郷土歌舞伎で有名な檜枝岐村はルピナスの花に彩られ、梅雨時には多くの登山者が押し寄せる尾瀬入り口に位置していながらひっそりとしていました。深田久也によれば麓のどこからもその姿を見ることのできない山が会津駒ヶ岳です。2004/06/19〜20
会津駒ヶ岳の登山道は”ベンチ”と呼ばれる水場までの登りがもっともきつく、前夜ほとんど眠れなかったせいか登り初めてからしばらくするとすっかり眠くなってしまい高速の居眠り運転のような状態。おかげでガイドブック3時間のはずが5時間もかかってしまいました。
山頂が近づいて山小屋が見え始めると登山道の向かいには目指す会津駒ヶ岳が残雪を身にまとってゆったりとした姿を見せてくれます。ちょうど良いあたりに休憩用のベンチがあったのでここでちょっと昼寝です。
天気もいいし〜 zzzzz・・・・
周りを何人もの登山者が行き交っている気配に目を覚ましあわてて駒の小屋に向かいます。昼前にやっと到着、ランチを済ませてのんびりしているうち、それまでの好天がウソのようにガスが目の前の山頂を隠してしまいました。
小屋の前には十数人の登山者達が思い思いの献立でランチタイムです。しかし小屋の管理人は「大野岐方面に出ています。」と張り紙をして出かけていったまま姿が見えません。
この小屋は素泊まりのみの小屋なので夕方までの時間をつぶすためにも疲れた身体を奮い起こして会津駒ヶ岳とその向こうの中門岳往復に出発です。
山頂まではガスが出る前に目測していましたので何とか行き着けそうですが、山頂から見た中門岳方向はあきらめて引き返そうかなと思うほど濃いガスに覆われています。
それでも周囲に目を配り、足下のトレースを追ってなんとか行き着くことができました。点在するはずの池塘も遠くのものはろくに見えません。
小屋に戻り仮眠をとった後、自炊にて夕食です。同宿のパーティーは生鮮野菜などを使った豪華な献立ですがこちらはケトルで炊いたご飯にレトルトハヤシで質素なものです。それでもビールと日本酒で精一杯の晩餐です。
翌朝、曇り空ながら昨日のガスは消え高曇りの状態。周りの山々が姿を現しています。その姿を見にもう一度会津駒ヶ岳の山頂を往復します。燧ヶ岳・至仏山・平ヶ岳・日光白根山・男体山・・・そして那須連山まるで墨絵のようだ。
そして、この山はご覧のように今年初めての花の山となりました。イワカガミ・シラネアオイ・モチツヅジ・ハクサンシャクナゲなど曇天なのに鮮やかな色彩を身にまとった小さな花々に心浮き立つようです。帰りはこうした花達に話しかけながらゆっくりと降りてきました。