2008年の北アルプス縦走も後半です。前回雨にたたられた黒部五郎から双六を経て、今回が初めての笠ヶ岳へと向かいます。
<< 第4日 >> 快晴 後 曇り
黒部五郎岳、すごく響きの良い名前ですよね。前回は雲ノ平をあきらめてのエスケープルートとして辿った所です。
太郎平小屋のすぐ裏手はご存じ太郎山、ここでは2年前も雷鳥に会うことができましたが今回も歩き出してすぐ姿を見せてくれました。前回と同じ個体なのでしょうか?
この日の歩きは今回の縦走を通じて最も清々しい気持ちになれました。何故かなと考えていると日本海から吹き寄せる風が何とも気分を良くしてくれているのに気がつきました。本当にさわやかです。
しかし、同じ山を登っても天気によってこんなにも印象が違うのですね?!たたきつける風雨の中でいつ通り過ぎたのか全く判らなかった北ノ俣岳がしっかりしたピークとなって行く手に待ち受けています。
やっぱり目標とするピークがはっきり見えて次々と登って行けるのはどんなに厳しくともやりがいのあるものです。
足下の花々も明るい陽光の中で、まぶしく輝いています。
宿を同じ頃に出発した他のパーティーより少し早いペースで登って行くと11時少し過ぎに黒部五郎岳ノ肩に到着。荷物をデポして山頂の往復です。
最高の見栄えです。これでこそ北アルプス、昨日登った薬師岳、2年前に辿った雲ノ平から水晶岳・鷲羽岳・ワリモ岳。そしてこの山の東側に大きく広がるカールすべてが輝いています。
カールの遙か下に今夜の宿、黒部五郎小舎。すべてが今この瞬間を味わう為に登ってきたという感動に満たされてきます。
山頂をピストンしたらランチ、そして初めてのカール大きな岩ゴロとした登山道でしたが途中にはあふれんばかりの沢の水、花々、奇岩。来て良かった・・・・。
<< 第5日 >> 快晴 後 ガス
今日は計画当初からの調整日。黒部五郎小舎から三俣蓮華岳・双六岳をやって双六小屋までの5時間程度の軽いルートです。
朝、小屋前で出発の準備をしていると明日めざす笠ヶ岳がうっすらとしたシルエットで美しい頂を見せてくれています。
今日のルートは小屋裏の急斜面から始まります。調整日などと手前勝手に位置づけていたのですがこの登りは結構厳しく三俣蓮華岳山頂までは予定よりも時間がかかってしまい、何となくこれまでの疲れを感じるところでした。
しかし、途中うしろを振り返ると黒部五郎岳のカールが明るく朝日に照らされています。ただ”美しい”とじっくり見入ってしまいました。三俣蓮華岳山頂でもぐるりと北アルプスの名峰が頂を連ねています。薬師岳も遠くなりました。
最初は巻き道を行こうと考えていたのですがあまりの天気の良さに再び一昨年と同じ丸山から双六岳山頂をめざすルートを選択する事にしました。
丸山から振り返る三俣蓮華岳も本当に美しく丸い姿を見せてくれます。
しかし残念ながら双六山頂に至る頃にはうっすらとガスが湧き始め槍の姿を隠しています。それでもなだらかな双六の稜線はいつ来てもルンルン気分の散歩道です。
スタートの厳しさもどこへ、11時には双六小屋着。やはり笠ヶ岳まで行けば良かったかなと考えましたが、何も先を急ぐ必要はありません。少しでも多くの時間を天上世界で過ごしていたいという気持ちで一杯です。期待していた双六ラーメンを戴いたらちょっと西鎌尾根の入り口、樅沢岳をピストンです。
樅沢岳は有名な笠ヶ岳の展望台ですが、だんだん厚くなってきた雲に遮られてその姿を見ることはできません。このころから天候の悪化が始まる気配です。
それでもまた歩いていない裏銀座ルートを見ながらまた来る日を楽しみにします。
<< 第7日 >> 曇り 時々 小雨
さて、長々と辿ってきました6泊7日の北アルプス縦走ですがいよいよ最終日、笠ヶ岳から新穂高温泉への下山を残すだけとなりました。
北アルプス三大急登として名高い笠新道を下るのみです。昨夜の雷雨はおさまりましたが空は相変わらずどんよりとしています。それでも良く歩いてきたものだという充実感に浸りながら下りて行きます。
この登山道は大きな岩がゴロゴロと連なり、ポンチョの足下がからみそうです。途中何回か着たり脱いだりの連続です。
それでもあの有名な杓子平で上を見上げると白いガスの中、小さな花々が健気に咲いています。この頃から雨も気にならない程度となり、慎重にではありますがペースを上げて下山することが出来ました。わさび平にたどり着いたところで道端の湧き水に頭を突っ込んで冷やします。「あ〜、気持ちいい!!」
新穂高温泉のアルペン浴場はなぜかガラガラ、前回の雲ノ平縦走とは大違いです。ノンビリと垢を落とします。
長い長い6泊7日の北アルプス縦走こんな山旅出来たなんてそれだけでも幸せな日々でした。