2004年のゴールデンウィークは残雪に輝く剱岳を見に行こう。そう思いたったら心がはやってたまらなくなりました。2004,05,02〜03

 昨年夏に登り、剱沢小屋のテラスからいつまでも見上げていた剱岳。美しさと気高さに涙が溢れたものです。あの感動の余韻と共に残雪の剱を見てみたいと思ったのです。

 冬山の経験はないけれど、剱御前までなら行かれるかも知れない。できたら別山尾根に登り剱岳を正面から見たい。天気に恵まれれば立山連峰も縦走しようと言う大それた計画です。

  事前の好天という予報にもかかわらず、この朝扇沢の空は曇天。しかし立山黒部アルペンルート:黒部平の展望台に着く頃にはご覧のような真っ青な空に立山連峰がすっくとその姿を見せてくれました。

 室堂は標高約2,500m。高度順応を兼ねて”雪の大谷”見物です。TVでしか見たことのない光景でしたがその大きさにビックリ!これでも例年より雪が少ないそうです。

 ターミナル前の“玉殿の湧水”は雪の下で給水は不可。室堂までの観光客とはここで別れ、アイゼンとスパッツを着けてまずは雷鳥平へ向かいます。

 晴れれば夏山、降れば冬山と言われるこの時期の3,000m級の山。でも今日は晴れ!なんと素晴らしい天気なのでしょう。周囲すべてが光り輝いています。気温も高く半袖で充分。

 5/2付朝日新聞にも紹介されていましたが、室堂周辺は沢山のスキーヤーやボーダーが板やボードを担ぎ上げていました。でも滑っている人は少なく見えます。みんなどこで滑っているのだろう?

 雷鳥平から見上げる雷鳥沢には延々と登山者の姿が連なり、まるでありん子の行列です。シールをつけたスキーで登る人。12本アイゼンにピッケル姿の人。見上げるようなザックの人・・・。

 最後の急斜面を登り切り別山乗越の尾根道まで来ると、身を切るような冷たい風が吹き渡っています。小屋に着く頃にはすっかり冷え切ってしまいました。

 剱御前小屋前に着くと期待通りの剱岳の姿に大感激!!この堂々たる山の姿に、集まった登山者達も釘付けです。やっぱりここまで来て良かったという気持ちがわいてきます。

 雪の上で昼食を調え、剱岳を見ながらお茶とともに味わいます。ずっと眺めていたいけれど、だんだんおしりが冷たくなってきました。

次第に集まってきた登山客で小屋の休憩室はいっぱいの状況。皆それぞれに剣岳周辺の話題で持ちきりです。

 日没には奥大日岳の肩に沈んで行くオレンジ色の太陽にうっとり。泊まり客はカメラを持って一斉に外に飛び出します。でもすぐに震えながら戻ってきます。

剱御前小屋の食事は美味しい。布団も一人一枚で快適に寝られました。明日を楽しみに早めに寝ます。

 翌朝、別山から立山連峰をたどる予定でしたが、昨夜からの激しい風がおさまっていません。その上雨も予想されます。

周囲はガスで視界は50m程度でしょうか。昨日はあんなにきれいに見えた剱岳も今朝は全く見えません。

しかたなく立山縦走は次回に持ち越しです。今回は登ってきた雷鳥沢を下ることにして、ゆっくりと身支度を整えます。

下山途中のガスの中で、未だ冬毛を残した雷鳥に何度も出会うことが出来ました。さすが雷鳥沢!真っ赤な肉冠がくっきりとしてとても可愛い。

雷鳥の鳴き声はなんともユーモラス、「ウィー・・ウェ・・」どこかの酔っぱらいのようです。ハイマツの陰から飛び立つ姿も見られました。飛ぶと言うより50mくらいの滑空です。

剣御前小屋から別山へのルートに出発した人達もいました。でも家に無事に帰るまでが遠足です。無理をせずにまた剱岳に会える日を楽しみに帰ります。

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1,今回の装備・・・軽アイゼン・トレッキングポール。それでも多くの登山者が12本爪のアイゼンにピッケルでした。

2,帰りのアルペンルートの混雑はすさまじいもので待ち時間に座っていることも出来ませんでした。山より疲れた。

3,後日談ですが写真のような好天のためひどい日焼けに悩まされました。1週間で首から上が一皮むけてしまい何も知らない周囲の人からは胡散臭い顔で見られてしまいました。皆さんも充分に注意してください。

黒部平から立山を望む
雪の大谷
雷鳥沢
奥大日岳
雷鳥