平壌第2日(3) 檀君陵〜サーカス〜大同江クルーズ

檀君陵

 

 檀君は、熊がニンニクを食べて変身した女と、天から地上に降りたホワンウン(恒雄)との間に生まれたという、紀元前30世紀、5千年前の伝説上の人物である。古朝鮮建国の始祖と言われている。その遺骨が1993年に発見され、それを記念して翌年大規模な陵墓が建立された。

 檀君は、当時の平均身長163cmに対して、170cmあり、60歳を超える長寿だったそうだ。檀君と妃の遺骨は、アルゴンガスで密封され、墳墓の地下に保管されている。遺骨は劣化しやすいので中を見学するなら一人100ドルと、案内をしてくれた女性に言われた。あまりの高額にみな渋っていると、まもなく一人20ドルに値下がりした。結局見学は遠慮することになった。


サーカス

 平壌サーカス劇場という、3500名収容のサーカス場で17時開演、私達は15分ほど遅れてしまった。すでに演技が始まっており、若い女性が沢山のフラフープと格闘しているところだった。そして、数名の男性がはしごのような棒を使って積み重なって造形する高度な組み体操、タキシードを着たやさ男がムード歌謡にのってお送りするマジック、コックの衣装を着た2人がコミカルに演じる皿回し、足芸と続いたところで、私達は信じられない光景を目の当たりにした!!2名の男女と共にバンダナを首に巻いた2頭のツキノワグマが登場、後脚で立って走り回り、1頭が芸をしている間は、もう1頭はおとなしく椅子に腰掛けて待っている。馬跳び(熊跳び)などをしたあと、縄跳びをこなし、縄を持ったりもしている(持っているだけで回してはいない)。最後には深々とお辞儀をし、1頭は男女と共に舞台から去って行ったが、もう1頭はお辞儀の姿勢からごろんと舞台でうずくまっている。すると、舞台を去りかけた熊が戻ってきて、うずくまっている熊を思いっきりどついた。そして2頭そろって何事もなかったように仲良く走って退場、上方漫才のようだ。その後、さっき皿回しをしていた2人組が派手な衣装に着替えて登場、今度は帽子などを使ったジャグリングだ。客席から中国からのお客さんがステージに引っ張り出され、笑いを誘っている。その間にステージの上の空間では、ネットを張ったり、ブランコが降りてきたりと、空中ブランコの準備が着々と進んでいる。最後に10名くらいの男女が、天井からつり下げられた3つのブランコを使い、空間を存分に利用して回ったり飛んだりと、迫力満点の演技を披露していた。サーカスの演目はツキノワグマを除いて、全て中国の雑技でもお馴染みのものだった。このサーカス団のレベルはとても高く、どの演者も難しい技をなんなくこなし、ミスは全くなかった。

ツキノワグマ。あまりの芸達者ぶりに着ぐるみ説も出たが、細部をすみずみまで観察した者の証言により、本物と断定された。

空中ブランコ


テドンガン(大同江)クルーズ 

 この日の夕食は、クルーズ船に乗って焼き肉だ。18時45分頃に、岸壁に繋留されているクルーズ船に乗り込む。まだあたりは明るい。4人掛けのテーブルに、カセットコンロと、焼き肉用の肉、サンチュ、水キムチ、リャンフェン(中国のものと同じ。緑豆の澱粉を固めてつくったくずきりのようなもの)と牛肉とキュウリの和え物、人参と青菜のナムル、鯉の刺身、チヂム、カステラが並べられている。ここでもまた、ウエイトレスが肉を焼いてくれ、各々がサンチュに包んで食べるようになっている。酒類は、朝鮮のビールと、38°くらいの蒸留酒があった。このあと辛いスープとフルーツ(リンゴと梨のスライス)も出てきた。しばらくすると船はゆっくりと動きだし、テドンガンの近場をぐるっと一周する。だんだんと日も暮れ、ライトアップされたチュチェ思想塔も間近に見える。食事を終え、もとの岸壁に戻った頃、あたりはすっかり夜のとばりに包まれていた〜。

クルーズ船「平壌1」とテーブルに乗りきらない勢いの食事。


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