異常な暑さの中、夏特有の迷走台風が日本の南海上でほぼ停滞していました。出かける前日にはほぼ断念かなとあきらめかけていたのですが、いつものようにとりあえずは登山口まで行くことにしました。 2004,07,31〜08,01
今年のゴールデンウィークに室堂から雷鳥沢を辿り剣御前小屋へ出かけたことは”雷鳥沢”で報告させていただきましたが、その際室堂の北西にまるで寝そべっているような山容の奥大日岳を初めて意識するようになりました。また、剱御前小屋の前から奥大日岳に沈む夕日を見た時にはこの山に是非出かけてみようと心に決めていました。
剱岳周辺の山の中でもちょっと脇役といった雰囲気を漂わせている大日三山は室堂からの入山も比較的容易で下山後にはあの称名滝が待ちかまえているという立地にあります。
この日、心配していた天気も室堂まで上がってみるとご覧の通り青空で満たされています。ところで今年の猛暑はこの立山連峰にまで影響しています。昨年登った雪渓の雷鳥沢にもほとんど雪が残っていません。みくりが池から見上げる山々は緑と岩肌だらけで残雪が少なく何かいつもの室堂ではないようです。
今回は当初泊まりを予定した”大日小屋”から50名の団体予約があるから宿泊は無理と断られてしまったので”大日平小屋”での宿泊を計画しました。その為初日の行程は7時間と長めになってしまいましたので早速出発です。
まず、雷鳥平に向け地獄谷を降りて行きます。特に今回は地獄谷の”鍛冶屋地獄”越しに別山乗越と剱岳がその姿をくっきりと見せてくれています。
雷鳥平からゆっくりと新室堂乗越へと上がって行く伸びやかな稜線には夏の高山植物があちらこちらに色鮮やかに咲き誇っています。新室堂乗越を越えると右手に剱岳がくっきりとその姿を見せてくれます。
奥大日岳からはそれまで辿ってきた道を振り返り、そのたおやかな軌跡に思いをはせます。その後中大日岳へ着く頃、あたりには徐々にガスがわいてきて視界を遮ってしまいました。夜行で眠れなかったせいか結構疲れが来てしまい今日の宿を一度は断られた”大日小屋”に無理矢理お願いし、いつものようにゆっくりと酒を楽しみます。
小屋前からガスのかかった周囲を眺めていると所々のガスがとれて、まるでジグソーパズルをやっているようで、それまで姿を隠していた正面の山がどこの山だか判りません。「待てよ!剱じゃないか!!」と気づくまでしばらく時間がかかってしまいました。
夕食を済ませ外へ出てみるとさっきまでのガスが薄くなっています。しかも日没までの薄闇の中に剱岳の姿が冴え渡ってきます。まだ酔いの残る身体で片道15分の大日岳山頂を30分かけてピストンします。やっぱり剱はすごい。また山頂の左に長々と連なる早月尾根もスゴイ!これを登る人はどんな人なんだ。でもいつかは登ってやろうとちょっぴり思ったりして・・・
翌日朝食後、泊まっている多くの人が小屋前でご来光を拝もうと待ちかまえているので、そんな雑踏を避け大日岳山頂から見ようと出かけて行きました。午前5時過ぎ前剱のあたりからあがってきた朝日は剱岳でなく後立山連峰も黒々としたシルエットに染め、ほんとに神々しいばかりです。こんな瞬間やっぱり山に登ってきて良かったと感動しきりです。
その後日本海を正面に大日平から称名滝への下山です。遠くに見える大日平小屋がなかなか大きくならない長い道のりですが、あたりはゆったりとした雰囲気の下山道で、特に大日平は木道歩きを中心とした草原の中の散策です。
最後に落差日本一といわれる称名滝を見物して富山空港から東京へ一足飛びです。
今回は結構綺麗に撮れました。