天気予報、テレビ、ショッピング

北朝鮮の天気予報

 天気予報は気象水文局が行っている。テレビ、ラジオ、有線、電話(112)で見たり聞いたりすることができる。予報は当たりますか、とガイドの人に尋ねると「天気予報はゴマカスですから・・・」と言われた。台風が上陸しそうな時は、台風情報も発表されるそうである。電話で予報を聞いてみたかったが、ホテルのTelephoneDirectoryには市内通話のかけ方の説明がなかった。かと言って市内通話のかけ方など聞こうものなら「どこにかけるんだっ!!」と怒られるのがオチだと思い、あきらめた。公衆電話のある場所に行く機会もなく、あったとしてもコインもないので、これもあきらめた。

テレビで夜放送していた各地のあすの予報。始めに一言全国の概況を説明し、そのあと主要都市の予報を、風向、風速、天気、最低-最高気温の順に述べている。天気図や衛星画像を使った説明はない。

波の予報。東海(日本海)と西海(黄海)に分かれている。下の黒いのは岩の映像。


北朝鮮のテレビ

 平壌で見られるテレビは平日は朝鮮中央テレビ1チャンネルのみである。放送は毎日17時すぎから22時30分くらいまであり、内容はニュース、ドラマ、アニメ、音楽、金正日氏をたたえる番組などである。ニュースでは金正日氏の動向のほか、EU代表団との会談のことを中心に報道していた。CMは一切見られない。1日の放送の最後は、22時17分頃からニュースのあと、明日の天気予報を放送、そのあとカラオケビデオが1、2曲流れたあと、明日の番組の放送予定を告知、そして国歌をバックに国旗がはためいて終わる。

 土日や休日には平壌地区のみ万寿台テレビの放送がある(土曜日は夕方、日曜日は朝から放送している)。ドラマや演劇、ソ連映画を放送しているようだ。他にも教育、健康といった番組もあるそうだ。

昔のおとぎ話風アニメ。若い主人公が馬に乗っている。まもなくこの若者の父親も登場、その後黒いイノシシが大暴れしていた。左上に見えているのが朝鮮中央テレビのステーションキャプション。

軍服を着た人たちが『我らの金正日同志』という歌を合唱している。字幕には「あー 金正日同志」とある。

涙あり、笑いあり、歌あり、踊りありのミュージカルのフィナーレ。このあと、金正日氏の肖像は「金正日花」という赤いベゴニアにパッと変わって幕を閉じた。


北朝鮮ショッピング事情

 外国人は外貨を両替し、パックントンピョと書かれた外貨兌換券のウォンに替えてもらう。一般社会で流通するウォンを持つことはできない。

 平壌の街をバスの中から見ていると、いろいろな商店やレストランが住宅やオフィスビルの1階に軒を連ねている。だが、多くの店は営業していない。金日成広場のそばにある、フルーツの看板がついた店をガラス越しに覗いてみたら、茶色いドライフルーツや網の袋に入った栗のようなものがぽつぽつと規則正しく並んでいるだけで、果物はなかった。その日は丁度店は休みで、店員さんもいなかったのだが、値札もついておらず、最近営業されていたようには見えない。他の商店があいているかどうかを観察してみたところ、営業している店は全体の1〜2割程度だった。理髪店や靴の修理店はよく開いていて、割と繁盛しているのが見えた。レストランも、10軒に1軒位は営業しているようだった。他には、食品店や洋服屋がごくたまに営業していて、買い物客がいるのが見られた。第一百貨店という平壌最大のデパートは「改装中」と言われ、入ることはできなかった。ショーウィンドーにスポーツ用品などが飾られているだけで、確かに全く人の気配はなかった。

 

魚屋さん。灰色の乾物や缶詰が飾ってある。水槽はあるが水も魚もない。人もいない。値札もない。

 私達が買い物をできる場所はごく限られていた。ホテルの売店、観光地の土産物店、民芸展覧室という工芸品店、外貨ショップ、外国文書店である。そこでは朝鮮の通貨であるウォンは受け取ってもらえない。米ドル、円、中国の人民元でないと物を買うことができないのだ。結局、この旅行中でパックントンを使えたのは、ホテルの売店のうち1箇所だけ、ミネラルウォーターを2本買っただけで、それ以外は全て直接外貨を支払った。外貨もおつりがなく、おつりに相当する分を、バッジやアメなどの小さな商品でもらうこともあった。

 一般の人が利用するごく普通の日用品や食品店、電器店などを覗いて、市民の生活の一端かいま見るのを楽しみにしていたが、残念ながらチャンスはなかった。

 

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