ガやチョウの幼虫の中で、毛がたくさん生えているものを毛虫と呼びます。草食で農業害虫となるものがいること、大部分は成虫になる前に他の動物の餌となることなど、基本的にはイモムシと同じです。違いは、ケムシには毒のある毛やあ刺を持つものがいることです。 イモムシにも毒を持つものがいるのかも知れませんが、少なくとも、食べなければ大丈夫です。ところが、毒のあるケムシには触っただけで大変な目にあります。たとえ触らなくても、ドクガの脱皮殻から毒針毛(どくしんもう:毒のある毛)が風に飛ばされ、それが皮膚に付いただけでもかぶれますから、注意が必要です。 もっとも、ケムシの大部分は無毒です。ドクガ科の中でも、強い毒を持つものはごく少数派です。ほとんどのケムシは毒を持たないのですが、毒を持つものを見分けられなければ、どのケムシも毒がありそうに思えます。いちど毒のあるケムシにやられた経験があればなおさらです。危ういものには近づかないのが得策です。 毒がありそうに見せかけて敬遠される。嫌われることで身を守る。それが毛虫の戦略なのでしょう。毛虫が大嫌いという人は、ケムシにとっては自分の戦略にひっかかってくれているありがたい存在なのでしょう。 強い毒を持つものがいるにしても、ケムシもイモムシと同じで、植物の栄養を他の生き物に引き渡していくという重要な役割を果たしています。そしてその生きる姿には、少なからず感動させられます。 |