雲取山のさらに奥、その山深さになかなか訪れることの出来ない山、それが飛龍山です。幾度となく訪れた奥多摩の山々でも飛龍山だけはずっと指をくわえて眺めていました。 2006,4,7〜9
東京での花見はピークを過ぎ、やってきた本番の春、何年も前から行ってみたいと思いを募らせてきた飛龍山を目指してみました。
今年はゴールデンウィークに屋久島:宮之浦岳行きを計画してしまったため長い行程を重いテント装備で歩くトレーニングとしてもこれまで何度も辿ってきた三峰〜雲取山ばかりでなく、それに続く飛龍山〜丹波へという1泊2日の計画を作ってみました。
ウィークデイのこの日三峰口から大輪に向かうバスに登山者は誰もいない。柔らかな日差しの中、ロープウェー山頂駅では春休みの小学生がお父さんを手伝ってトイレ掃除をしていました。
雲取山までのコースはすっかり頭の中にイメージされている。特に白岩小屋までの登りが一番厳しい。まして今回はテント山行を予定してザックがずっしりと重い。
なにがしかの残雪は覚悟してきたが前白岩の肩あたりからはちらほら小雪が舞い始めた。寒くもなく足場もそんなに悪くはないのだがほんのわずかな距離に避けることの出来ない凍結箇所がある。たまにアイゼンを付け何とか登って行く。雲取山荘のテン場に着く頃にはやっぱり小屋のマメタンコタツが恋しくなって素泊まりに変更。なんとこの日小屋に泊まったのは計3名いつもの賑やかさはどこにもない。
この後玄関前の自炊室でご飯を炊き、岳食”カレー”を試すがこれはハズレ、石井スポーツには申し訳ないが今回限りとする。
翌日、晴れ上がった空にビックリ、今日は雨のはずだったのに・・・。まあ、良い方にハズれるには何にも問題はない。雲取山山頂からは遙か彼方にこれから目指す飛龍山が見える、「遠いぞ頑張らねば!!」
三条ダルミ・北天のタルまでは距離はあるものの昨日同様のスローペースで何とかこなしてきた。しかし北天のタルを過ぎたあたりから雪が膝下くらいの深さとなりガクッとペースが落ちる。途中何回か滑って転び身体のあちこちを痛める。しかも目指す飛龍山の山頂になかなか辿り着くことが出来ない。やっと山頂を極めたのは午後2時過ぎ雲取からなんと7時間以上かかってしまった。これも途中の雪や氷の為なのか?頭の中で計算を始めるが「これは今日中の下山は難しいぞ!どこかでビバークか?」という不安が拭いきれない。前飛龍の頂にテント一張り分のスペースを見つけたときには、もうここに泊まるしかないと動く気も失せてしまった。
しかし、残されたコースを考えたら結果としてこれが最善の選択でした。テントにもぐり込んだ後も気温は着実に下がってきます。シュラフの中の足先が冷たくなって行く、そこで貴重な水ではあるが沸かしてプラティパスに入れ、即席の湯たんぽを作る。これが最高、しっかりと眠ることが出来た。
翌朝、東の空から差し込む朝日にテントの中にも神々しい光があふれ、南側丹沢山系の向こうには富士山が真っ白な姿を突き上げている。それでもテントの中では所々に水の凍った白い結晶が散らばっている。インスタントラーメンで暖まったらさっさと丹波目指して出発しよう。3日間通してテント装備を含めた大きな荷物を担ぐこともできたし、初めてのビバークを体験することもできたのであっちこっち痛む所はあるけれど大変さ=楽しさの山行きでした。