとく生き抜いております。

髪が伸びてちっと大人っぽくなったかな。映画ポスターのアレは似合っているとは言いがたかったけど、白いシャツにベストにアームリングな彼は、なかなかにスタイリッシュでステキでした。惚れ直しちゃったね。

エドの旅支度の理由は、ロバート・ゴダードによる液体燃料ロケットの論文。でもエドのお気に入りはヘルマン・オーベルトらしい。
アインシュタインはうさんくさいのかー。…うさんくさい錬金術師に言われたくないと相手も思うかもよ?

オーベルトに会ってくると告げる息子に、あってどうすると尋ねる父親。
彼はロケットで宇宙に出る事を考えている。オレの世界に 宇宙に出る事で近づけるかもしれない。

錬金術が使えないなら機械技術かと、息子の頑固さを知っているためか諦めた調子で呟くパパに、エドが言うのは。

オレは、あいつの魂と肉体を結びつけて再構築したはずだ。だけど、気づいたらオレだけこっちの世界に来ていた。

自分の精神と肉体を失わぬにはこちらに抜けるしかない、無意識にそれをしたのだろうと言うパパに、せっかくアルのくれたものをまた失くしちまったと自嘲気味のエド兄です。

そんな息子にパパは、世界は不完全なものだと、どこかの誰かさんと同じ言葉を口にするのでした。
まあ、その後息子をくどいたりはしなかったけどなー。

旅立つエド兄。
見送る父親に背を向けてそのまま去るかと思われましたが、ふと立ち止まると、振り返らずに呟きました。

自分の命を代価にアルを練成したつもりだった。なのにオレは生きている。
『結局オレは、代価なしで何かを得ちまったのかな』
それとも、アルはあのまま ─ 。

お前たちは旅をしてきたと、息子に告げるパパ。
その間に会った人、見たもの。苦しみ、努力し、体験した全ての事。それがお前の代価じゃないのか?

そりゃパパの言葉も含蓄があって良いのですが。振り向くエドのうなじで決まりでしょう、ええ。
最後までビョーキ者で通すかしばた…orz

汽車の中のエドとアル。別々の世界で別々の汽車に乗って、それでも相変わらず一緒の兄弟。
どうなるか予測すら出来ない絶望的とも言える状況で、それでもきっと還ってみせると決意し、また会おうと不敵に笑うエド兄。

人が何かを得るためには同等の代価が必要となる。等価交換の原則。

世界の真実だと信じていたものが、世界は不完全で全てを説明出来る法則は存在しないと悟った時。

それでも兄弟は信じるようです。

人は代価なしに何も得る事は出来ない。受けた痛みも何かを得るための代価だったはず。

そして。

人は誰でも 『 努力 』 という代価を払う事で 必ず何かを得る事が出来る。

等価交換は世界の原則じゃない。いつか会う日まで交わした

『ボクと兄さんの約束だ』

兄弟揃って空に伸ばした腕。兄が取り戻してくれた肉体と、弟が取り戻すまでの仮初めの鋼鉄の腕。

ふてぶてしい兄貴の笑顔を拝みつつ、鋼の手で確かに何かを掴んでの、結構普通に大団円で、アニメ鋼の終了です。


続きは映画を観てね♪ …と言わんばかりの最終回でしたが。まあ色々と文句はあるのですがー。
(丸々一話かけてやった、アルの昔の記憶があやふやって設定は一体何処に?)

感想文を書き終わった今思うのは、何だかんだで一年間楽しませて貰ったなという事でした。

アニメの展開にキレかけた事は一度や二度じゃありませんが、最後にエド兄のふてぶてしい生意気そうな笑顔が見られたし、まあいいかなと。妙に寛大な気持ちにー。

最終回観終わった瞬間は、もっとどろどろとした感情もあったですけれどね。感想文書いていたら、楽しい思いだけが残りました。ラッキー。

この感想文も毎週書き続けるのは正直つらかった時もあったのですが、過ぎ去ってしまえばいい思い出です。
短くコンパクトに簡潔に! を毎度々度の合言葉にしていたのですが、長くなる一方の文章には困りました。読んで下さった方々も疲れたのではと思います。

そういやラストもラスト、アルの語り中に出て来た方々に言及する隙がなかったのう。
タッカーさんは結構幸せそうだと思ったり、すっかり出来上がったカップルぶりを見せている増田さんと鷹目さんには、ちょっと待てやと思ったり。

いや、ホークアイさん可愛いかったんだけどねけどね。アレは彼女違うだろうと。そして映画ではアイパッチ外して欲しい。お願いお願いっ!

トリンガム兄弟までいて嬉しかったり、笑顔でお父さんの墓参りをするエリシアちゃんにほろりとしたり、私のアームストロング中佐は最後までステキだったとやっぱりうっとりしたり、ブレダさん張り合うには100万年早いわなどと思ったり。

ま、そんな感じでした。

びっくりするような展開ではなかったし、決して満足がいくラストでもなかったですが、終わった今となっては、いっそ清清しい気分でいます。心は不思議ね〜残る微笑み〜♪と、誰も知らないような歌を思い出してみたりして。

ここまでお付き合い頂いた方々、だらだらと長い上に好き勝手ほざいている文章を読んで下さってありがとうございます。
訪れてくれる方々がいなければ、とっくの昔に投げ出していた所です。お陰さまで全51話コンプリートという奇跡を成し遂げる事が出来ました。何だか感無量。

本当に、感謝の言葉しかありません。

これからも、ぼちぼちコミックスのレビューをやったり、時々SSもどきを書いてみたり、未だに準備中のコンテンツの札を外してみたり、気が向いたらガンガン掲載分の感想をやったりと、のんびり運営していこうかと思っています。
感想文も、前振り等の時事ネタを取っ払って、しばらく置いておくつもりです。

そんな感じでお茶の間サイトの鋼コンテンツは、これからも何かしらやっているかと思います。お暇な時にでも、時々覗いてみて下さると嬉しいです。

ではでは。お付き合いありがとうございました。ご縁がありましたなら またお会いしましょう。


(2004.10.3初出)