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科学的認識の進展による

二元論の復活


記憶

記憶は意識以前に存在します。
感覚、感情は意識を構成して存在しますが、記憶は意識が無くても存在します。
感覚、感情は意識されなければ神経信号でしかありません。
感覚、感情を表現する神経信号は記憶として受容されます。
脳の神経信号処理によって表現される感覚、感情は記憶表現として受容されて意識の対象になります。
意識できない記憶は潜在記憶です。
潜在記憶に対して、意識できる記憶は顕在記憶です。
同様に、意識にも顕在意識と、潜在意識があります。
顕在意識と潜在意識の関係は自由意志の問題であり、法的には責任能力の問題になります。
顕在意識だけを「意識」として潜在意識を「無意識」とする解釈がありますが、意識できないだけで意識は存在しています。
顕在記憶を「陳述記憶」、潜在記憶を「非陳述記憶」と区別する表現もあります。
陳述記憶には意味記憶*エピソード記憶*の区別があります。
非陳述記憶には手続き記憶*、プライミング記憶があります。
この他に長期記、短期での記憶の区別*もあります。

記憶は存在として区別と関係の再現です。
記憶に対して記録は存在として区別と関係表現の保存です。
記録は区別と関係表現を保存しますが、区別と関係をそのまま保存はしません。
記録は符号、記号を表現媒体として保存されます。
人は情報を読み取れる表現を記録として受容します。
石ころであってもその生成からの変遷を記録しています。
中でも化石は古生物を記録し、隕石は宇宙の歴史を記録しています。
記録は表現の保存であって、区別と関係の保存ではありません。
記録は存在の相互作用関係表現を継起、あるいは並起する相互作用を媒体に保存します。
記録の保存媒体は表現媒体でもあります。
記録はその表現の受容にかかわらず保存されます。
記憶は記録も受容しますが、対象の表現であり、再受容され、再表現されます。

記憶は相互作用の関連構造を対象とし、関連構造を保存、再現して相互作用関係を表現します。
最も基本的な相互作用の関連構造は因果関係です。
原因が生じれば結果が出て、表現を残します。
相互作用があれば、作用効果が表現されます。
電子機器の記憶では桁=ビットの値の区別で表現します。
記憶は因果作用が構造化し、再帰構造=フィードバックにより実現します。
条件反射は条件を物理化学的に記憶できて実現します。
条件反射は記憶した条件を意識する必要はありません。むしろ意識できません。
生物の習性、本能と呼ばれてきた一定の行為、行動の再現は意識以前の記憶です。
生物に限らず、表現を再現できることが記憶です。
サーモスタットは設定温度を記憶します。
単細胞生物も様々な走性があります。
植物も概日時計、季節周期があります。
特にハエトリソウ*の反応など、食虫植物は動物より素早い運動すら記憶しています。
ミミズを突っつくと身をよじりますが、刺激が無害であれば慣れて反応は穏やかになります。
ウミウシ*は記憶の基本的研究対象です。
デジタル・コンピュータは記憶の塊です。
一連の反応過程を再現する機序が実現し、獲得されれば記憶になります。
因果関係の恒存的関連構造が進化によって発達、発展して意識まで実現しました。

記憶によって意識は実現します。
記憶は感覚、感情とともに人の意識を構成する媒体です。
記憶は感覚、感情の表現を対象として保持し、再現し、意識します。
感覚、感情は神経信号表現を潜在的に記憶し、その記憶表現を顕在的に意識します。
視覚の立体視も両眼視野の表現を記憶し、その差異から奥行きを意識します。
聴覚は音波の振幅変化の時間経過を記憶して意識します。
脳での神経信号処理が感覚、感情、記憶をどのように表現しているかは解明されていません。
推測できるのは感覚、感情の表現はそれらの信号を処理する神経細胞関係の回路形成です。他の可能性は思いつけません。
記憶は感覚、感情を表現する神経細胞回路の形成で実現し、記銘され、回路網として保存されます。
神経信号処理回路は神経細胞間のつながり、シナプス* 結合の強弱化、ミエリン鞘* による絶縁化によって形成されるようです。
記憶の想起は新たな神経信号入力に応じる神経細胞回路での信号処理再現と解釈できます。

顕在記憶は記銘、保持、想起からなります。

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* は外部リンクを示します。
_kioku.
2023.10.08