天気に恵まれなかったけどアルバムを見てね!!

鏡平からの穂高連峰

念願であった北アルプス,  2002,8,2〜5

昨年は表銀座から槍や穂高を眺めるコースをとったので今年こそは実際にこの足で踏みしめるぞという意気込みで行って来ました。
コースは新穂高温泉〜鏡平〜双六岳〜西鎌尾根〜槍ヶ岳〜槍沢〜上高地という3泊4日の行程です。      

8,2 曇り・・・1日目

前夜新宿を発ったバスが未明新穂高温泉に着くと、そこには全国各地からこの地を目指してきた登山者がそれぞれの思いを秘めて薄曇りの空を見上げていました。

 身支度を済ませると早速小池新道にとりつきます。今日は今回の裏銀座ルート選択の決め手になった”鏡平からの槍・穂高のシルエットを見てみたい”というその鏡平小屋を目指して行きます。

 残念ながら秩父沢を過ぎたあたりから小雨となり、鏡平小屋につく頃にはすっかり本降りとなってしまいました。しかしこの小屋のオジさんはすごく陽気で疲れていた身体も何か力がわき上がってくるようでした。

 しかもこの天候パターンは昨年の合戦尾根と同じで、今年も昨年同様明朝からの晴天を期待して小屋で休憩です。

8,3 快晴・・・2日目 

 明け方までの雨が湿り気を感じさせる中、朝日が昇る前にはごらんのように、鏡平の池に穂高連峰のシルエットが映し出され幻想的な雰囲気を感じさせてくれました。

 出発後まもなく天気もすっかり回復し、弓折岳からは笠ヶ岳が優美な姿を見せてくれました。その後双六岳へ向けて汗だくになりながら上がって行きました。

 しかし、双六小屋が見えてくると周囲には夏の高山植物が多くなり、登山道の脇では小さな雛鳥が騒ぎ立てる声も聞こえてすっかりさわやかな北アルプスの稜線歩きを満喫させてくれました。

 双六小屋につくとまだ早いですが、ビールとラーメンで一息入れ、ザックをデポし、双六岳山頂から三俣蓮華岳までピストンです。といってもこれが結構長く往復約4時間のコースです。しかし天気も良く、あまりに快適でしたので途中の雪渓脇で小一時間山の風を楽しんできました。

 ちなみに、鏡平小屋も双六小屋も布団1枚/2人といった混み具合です。

 今年の夏は東京でも異常に暑い夏でしたが、この日までは北アルプスでもちょっと暑いぞという感じで、それを和らげるのはやはり冷えたビールしかないでしょう。双六小屋から鷲羽岳を見ながらゆっくりとした時間を過ごしました。

笠ヶ岳
双六小屋が見えてきた
ガスの中の西鎌尾根
ガスの中から大槍・小槍

8,4 曇り・・・肌寒い 3日目

 今日はいよいよ槍ヶ岳ピークハントです。しかし昨日とはうって変わって冷たい西風の吹く曇り空です。

 西鎌尾根からは残念ながらなにも見えないといってもいい状態でしたが千丈沢乗越が近づくにつれ雲が薄れてきました。

 しばらくして数少ないこのコースをたどる登山者があげる歓声で顔をあげてみると、吹き渡る風と雲の中からごらんのように槍ヶ岳が姿を見せてくれました。何か胸の中に熱いものがこみ上げてくるのを感じて人知れず自分でも歓声を上げています。

 しかしこの西鎌尾根は結構厳しい登りで風の中を何度も足を止めて休憩しなくてはなりませんでした。やっとの思いで槍ヶ岳山荘にたどり着いてみても槍ヶ岳は時折しかその姿を見せてくれません。体を温め、空腹をいやすために小屋で食事をしてピークハントのチャンスを待ちます。

 そのうちやっと雲も薄れはじめ、空気にも暖かさを感じられるようになってきたので重い腰を上げます。すると槍は私たちを歓迎してくれるかのように青空をバックにその勇姿をかいま見せてくれました。

 しかし、やっぱりこの山はあこがれていただけあってすごいほんとに苦労して登って来て良かった。

 本来この日は槍ヶ岳山荘泊まりを予定していたのですが、ここまでの足の状態から、翌日予定される8時間あまりの下りを何とか短縮しようと、急遽槍沢ロッジまで下山することにしました。これにより最終日の行程が大幅に楽になるはずです。
 従って、ピークハントを済ませると名残惜しいですが、槍沢の下りに出発です。

 いつどこの山でも下りは長く感じるものですね。槍沢渓流沿いの下りではありますが、結構つらいものでした。結局この日はなんと11時間歩き続けることになってしまいました。しかも槍沢ロッジ手前で大粒の雨がポツポツと落ち始め、先を急ごうと気持ちははやるのですが、もう足が言うことをきかないのです。イヤー大変・・・

 そうした中この夜の槍沢ロッジでお目にかかった皆様と酌み交わした酒は最高でした。この日は布団1枚/1人ということもあってぐっすり、ドロのように眠るというのはこのことなのかな?!という感じでした。

槍ヶ岳山荘前から大槍を見上げる
朝の木漏れ日の槍沢
横尾から前穂高岳を望む

8,5 快晴・・・4日目(最終日)

この日はあと槍沢沿いの遊歩道のような道を下山するだけということもあって、なんと気分が良いのでしょう。木漏れ日の美しい槍沢渓谷をゆっくりたどります。
 横尾や徳沢から見上げる前穂高岳や明神岳の美しさも、そうした山々を際だたせる青空も、すべてが無事の下山を祝福してくれているようでした。

 ところが上高地に近づくにつれ、レジャー客の姿が増え4日も風呂に入っていない僕らがとっても薄汚く感じられると同時に槍ヶ岳を極めてきたんだぞという達成感で凱旋する兵士のようでした。

 しかし夏休みの最中でもイモの子を洗うような上高地にはビックリ!!考えてみれば、生まれて初めての上高地でしたが河童橋を楽しむどころではありません。ちょっと穂高連峰を振り返っては早速風呂に直行です。

 風呂は上高地温泉ホテル、夏休み期間中は12:00から入浴OK。しかもここの女性は美人ばかり、山から帰ってきたらとたんに俗世間の仲間入りしている自分にビックリです。

 本当に北アルプスは病みつきになってしまいそう。

新穂高温泉から小池新道方向を見る
槍ヶ岳