森が緑の風を沸き立たせ、燦と輝いた。万物が凝縮し、圧倒的な生命感を発散させて島は訪れる山人を迎えてくれる。風が、鳥の声が、沢の水音が、岩の苔さえもが本土の山では感じることのできない近さで迫ってくる。 2006,5,3〜6
<< 第2日 >>
この日が一番のメインイベント。花之江河から黒味岳・宮之浦岳をぬけて高塚小屋までの縦走路だ。深い樹林帯を登り小花之江河や花之江河に辿り着く頃には雨が多いはずの屋久島もこれ以上はないと思われるほどの快晴。好展望の所では多くの登山者が感嘆の声を上げながら立ち止まっている。
高盤岳や黒味岳の山頂を仰ぎ見ることの出来る湿原・花之江河では明るい陽射しの中、多くの登山者がにわかカメラマンに変身だ。青空が眩しい。
その後、本来の登山道をしばし離れて黒味岳を往復する。この山頂も思わず大きな声を上げてしまうほどの感動的な展望。吹き抜ける風も暖かくぐるり取り囲んでいる山頂達を雲の中に隠したり、そっと見せてくれたり飽きることがない。
分岐に戻って改めて宮之浦岳を目指すと背の低い木々と岩達が、これが自然に形作られたものとは思えないほどユーモラスな形態を見せてくれる。しかし岩の大きさがスゴイ!岩屋の下でビバークも出来ますと紹介されるだけのことはあるなと感心しきり。
この山での一番のヒットは昨日作った弁当だ。少し早いが投石平で昼食にする。東京からのアプローチは大変だが、登ることに技術のいる山ではない。ひたすら足を前に出す事に集中する。
栗生岳を登り切れば宮之浦岳は目前だ。晴れ渡った宮之浦岳頂上。九州以南にここ以上の高みはない。この山に登りこの景色を見る。今憧れの頂きに立つ。
メインの縦走ルートとはいえこの日の新高塚小屋は小屋ばかりではなく周りのテントも含めて多くの登山者であふれかえっている。少し到着が遅れてしまった為幕営場所を見つけるのさえ苦労する。林の中のちょっとしたスペースを確保する。??なんか少し傾いているぞ・・・!!
<< 第3日 >>
今日は屋久島を訪れる観光客が必ず訪れる**杉の連続だ。縄文・大王・夫婦・そして翁、どれをとってもいくつもの生命体のパラサイトだ。特に江戸時代に伐採されてしまったとはいえウィルソン株の異様さには圧倒される。
そして、登山口から往復約9時間と長丁場にも関わらず黙々とガイドの後をついてくる大勢の観光客にも頭が下がる。それでもちょっとすれちがいが・・・イライラ。コースタイムのことは忘れよう。GWの屋久島なのだから。
やっと軌道敷にまで出てくるとそこからは遅れを取り戻す快調な道が続く、小杉谷から辻峠をめざし“もののけの森”と名付けられた深い緑を楽しみながら辿るコースだ。でも本当は“シシ神の森”と呼んでもらいたいものだ。そして最後に白谷雲水峡に辿り着く。ここは木々と苔蒸した岩と滝の織りなす癒しの森だ。デイタラボッチが出てきて疲れを癒してくれないだろうか。
それにしても2泊3日のテント山行はさすがに身体に堪えてしまった。肩が痛いそれでもまた来よう。
さて、蛇足だと思っていた最後の4日目は午前中だけレンタカーを借りて海岸線沿いの滝巡りだ。これが決して馬鹿に出来ない。特に”大川の滝”はさすが百名瀑に指定されるだけあって、そのスケールと岩肌を彩る水しぶきの白が単なる落差以上のものを感じさせてくれる。
<< ちょっとした情報:屋久島編 >>
1,今回東京から鹿児島に飛行機で飛んできましたが、鹿児島空港から市内あるいはフェリー乗り場までは遠い!!成田〜都心と言った感じ。間違えてもタクシーに飛び乗らないように。
2,島内のバスやトッピーの運行時刻は直前に充分調べないと変更がある。
3,淀川小屋も新高塚小屋も朝のピーク時間帯はトイレの待ち時間がおよそ40分、テントの撤収など先起こされたと思っていてもこの行列に並んでいる内に同じになっちゃった。
4,島内はおおらかなのかレンタカーの返却は乗り捨てOK。「キーは灰皿の中に入れて、ドアはロックしないで」だって。
5,おみやげを買うなら宮之浦観光センター近くの武田産業がお勧め。港の観光案内所で5%割引券を配っているし、お母さんがおもしろい。おだてるとおまけが付いてくる。
6,ザックは宅急便で民宿あてに送っておいた。初日に受け取り着替えその他は置かせてもらった。飛行機ではNGのガスカートリッジも宅急便ならOK。