ミヤマキンポウゲ
ニッコウキスゲ
ハクサンコザクラ

雪国の人には怒られそうだが一度はやってみたいのが白馬大雪渓だろう。今年はR158がトラブルしていることもあり良いチャンスと気持ちを切り替えて白馬岳に挑戦!2005,07,16〜18

 3連休前夜新宿駅はいつも通りザックを背にした山フリーク達でにぎわっている。ムーンライト信州にも久しぶりに一人で乗り込み、ぐっすり眠れると良いなと願いながら発車の時間を待ちます。
 
 松本・穂高・信濃大町、続々と登山者が目的の山に向かって下車して行く。梅雨空が続く天候ですが、白馬駅でも八方・栂池そして猿倉へとバスが出発して行く、どんどん心が浮き立つのが判る。
 
 朝一番の猿倉行きは全部で4台、意外と少ない。これなら快適な雪渓登りが出来そうだと考えていた。でもちょっと甘かったマイカーや団体バスからも続々と登山者が吐き出されて猿倉荘前は大賑わい。思い思いに朝食やストレッチそしてトイレと準備に忙しそうだ。

 こんな時一人は楽々あっと言う間に準備を整え、ゆったりとした砂利道を白馬尻に向けて登りはじめる。この時天候曇天。

 白馬尻からいよいよ”大雪渓”、心持ち涼しい風が気持ちを引き締める。ほとんどの人が軽アイゼンをつけるが私は踏み跡のある雪渓なら大丈夫とそのままスタート。このころから雨がぱらつき始める。その上風も強くなってきた。それでも問題無しと特に対策もなく登り続ける。

 30分ほどは我慢をしてきましたが、雨粒が大きく激しくなってきたと思ったら、思いがけない強風に足を踏ん張るとツルッと滑る。怖い!!やっぱり強がるのはやめよう。ちょっとコースを避けて雨傘&軽アイゼン。

 やっとの事で雪渓を抜け出しても、標高が上がったせいか風雨はひどくなるばかり。次第に傘では役に立たなくなりポンチョの出番。それにしても寒い。東京ではみんな暑さで苦労しているんだろうなと思い浮かべながら歯を食いしばる。

 このコースは天気に恵まれなくてもお花畑には大満足。しかし登山者の列が続き、強風にも悩まされゆっくり鑑賞することもできない。カメラを構えても風に吹かれた花々達にピントを合わせることは不可能。記憶の中だけに刻み込んでおこう。

 それでも12時過ぎには村営頂上宿舎到着。まず身体を暖める天候の回復を待って山頂をと考えていたがこの日は断念。早々に布団に横になり夜行列車の疲れを癒す。

大雪渓では皆風に耐えてひたすら頑張る
白馬岳山頂にて
白馬の尾根をバックにクルマユリが咲き誇る
つかの間杓子岳が見える

 今回の宿は白馬村営頂上宿舎。山の大先輩ご推薦の小屋だ。特に食事がバイキング形式でGOOD。取りすぎないように気を付けてビールのおつまみ+食事程度にする。
 
 夕食時、前に座ったご夫婦は今朝白馬山荘をたって白馬鑓温泉に行く予定だったが荒天のため杓子岳から戻ってこの小屋に逃げ込んできたと話してくれた。濃いガスで視界5m、強風にも煽られ苦労と危険を感じたそうだ。明日はそんなことが無いと良いなと願わざるを得ない。

 翌朝4時に起きて白馬岳山頂をピストンする。視界は多少回復したがそれでも20mくらいか。風も厳しく栂池方面に辿る先行者の背中を目標に薄闇の中をヘッドライトを頼りに登って行く。

 山頂についても右の写真のように青く濁ったガスの中で、もちろん周囲は何も見えない。約20分頑張ってみたが回復の兆しが無いのであきらめて小屋に引き返す。途中の白馬山荘もひっそりとしている。

 朝食後、今度は杓子岳・白馬鑓ヶ岳を辿る稜線に出てみる。各山頂をつなぐ鞍部は時折耐風姿勢をとらなければならないほどきつい風に煽られる。盛りのウルップソウも吹き飛ばされそうだ。それでも時折ガスが吹き飛ばされ行く手の山頂が姿を現し、視線を移すと昨日登った大雪渓を登ってくる人々の列が小さく見えている。

 杓子岳はガレ場の稜線を左に登ったところにあるが、足下を注意しているだけが精一杯の状態。しかしこの日は連休中と言うこともあり多くの登山者が同じルートを辿っているので道に迷う心配はない。

 白馬鑓から分岐を白馬鑓温泉に向かい稜線を離れるととたんに風が弱くなり、時折太陽も暖かい日差しをそそいでくれるようになる。途中雪渓から流れ出す多くの沢を踏み越えながら進む。オレンジ色のニッコウキスゲを見つけるようになると今夜の小屋も近い。

 大きな雪渓の向こうに白馬鑓温泉の屋根が見えてくるとホッとした気持ちで急に汗をかいている自分に気がつく。ちょっと無理をすればこのまま下山できそうだが連休最後の一日をゆったり雲上の温泉で過ごすことにする。

猿倉荘前は人だかり
白馬鑓温泉とご来光
 午前4時、温泉からのご来光を拝むにはちょっと早すぎる時間だが、外に出て様子を見てみる。風もおさまり、オレンジ色に色づき始めた東の空と戸隠方向の山並みがシルエットになって美しい。

 女性には気の毒ですがこの風呂からの眺めはフルチンの男の世界。早くから陣取っている2人に遅れては行けないと私も裸になって朝の冷気と温泉を楽しむことにしよう。日の出の時刻にはなんと風呂の中に15名の男達。

 朝食が済むと出発だが今日は昨日までの荒天とうってかわって青空の山行だ。この調子だと下界では梅雨明け宣言しているかも・・・?急ぐわけではないけれど行程4時間弱の下りに出発する。ことさらゆっくりと晴天の下の花を楽しみながら歩く。ニッコウキスゲ・シナノキンバイ・ハクサンイチゲ・コバイケイソウと飽きることなく時間が過ぎて行く。

 途中トラバースする雪渓にはこんな大きな岩がとビックリするような落石の跡。自分にだけは落ちてこないでと不謹慎なおねだりをする。

 その後名古屋からの3人組や可愛いお嬢さん2人と後先になりながら猿倉を目指す。

 また来るときには天気に恵まれたいものだ「晴れたらいいね!」
 

<< 情報 >>

1,この日大雪渓を登ったのは約800人。途中多くのガイドらしき人たちがカウンターを持って数えている。従って小屋もそんなに窮屈ではありません。 

2.白馬村営頂上宿舎は通常料金+750円(?)でなんと夕食が特別メニューのビーフステーキになる。食べてないので、美味しいかどうかはわかりません。

3,白馬鑓温泉の風呂は見ようによっては丸見え。みんなで入れば恥ずかしくないと言う感じ。

4,下山途中、ブヨに5カ所刺されてしまい、翌日も腫れが引かずつらい思いをしました。

5, 帰途途中の立ち寄り湯”小日向の湯”は風呂と自販機以外に何もありません。バスの時刻表にも注意が必要。私は待つのが嫌でタクシーで白馬駅まで出ましたが確か1960円でした。


白馬岳

天気に恵まれなかったけれど花はとても綺麗