モデムの製品比較


倶楽部PLCのTOP 電化製品の影響についてPLCの実用例

ここでは、HD-PLC方式同士の機種性能比較や、HD-PLC方式 vs. HomePlug方式を紹介します。

また、PLC(HD-PLC方式)と無線LAN(802.11n/a/g)の性能比較も行います。

モデム比較写真

左から順に、HD-PLC方式PLCアダプター BL-PA100, BL-PA200, BL-PA300(それぞれPanasonic製), そして、HomePlug方式PLCアダプター ZAX-100N(ゼクセロン製)、 そして右端、IEEE802.11g/b対応無線LANアクセスポイント WN-G54/AXP(I・O DATA製)

スループット評価

以下に、スループット評価環境とその結果グラフを紹介します。 PLC評価の際は、機種間や方式間の性能差を顕著にするため、PLC用ノイズフィルターの使用などの対策は一切、 実施しませんでした。また、無線評価の際は、無線LANカードを搭載したノートPCは、図中の各コンセント前に設置しました。

スループット
【測定環境】
PLCアダプター:Panasonic製BL-PA100KT、BL-PA204KT、BL-PA300KT(HD-PLC方式)
ゼクセロン製ZAX-100N(HomePlug方式)
無線LAN:I・O DATA製WN-G54/AXP(IEEE802.11g/b対応無線LANアクセスポイント)
      NEC製AtermWL54AG(IEEE802.11a/g/b対応無線LANカード)
PC1:DELL Dimension 4500C (WindowsXP SP3) PC2:Panasonic CF-W4 (WindowsXP SP3)
【測定方法】
PLCアダプター:送信側PC1にターミナルアダプター、 受信側PC2にマスターアダプターを接続。
無線LAN:送信側PC1にアクセスポイント、 受信側PC2に無線LANカードを接続。
Jperf(iperfのGUI版) Ver.2.0.0を用いて、 PC1→PC2 間のTCP(WindowsSize 128K)60秒間の平均値を算出。

HD-PLC方式の機種性能比較をしますと、BL-PA300KTは、BL-PA100KTに比べて、平均15%の速度向上が確認できました。 特に、PLC通信の速度に影響を与えやすい、携帯電話の充電器が受信側コンセントに接続されたコンセント5(3)⇒コンセント6(5)では、
1.5倍の速度向上(10Mbpsの向上)が確認できた点は、ちょっとびっくりしました。 スペックを比較すると、BL-PA100KTの最大TCPレートは55Mbps、一方、BL-PA300KTの最大TCPレートは65Mbpsと向上しています。 なお、BL-PA300KTからは、使用周波数帯域が拡張され、また、第二世代のPLC用LSIを採用しているそうですが、 その効果かもしれません。詳しいスペックは、メーカーのサイトをご覧下さい (BL-PA300のスペック)

次に、HD-PLC方式とHomePlug方式を比較しますと、図を見ていただけるとわかりますように、 HD-PLC方式のすべての機種で、HomePlug方式のゼクセロン製を圧倒しています。 また、HomePlug方式は、残念ながら、つながらなかったり、速度が安定しないなど、無線LAN同様不安定でした。

もう一つの高速電力線通信方式であるUPA方式は、アダプタが手元にないため、評価していませんが、古い記事ではありますが、 日経BP社のサイト(PC Online)にて 「通信環境が悪い場合、UPAは、他方式より速度が低下する傾向が確かにある」と指摘されています。

PLC(HD-PLC方式)と無線LAN(802.11g)を比較しますと、 コンセント5(3)⇒コンセント1(1)のケースを除き、PLCは無線LANの速度を大きく上回っています。 また、コンセント5(3)⇒コンセント1(1)のケースも、コンセント1(1)の無線LANのアクセスポイント用のACアダプターに PLC用ノイズフィルターを挿入することで、無線LANの速度を上回ることは確認済みです。 特に我が家は、無線LANよりもPLCのほうが相性がよさそうです。

2009年4月現在、我が家は、ADSLでインターネットアクセスが主な用途なので、無線LANでもいいのですが(ただし、後述のように無線LANは速度不安定です)、 将来、光回線でIP TVを見たり、DLNAを使って、例えば、ネットワーク対応ハードディスクレコーダーの映像を他の部屋のテレビやパソコンで見るためには、 ある程度の速度と安定性が必要なので、PLCは必須アイテムとなりそうです。

(追伸)4月末に、ADSLからNTTのフレッツ 光ネクストの光回線に乗り換えました。あわせて、ひかりTVも契約しました。 PLCの活躍は、PLCの実用例を参照ください。

スループット評価(HD−PLC方式最新機種BL-PA310KTと高速無線LAN IEEE802.11nを追加)

8月末に、HD-PLC方式準拠の最新PLCアダプターBL-PA310KTとIEEE802.11n/a/b/g対応無線LANアクセスポイント(親機)、 および各方式対応の無線LANカード(子機)を入手しました。

最新のBL-PA300KTをBL-PA300KTと並べてサイズを比較すると、BL-PA300KTに比べて、縦方向のサイズは 大きくなっていますが、厚みは薄くなっています。また、ややわかりにくいと思いますが、ACプラグの位置が より上部になっています。

ACプラグの位置をより上部にすることによって、PLCアダプタを壁コンセントに接続した際の、もう一口のコンセントとの スペースを広くすることで、PLC用ノイズフィルターをスムーズに差しやすくすることを配慮したのでしょうか?

