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感じのいい選手

以下の図は、「ちはやぶる」の読みの音声波形を切り出したものです。
黄色の縦線が読み始めで横方向の矢印が時間軸を示します。
競技かるたの選手は、読みの音声の特徴を感覚的に把握して出札を認識し、記憶する
取札の位置に反応して出札を取っています。
競技かるたの世界では音の聞き分けの早い選手を「感じのいい選手」といっています。
「ちはやぶる」の決まり字は「ちは」(chiha)ですが、信頼できる読手の読みで取る場合は
きっと【ch】の音で取ることでしょう。




競技かるたの対戦は、読手の読みを聞いて、相手より如何に早く出札を取るかの戦いです。
そのために、選手は読手の発する音を如何に早く聞き分けて出札を認識するかが重要になります。
【ch】【chi】【chih】【chiha】のいずれで「ちは」を認識したら有利かは言わずもがなです。

競技かるたの大会においてよりよい競技ができるよう、専任読手、公認読手の方は日頃弛まぬ
努力を行って、高い水準で安定した読みを提供しています。
しかしながら、読手も人ですので、人それぞれのばらつき、その人のばらつき、偶発的な出来事
などもあったりして、機械が読むようにはいきません。それも含めて『かるた』です。

選手は日頃の練習の中で音に集中し、読みの特徴を意識的・無意識的に統計的に学習しながら
音の感じをつかんでいると思います(最終的に出札を取るためには、音の聞き分け&判断のほか、
手を運ぶ開始のタイミング、スピード、コントロールなども大切です)。
音の聞き分け&判断と実際の出札のマトリクスにお手つきや抜け札のリスクとを対応付けすると
以下の表のようになると考えます。
出札とお手つきの境目の音が可視化されたら、捕まえるべき音を捕まえる練習が具体的になって
感じのいい選手が増えるかもしれません。
読手の読みをクラウドのAIに機械学習させてできないかなあと想像するこの頃です。

実際の出札 指標
表(あたり) 裏(はずれ)
音の聞き分け
&判断
判断(表)=出札(表)
★出札
真陽性:True Positive(TP)
判断(表)≠出札(裏)
★お手つき
偽陽性:False Positive(FP)
αエラー(誤検出)
適合度、精度
・判断(表)が出札と合っている割合
TP / (TP+FP)
判断(裏)≠出札(表)
★抜け札(判断の遅い札)
偽陰性:False Negative(FN)
βエラー(見逃し)
判断(裏)=出札(裏)
★空札
真陰性:True Negative(TN)
指標 真陽性率(感度、再現率)
・出札を正しく判断できた割合
TP / (TP+FN)
真陰性率(特異度)
・空札を正しく判断できた割合
TN / (FP+TN)
正確度
・出札と空札の判断が正しく合っている割合
(TP+TN) / (TP+TN+FP+FN)
偽陰性率
FN / (TP+FN)
= 1 - 感度
偽陽性率
FP / (FP+TN)
= 1 - 特異度
F値
・精度(P)と再現率(R)の調和平均
2 / (1/P + 1/R) = 2*P*R / (P+R)
= 2*TP / (2*TP+FP+FN)


■参考URL
Wikipedia 第一種過誤と第二種過誤
Wikipedia 過剰適合
クレスコエンジニアブログ/感度とか特異度とか
OPTiM/Deep Learning等の精度評価において、F値(Dice)とIoU(Jaccard)のどちらを選択するべきか?


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