南八ヶ岳縦走

前夜、スタートした僕たちの車は小淵沢インターを降りると間もなく雨とも濃い霧ともつかぬ大気の中に突入、前に同じ観音平に向かうと思われるタクシーのテールランプがとてもありがたい。

　しかし、気温は思ったほど下がってきてはいないようだ。辺りは当然真っ暗で駐車場の片隅にあるトイレには全員で仲良く行くことにする。その後明朝の早立ちに備えて男性はテント、女性は車と別れて仮眠することに。

　翌朝になっても昨夜のはっきりしない天気に変わりはない。今年になって好天の打率が高い私はメンバーに宣言「私がいるから今日の天気は回復する！！」

　しかし、周りの登山者達は雨具姿でスタート。それでも約３０分で暑くなり薄手のウェアーにしてしまう。

　ご存じの通り、網笠山への登山道は大きな岩が不規則に積み重ねられた道で歩幅が都度違い、足への負担が大きい。それでもコースタイムより少し早く山頂に到着。何組かの登山者達と見えそうで見えない展望を探る。結果として網笠山山頂からの景色は隣の大きなピーク”権現岳”を除くと今ひとつ。

　岩ゴロの青年小屋への下りから見上げるとギボシ・権現小屋・権現岳山頂としっかり視界の中にある。
　青年小屋では大休止。かき氷をいただき、”乙女の水”で水筒を満タンにして権現岳へとむかう。

　権現岳は網笠山と違い石が小さく歩調が取りやすくありがたい、それでも山頂が近づくにつれて石が大きくなり岩になる。このころ辺りは薄いガスの中、ギボシをいつの間にか越えて目の前に権現小屋が飛び出してくる。

　小屋から山頂はすぐだ。こちらの山頂は鋭い岩峰で先行者の記念撮影をせき立てるように鉾の脇でポーズ。「おなか減ったよ！」皆さんお待ちかねのランチタイム。天気も良くなって薄く青空も見えるぞ。
　
　さて、ここでメンバーとお別れ、２人は観音平へ下山して行く。私はどうしよう小屋で泊まるか？このまま赤岳に向かうか？疲れた足と相談だ。「よーし、がんばろう。今夜は赤岳頂上山荘だ。」

　それでもここから先のルートに人影が全くない。結局赤岳山頂まですれ違ったのは、若者が１人だけでした。権現岳をスタートするとすぐに右のような長ーいハシゴ、その後もキレット小屋までは急激に高度を下げて行く。

　途中、見上げると赤岳山頂がガスの中に見え隠れしている状態。途中心細くなった水を補給のためキレット小屋下の水場を往復、これが結構時間がかかる。

　キレット小屋を過ぎると赤岳山頂に向けて険しい岩を捩るといった感じ、結局この日頂上山荘到着午後４時過ぎ、まあまあかな。
　

　翌朝、赤岳山頂は前回同様すばらしいご来光を見せてくれました。多くの登山者が寒そうに太陽が昇るのを待っています。秩父連峰が連なる東の空は雲海が広がりオレンジ色がいっそう際だちます。金峰山や甲武信岳のシルエットがとても綺麗です。

　快晴の朝、赤岳山頂から見ると昨日辿ってきた権現岳・網笠山が一段低く見えます。さらにその向こうには南アルプスの山々がくっきりとした稜線を表しています。

　めざす阿弥陀岳を見るとその山腹に赤岳が黒々と影を落とし、途中にあるはずの中岳の姿が全く見えません。
　この風景を詠った歌が小屋に紹介されていたっけと思い出しましたがその中身までは思い出せません。

　赤岳・中岳・阿弥陀岳のルートは岩稜ですがすばらしい天気の中、ルンルン気分で歩いて行きます。２人も来れば良かったのに・・・

　文三郎尾根・行者小屋・美濃戸口と最後のルートを楽しみながら今回の山行も大満足！うれしい。