今回、新たに入手し、評価した無線LANセットは、NEC製クアッドワイヤレス ブロードバンドルータAterm WR8500ワイヤレスカードセットで、 IEEE802.11n/a/b/g対応アクセスポイント(親機)と、CardBus対応Aterm WL300NCのセットです。

ここで、IEEE802.11nは、現在(2009年9月)、Draftですが、理論値で最大300Mbpsのハイスピードワイヤレス をうたっています。

以下にスループット評価環境とその結果グラフ(左から順に、 BL-PA310KT、BL-PA300KT、IEEE802.11n(5.2GHz)、IEEE802.11a(5.2GHz)、 IEEE802.11n(2.4GHz)、IEEE802.11g(2.4GHz))を紹介します。

BL-PA310KTをBL-PA300KTと比較すると、コンセント(1)⇒コンセント2(4)などにおいて、 10Mbps以上のスループット向上が確認され、最新機種のBL-PA310KTにおいて、 更に性能向上していることがわかりました。

次にPLCと無線LANを比較します。

まず、802.11aおよび11g準拠方式との比較ですが、前述の過去の比較に引き続き、無線LAN機器メーカが 異なっても、11aおよび11gに対するPLCの優位性が再確認されました。

続いて、高速無線LANの規格である、802.11n(Draft)準拠方式との比較ですが、 コンセント1(1)⇒コンセント3(5)のように、無線LANの親機と子機が同一部屋に設置される場合など、 親機と子機が比較的近距離に設置された場合は、80Mbps以上の場合もあり、PLCの倍以上の高速通信が可能でした。

一方、コンセント3(5)⇒コンセント5(3)のように、家の端と端に、親機と子機を設置した場合は、 我が家のような狭い集合住宅においても、802.11nの5.2GHz帯で50Mbps程度、2.4GHz帯で25Mbps程度 と低下し、PLCと同等もしくは以下になる場合もありました。最新の高速無線LAN 802.11nにおいても 従来の無線LANやPLCと同様に、設置してみないとレートや安定性はわからないようです。

レート安定性評価

PLCアダプタ BL-PA310KTと無線LAN 802.11n(2.4GHz、5.2GHz)および11gの10分間の TCPレートの測定ログを示します。ここでは、Jperf(iperfのGUI版) Ver.2.0.0を 用いて、コンセント3(5)⇒コンセント5(3)のレートを測定しました。

下図を見ていただくとわかりますように、PLCのほうが無線LANと比較して レートは安定していました。また、無線LANでは5.2GHz帯使用のほうがレートは 安定している傾向でした。ここでは、2.4GHz帯無線に影響を与えやすい、電子レンジや2.4GHz帯仕様のワイヤレス電話は使用していません。

なお、802.11n(2.4GHz、5.2GHz)において、レートが一定周期で数Mbps程度に急激に低下することが確認されました。 原因は不明ですが、ドライバーと一緒にPCにインストールした無線LAN付属のユーティリティソフトが悪さをしているのかもしれません。

消費電力比較

PLCアダプタBL-PA310KTと無線LAN802.11nのブロードバンドルータAterm WR8500ワイヤレスカードセットの消費電力は、 取り扱い説明書によると下表のとおりです。

取り扱い説明書には、条件が明記されていないため単純比較は できないかもしれませんが、802.11nの親機の消費電力は13Wと、PLCアダプタ(BL-PA310)1台の3Wの約4倍であり、 消費電力の点では、PLCアダプタに分がありそうです。

親機と子機が比較的近距離に設置できる方や、消費電力をあまり気にしない方は、 802.11n(Draft)方式準拠の無線LANを選択してもいいのではないでしょうか? ただし、今回取り上げた無線LANの子機はCardBusタイプなので、一般的にLANポートしかないSTBなどに接続することはできません。

このページのまとめ

  • HD-PLC方式とHomePlug方式の速度比較は、HD-PLC方式が圧倒
  • HD-PLC方式においては、第二世代PLC用LSI採用等で従来よりも速度向上、最新機種では更に性能向上
  • PLCを選択するなら、国内シェア No.1のHD-PLC方式や、米国で比較的普及しているHomePlug方式のモデムがお薦め。 UPA方式は、性能や将来性など、よくわかりませんので、薦めません。

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