山形・鶴岡から,豊かな庄内の田園風景を進むと羽黒山のふもとに,その蔵はあった。亀の井酒造「くどき上手」である。正面から見た時の表情とうって変わって裏側にまわるとすごい。体育館の様な冷蔵の蔵が「ドカン,ドカン」と姿を現わす。
とても千石蔵とは思えない。温度管理された仕込蔵の中には小さなジャケットを付けたタンクの放列が鎮座している。麹室においても全てコンピュータで温度・湿度を管理して,さながら実験室の様だ。しかし,手造りの技法を忘れた訳ではない。蔵元・今井専務が全ての酒を醸す。分析してデータとして残す部分は機械に,そして手をかけなければならない事には全て自らの手による吟醸造りだ。ここまでの吟醸造りに対する情熱はどこから生まれるのだろうか。全ての酒を吟醸にすべく,今,今井専務は,ただ一人で酒を醸している。
しかし,驚異的な環境とは逆に醸される酒は,つややかに,やさしく飲み手をほっとさせる口当たりなのだ。まさに「くどき上手」。和服の似合う(決してボディコンではダメ)しなやかな女性にお酌をされている様だ。
僕は一杯の「くどき上手」に,まったく,くどかれてしまった。
僕の吟醸酒,吟醸純米「くどき上手」!
このところ,夏を思わせる日もあって,そろそろ洋服も半袖を少し出さないと困ってしまう。
そんな天気の良い日は,ちょっぴり日に焼けてしまうけれど,自転車で多摩川のサイクリングコースを走る。まだ風は爽やかで気持ちがよい。
対岸の東京川の土手には早くも海水パンツで日焼けにガンバッテいる人もいるし,等々力公園近くの河原には,ひなげしの花が只今,満開!ボーッとしていると「ぎょぎょし」と鳴く鳥の声。オオヨシキリ(ウグイス科,背面は淡褐色,全長20センチ,ヨシの原に住んでい雄は「ぎょぎょし」と鳴く)である。今の時期は,すごく良く鳴くので誰でも発見できます。途中で買ったパンとジュースも外で食べると何倍もおいしく感じるし,まったく健康的気分にひたってしまう。
これから,いやな梅雨もやって来ますが,晴れた休日をねらって行ってみてはいかがでしょうか!
「ワインの様な日本酒」と言う言葉をよく耳にするが,この言い回しはいかにも日本酒がワインより格がしたであると認めた感じがする。ワインに対しても日本酒に対しても失礼ないいまわしではないだろうか?
まして業界の人間がこの様な言葉を使っている様では,新しい世界(次世代)を開拓するどころか,未来はないのでは?ヌーヴォが流行れば日本酒ヌーヴォ,ビールのドライが流行れば日本酒もドライ。まったくポリシーがなさすぎるメーカーが多すぎる気がする。
自分達の業界内で生み出していく事を忘れてしまったのだろうか。自分の蔵は「この酒」と言うポリシーを持ったメーカーが無いとは言わないが,もっとあってもいいのではないだろうか。この様なメーカーが増えてくれば自分に合った酒を探す楽しみが出てくるし,その酒に対する話題も広がっていくのではないだろうか。ワインはワインの世界の中で比較されるべきであり,日本酒もそうである。そのためにも日本酒の世界がもっともっと個性的に成れば楽しいのに・・・by
恵
※なかなか辛口の批評だと思います。のんべい酒屋としては,個性あるお酒が大好きです。人,それぞれの個性がある様に日本酒も個性があって当たりまえですね。我々,飲み手はカタログではない旨い酒をいろいろ浮気して飲み,愛していきましょうね
FOO